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[2021.12]現代ウルグアイ音楽事情(後編)

文●谷本雅世 texto por Masayo Tanimoto (PaPiTaMuSiCa)

 前編では現代ウルグアイ音楽の主に男性アーティストについて紹介してきた。後編では現在も活躍中のベテランから新人にいたる新旧女性アーティストについてご紹介していきたい。ブラジルとアルゼンチンの両大国に挟まれた南米の小国ウルグアイでは様々な音楽が絶妙に交じり合い、影響を受けながらも独自の進化を遂げてきている点についてもその中で特筆したい。歌手や演奏者たちは、自身の国のアイデンティティを強く意識しながら創作活動している事もあるが、その一方でまったく意識しない中、知らず知らずのうち日々聞いてきた音楽の影響が歌や演奏に反映されている事もこの国では往々にして起こっている。小国であるがゆえ、より頻繁に隣国ブラジルやアルゼンチンとの交流も密接で、ウルグアイに暮らす人々それぞれ個々のルーツ(例えば、親・祖父母の世代までさかのぼるとウルグアイへ渡ってきた移民一世である事など)が深く関係している点についても考慮に入れた上でアーティスト紹介を読んで頂くと理解がより深まるかもしれない。

 ここに紹介した音源・アルバムには『ラティーナ2011年3月号 特集第二弾・ウルグアイ音楽』の「新旧ウルグアイ名盤30選」で紹介したものもあるので参照されたい。


◆ディアン(ダイアン)・デノア(Diane Denoir)

 今や大御所に類されるウルグアイ発の女性シンガー/コンポーザー/詩人。低音ボイスを生かしたアンニュイでクールなウルグアイ・ジャズ/ボサノヴァの一時代を築いた。母はオーストリア移民の音楽家で幼少よりクラシックとジャズを聴く。1960年代から約15年音楽活動を続けた後、軍事独裁政権下のウルグアイを離れベネズエラへ渡り音楽界から退いた。1992年ウルグアイに戻った後も音楽活動は行わなかったが、転機となったのはエドゥアルド・マテオとの1970年代に製作した2つの音源『Diane Denoir』『Inedítas』の復刻で、今ではウルグアイ音楽を代表する音楽家/作曲家として筆頭に挙げられる存在のマテオだが、音源の復刻が再評価のきっかけなのは明白で、再び世に出したディアンの功績は大きい。以降彼女自身も少しずつ音楽活動を再開し、2007年『Quién Te Viera』を発表、その内容は同郷SSWホルヘ・ドゥレクスレルや前述エドゥアルド・マテオ、アルゼンチンロックの重鎮スピネッタ、ブラジルの巨匠ヴィニシウス・ヂ・モライスとシコ・ブアルキといずれも文学的な深みのある歌詞に特徴をもった作品をポルトガル語・フランス語・スペイン語で変わらぬクールな低音で歌っている。その後新作はないが現在も元トーテムのダニエル・“ロビート”・ラガルデのギターを軸に首都で積極的なコンサート活動を行っている。またウルグアイを代表する文学者マリオ・ベネデッティとの交流からの活動も行っている。なお、彼女は本名ディアナ・レチェスの名でメルセデス・ソーサの代表曲『Como un pájaro libre』の歌詞をAdela Gleijerと共作している。

参考:ラティーナ2011年3月号 特集第二弾・ウルグアイ音楽「もう歌うのはやめない~ディアン・デノア・インタビュー」文・谷本雅世/西村秀人(PaPiTaMuSiCa)

◆エステラ・マニョーネ(Estela Magnone)

