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[2021.05]岡村 淳【特集 私の好きなブラジル映画】

選・文●岡村 淳

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 ブラジル国内で公開される国産映画の数は、パンデミック前年の2019年で327本。南米最大の都市サンパウロで暮らしていても、その大半の公開も存在も知り得ない状況だ。ブラジル映画の特徴として、サンパウロやリオのような巨大都市に限らず、各地に大都市に勝るとも劣らぬ製作陣が揃っていることがある。地元の州政府や銀行のサポートを得て、仕上げは欧米で行なう作品も少なくない。残念ながらそうした映画は著名な映画祭での受賞などがなければ、なかなかアクセスの機会もないのだが。近年、思わぬ形で地方産の映画を享受する機会を得ている。僕はパンデミック以前は格安のエチオピア航空で訪日を繰り返していた。機内映画で常時、数本のブラジル映画が鑑賞可能だ。リオグランジドスル州のMST:土地なき農民運動に関わる青年と町の少女の恋愛もの、パラ州のシングルマザーのロードムービーなど忘れられない傑作にアフリカ上空で出会っている。

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