 MPU(ウルグアイポピュラー音楽Música Popular Uruguaya)を代表するベテラン女性シンガーソングライター/コンポーザーでウルグアイ著作権協会の役員を務めた事もあるエステラ・マニョーネ。高音のぬけるようなさわやかさと透明感あるボイスが特徴的で、コーラス・グループでの過去音源が近年再評価も高く注目されている。ウルグアイ軍事政権下の1981年同じくMPUを代表する女性SSWマリアナ・インゴルド、マイラ・ウーゴとのトリオでウルグアイ初の女性ボーカル・グループ[トラベシア]を結成し、エドゥアルド・マテオの代表作『クエルポ・イ・アルマ』『ラ・マキナ・デル・ティエンポ 』などに参加、さらに前述マリアナ・インゴルドにウルグアイを代表する女性SSWラウラ・カノウラを加えた女声トリオ[ラス・トレス]ではウルグアイの人気ロック歌手ハイメ・ロス、フェルナンド・カブレラを迎え、アルバム『ラス・トレス』でゴールド・ディスクを受賞した。その後も女声クアルテート[ラ・オトラ]などで活動し、それまでウルグアイ・カーニバル文化に根づいたムルガやカンドンベといった男性優位の音楽界へ風穴を開け、女性ボーカルの地位を積極的に開拓した。その他当時の伴侶であったハイメ・ロスとのデュオやグループでの活動を経て、現在までソロ歌手として精力的に作品を発表している。両親、兄弟のアルベルト、ダニエルも音楽家で、前編で紹介したイバルブル兄弟は甥にあたる音楽一家。子どものための音楽づくりなど後身発掘にも貢献し、ウルグアイの栄誉あるGrafitti賞受賞や「ウルグアイを代表する12人の音楽家たち」の1人にも選出されている。エドゥアルド・マテオ曲集の最新作『シエスタス・デ・マル・デ・フォンド(2019)』などアルバム、シングルなど多数作品がサブスクで聴ける。エステラの活躍からも知られるように、ウルグアイではフェミニズム運動が叫ばれる以前から、男女が対等に働きやすい状況が確立されており、女性歌手が活躍しやすい環境が比較的整っている印象だ。

◆ラウラ・カノウラ(Laura  Canoura)

 1978年から現在にまで常に第一線で活躍し続ける人気のウルグアイを代表する女性歌手/コンポーザーであり女優。グループ、ソロと活動は多岐にわたり、これまで20枚以上のアルバムを発表し、プラチナディスクなど受賞多数、歌唱力に定評がある。
 MPU最重要グループの1つ[ルンボ]のメンバーとしてキャリアをスタートさせ、前述[ラス・トレス]などでも活動するが軍政による活動制限や検閲で苦節した。その後同じ[ルンボ]のメンバーだったマウリシオ・ウバルとのデュオでMPUの新しい活動を起こしその波はアルゼンチン・ツアーにも結び付くなど人気となった。その後もソロ歌手としてキャリアを確立させ、タンゴ、ボレロ、シャンソンなども歌い国内はもとよりアルゼンチンでもその評価は高い。伴奏にウーゴ・ファトルーソを迎えてのコンサートもたびたび行っている。
 CDアルバムでの最新作『40 AÑOS EN VIVO』は文字通り、2019年10月ソドレ国立オーディトリアムで開催された歌手活動40周年記念コンサートのライブ音源で、ウーゴ・ファトルーソと共作した自身の曲やウルグアイポップスの他、MPBの「カラ・ア・カラ(シコ・ブアルキ)」、現代アルゼンチン・フォルクローレの「オラシオン・デル・レマンソ(ホルヘ・ファンデルモーレ)」や、「グリセル(マリアノ・モーレス)」「コモ・ドス・エクストラーニョ」などのタンゴ、さらにエディット・ピアフのナンバーやラテン・スタンダードなど、これまでのキャリアを集約した大作。ゲストにウルグアイ人タンゴ女性歌手のマレナ・ムジャラ、シタローサの流れをくむ1970年代社会派ウルグアイ・ヌエバ・カンシオンの先駆的男性2人によるデュオ・ラルバノア&カレーロ(シタローサの流れをくむ1970年代社会派ウルグアイ・ヌエバ・カンシオンの先駆的男性デュオ)とラウラがかつて所属した[ラス・トレス]のエステラ・マニョーネ&フラビア・リーパが参加。サブスクでは『Cantorcita(2021)』が最新作。

◆マリアナ・インゴルド(Mariana Ingold)

 1958年生まれのシンガーソングライター。1981年エステラ・マニョーネ、マイラ・ウーゴと共に[トラベシア]で活動、その後はソロ歌手としてウーゴとオスワルドのファトルーソ兄弟、ルベン・ラダ、エドゥアルド・マテオ、ラウラ・カノウラ、ハイメ・ロス、フェルナンド・カブレラなど名だたるウルグアイのアーティストたちと共演を重ね、清涼感ある歌声と独特のリズム感で、共演アーティストたちと共に浮遊感あるウルグアイ音楽の新境地を開拓していった。なかでも夫だったオスバルド・ファトルーソとの若き頃の共演作は都会的センスにあふれたモダンな仕上がりで、ウルグアイ音楽の先進性を実感させられる。近年は、彼女の過去作品への再評価が高まりオーストラリアのレーベルからコンピレーションLPが発売されたり、再び活動を始めているので来日を期待する声も聞かれる。最新作はキット・ウォーカーとの共作で、多数サブスクで聞くことも出来てお勧め。

◆ラ・オトラ クアルテート・ボーカル(La OTRA Cuarteto Vocal)

 かつてルベン・ラダの大編成バンドのバックコーラスをつとめたアナ・プラダ、ベアトリス・フェルナンデス、レア・ベン・サッソン、サラ・サバーの計4人が[ラ・オトラ~クアルテート・ボーカル]女声合唱団として活動し4人の美しいアカペラのハーモニーを聴かせ、人々の心を魅了した。その後それぞれがソロ活動メインとなり休止。アナとサラが抜けたのち、若い世代のカルメン・ピ、カミーラ・サピンが新たなメンバーとなって刷新された。現在活動は不定期となっているが、ベテラン歌手のエステラ・マニョーネ、ラウラ・カノウラ、マリアナ・インゴルドらの時代から脈々と続く女声ボーカルによるコーラスの歴史やウルグアイ・カーニバル文化でのムルガやレビューにおける男声アカペラ・コーラスによる合唱の歴史は常に若い世代へ継承されている。

◆アナ・プラダ(Ana Prada)

 女性ギター弾き語りの中堅シンガーソングライター/コンポーザーとしてウルグアイだけでなく隣国アルゼンチンの第一線でも活躍。3枚のソロ・アルバムの他、アルゼンチン・フォルクローレ界大御所で元文化大臣テレサ・パロディとのデュオ・アルバム『イ・ケ・マス(2013)』もある。『ソイ・オトラ』はペルー、メキシコなど自分のアイディンティティと異なる文化圏の楽曲をトラディショナルかつ親しみやすいアレンジで表現した作品。最新作ではあらゆる楽器を多才に操るアルゼンチンのマルチ・インストゥルメンタリスト、マヌー・シファManu Sijaとのドゥオ『パロマ・ネグラ』で新境地を開拓している。 その他にもドゥレクスレル家と従弟関係にあたるアナは、ホルヘ ・ドゥレクスレルの末弟でSSWのディエゴとデュオ・プロジェクトなど多彩な活動を展開している。

◆レア・ベン・サッソン(Lea Ben Sassón)

 15歳より歌手活動をスタートさせ、女性中堅シンガーソングライター/コンポーザーとして活動の一方、芸能プロダクションを設立し、ブラジル・アルゼンチンなど近隣諸国や国内アーティストの招へい、 レーベル事業なども手がけるウルグアイ・ミュージック・シーンを牽引する表現者であり敏腕プロデューサー。肝の据わったような音楽的にも落ち着く歌声で、人々の心をぐいぐい惹きつける魅力をもつ。最新作は『ブエナ・フォルトゥナ(2020)』。

◆サラ・サバー(Sara Sabah)

 イスラエル出身、幼少時に家族とともにウルグアイへ移住という経歴をもつサラ・サバーは、7歳より歌手活動をスタートさせ、アナ・プラダ、レア・ベン・サッソンらと共にルベン・ラダのバック・コーラスで活躍。近年はソロ活動が主流で、ブラジル音楽とジャズとの融合を感じさせる『セルカ(2015)』や自身のルーツであるユダヤ系音楽セファルディムへのルーツ回帰と再解釈を、ウルグアイ~イスラエルのトップ・アーティストとのコラボレーションにより実現させた国際的プロジェクト『アルボレーラ(2017)』を発表。楽曲ミックスはイスラエル、マスタリングはイギリスで行われた。その他にもウルグアイ人アーティストとの共演・共作も多数ある。前編[ナイール・ミラブラット]でも参加について言及しているので参照頂きたい。

◆トロバリーナ(Trovalina)

 MPUの中堅ギタリスト/シンガーソングライターで近年は文筆業やプロデュース等でも才能を発揮し多忙を極めるサマンタ・ナバーロと、スイスにルーツをもち10代からギタリスト/シンガーソングライターとして活躍、発表アルバムは17枚を数え、国内外での高く評価され受賞多数のロサーナ・タデイ、王子と呼ばれた亡き父グスタボ・ペーナが生前残した未発表音源を自身のセンスで現代に復活させたポストロックのクリエイター、エリーウ・ペナ。いずれもギターを手に、ロックな音色と哀愁ただようリズムに詩をのせて歌う人気の女性アーティストたちだ。その3人が夢のタッグを組んだのが2012年発表の[トロバリーナ]のライブ音源。グスタボ・エチェニケ(ドラム)、アントニオ・レストゥッシア(ベース)、ダニエル・ロペス(キーボード、アコーディオンetc.)と当代きってのサポート陣が脇を固め、現代ウルグアイ音楽を伝える上で最高のライブ音源。名曲ぞろいのグスタボ・ぺーナの作品の数々が心にしみて、それらが未発表曲だったとはとても思えない仕上がりだ。もし、気に入ったなら、各人のソロ曲にも耳を傾けてみてほしい。

◆パトリシア・ロバイナ(Patricia Robaina)

 1983年生まれ、ギター弾き語りによるシンガーソングライターで5歳の頃よりムルガを歌い、女性のみのムルガ・グループを率いたこともある珍しい経歴をもつ。2012年「デ・パン・イ・ミセリア」でギターラ・ネグラ賞を受賞。その曲を含む全15曲を収録した初アルバム『カンシオネス・パラ・レスポンデール・ロ・ケ・ナディエ・プレグンタ』を2016年に発表。伴奏のスタイルにはブラジルのテイストを全面に取り入れた曲も有りつつ、独特のアンニュイさ漂う歌声がすでに女流吟遊詩人の風格。それでいて言葉の拾い方や情感描写、退廃的なリズムはまぎれもなくウルグアイらしさを感じさせる。エルネスト・フェレイラとアルバロ・ロペスがギター、フェデリコ・アンドラーデがフルートで参加、ゲストにユーモアと美しい楽曲の巨匠レオ・マスリア(ピアノ)。子どものための楽曲づくりのほか、まもなく発表の最新アルバム『Marimorena』では、ラテンアメリカでアフロ系女性として初めて詩集を出版したウルグアイの詩人ビルヒニア・ブリンディス・デ・サラスの詩にパトリシアが曲をつけた作品集となるらしい。

 ◆アルバナ・バロカス(Albana Barrocas)

 1984年ウルグアイ生まれ。母は日本の血を引くブラジル人で自身もカポエイラを嗜み、ビリンバウなどウルグアイでは珍しいブラジルの打楽器全般をこなすマルチ楽器奏者でありドラマー、パーカッショニスト/シンガーソングライダーでもある。日本ではウーゴ・ファトルーソの帯同で来日経験も多いが、ヤヒロトモヒロとのドス・オリエンタレスDos Orientalesではゲストとしてウルグアイのタンボールなどを演奏するに過ぎない。しかし本国ウルグアイではコンポーザー/アレンジャーとして若手~中堅ユニットとのセッションなど幅広い活躍で知られている。ソロ・アルバム『エセンシア』では演奏の他に作曲、ボーカル、打ち込み、サンプリングなど多用し都会的サウンドを実践。伝統でプリミティブなものとは一見真逆に振り切った感のあるこの感性が、実にウルグアイ音楽らしいもう一つの表情であることを体現する存在である。パートナーのウーゴと日々のセッションで生まれる新曲の数々に今後も目が離せないが、パンデミックの中で生まれた最新作『ヌエボ・ハー・ドゥオ』の他、共作アルバム『ボヤージュ』も多才な彼女だからこそのサポートぶりを感じられる作品としてぜひ一聴をお勧めしたい。その他、 欧州で活躍するウルグアイ女性歌手アナ・カリーナ・ロッシがボーカルを務める「ボヤージュ」にも参加している。 アナは5年前[ガイアクアトロ]メンバーでイタリア在住のアルゼンチン人、カルロス・“エル・テロ”・ブスキーニ(ベース)とフランス人バンドネオン奏者オリビエ・マヌーリとのトリオ[シン・フロンテーラス]で初来日している。

◆フリエタ・ラダ(Julieta Rada)

 現在初来日ツアー中、ウルグアイの至宝ルベン・ラダと並んで、待望の初来日が次女でシンガーソングライターのフリエタ・ラダだ。今回の特集記事の中でも最も注目の歌姫で、世界トップクラスに通ずる歌声の持ち主。南米音楽事情に詳しい人の間ではすでに周知ともいえる彼女は1990年5月25日生まれで、風格さえ感じさせるコーラスとパフォーマンスで、ギタリストの兄マティアス・ラダ とともに父ルベンをサポートする。彼女の第一の魅力は、低音から高音域までつややかに伸びるこの声に尽きる。少し鼻にかかったハスキーボイスでありつつ音域の幅広さと抜群のリズム感、歌唱力のすばらしさは世界トップクラスといっても過言ではないと思う。これまで3枚のアルバムを発表しているが、なかでも2作め『コラソン・ディアマンテ』は、ウルグアイ&アルゼンチンの鉄壁サポート陣で、メイキング映像を見た時から釘付けになるほど心を鷲づかみにされる傑作だ。その声に迷いやよどみは一切なく、長い肢体と美貌の持ち主でもあるフリエタはアーバン・ロックな音楽性で今後最も注目すべき大物シンガーだといえる。
 このセカンドアルバムで、ラテン・グラミー・ノミネートと母国ウルグアイで最も権威ある「グラフィティ賞」を受賞し、さらに翌年アルゼンチンの最高権威である「ガルデル賞」もW受賞した。プロデュースは前編で紹介のニコラス・イバルブル(フリエタの元パートナー)。ウルグアイの才能が集結した秀作で、さすがというしかない。中でも父の名曲「マリシモ」では斬新なロックアレンジでイメージを刷新し、兄マティアスと今回来日しなかった姉ルシラとの三兄弟による歌声が聞けるのも魅力の1つといえよう。最新作『ボスケ』では鬼才マルティン・ブスカグリアとの共演も果たすなど、前作から一転、全編アーバンでクールな魅力にあふれたアルバムに仕上がっている。余談だが、父ラダの名盤『モンテビデオ・ドス(1999)』には明るくノリの良いパンチの効いた楽曲「フリエタ」が収録されている。一聴すればだれもが愛娘フリエタちゃんに会ってみたくなるような愛あふれる作品でこちらも一聴をお勧め。

 今回の企画は、南米の小さな国ウルグアイの音楽の中でも、まだ知られていない若手や新たな活動を中心にスポットを当て、ウルグアイ音楽がこんなにもバリエーション豊かで多様なきらめきを放っていることを少しでも伝えられたら、という一心でまとめた。まだまだ層の厚いウルグアイ音楽シーン、ムルガやロック、タンゴなど日本ではあまりにも知られていないが、ウルグアイを代表する歴代の音楽家たちについてもぜひ知って頂きたく、別の機会に別の視点で紹介されるはずなので期待したい。


谷本雅世(PaPiTaMuSiCa)●プロフィール
PaPiTa MuSiCa(音楽レーベル&プロデュース)主宰。
JICA日系社会青年ボランティアでアルゼンチン首都ブエノスアイレス日本庭園を管理する財団に3年間赴任。Webサイトと広報全般に携わる。在任中より南米音楽全般に親しみ帰国後中南米の音楽レーベル、国際協力出版会、JICA本部に勤務後フリーランスとなる。 定期的に南米巡回を続けアルゼンチンは北部アンデス辺境地から最南端パタゴニアまで巡る。 これまで旅した国はウルグアイ、チリ、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ドミニカ共和国、北米、欧州諸国、インドネシアなど。
アカ・セカ・トリオ、リリアナ・エレーロなど多数の南米音楽日本盤の歌詞対訳・ライナーノーツ執筆の他、PaPiTaMuSiCaとして来日ミュージシャンのアテンド、ツアーサポート、南米文化紹介の講座・映画上映会・イベントなどを行う。
日本緑茶協会認定マテ茶アドバイザー。
ラティーナ誌では2004年よりタンゴ・現代フォルクローレ・ポップスのディスクレビューとインタビューを執筆。
著書「旅の指さし会話帳(40)アルゼンチン」(情報センター出版局)
共著「旅の指さし会話帳JAPAN(69)スペイン語」、「暮らしの指さし会話帳(6)スペイン語」
http://papitamusica.com.ar/

(ラティーナ2021年12月)

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