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[2022.6] 【島々百景 第72回】 ポルト(ポルトガル) 

文と写真●宮沢和史

 日本ではかつて『赤玉ポートワイン』が大流行した。この葡萄甘味果実酒は今から115年前の1907年(笠戸丸がブラジルのサントス港に到着した1年前)にサントリーの創業者である鳥井信治郎氏がヨーロッパのワインに手を加え、ワインにまだ馴染みのなかった日本人の口に合った果実酒を作ろうと試行錯誤を重ねて開発した日本初の大量生産可能な葡萄酒である。興味深いのはワインにいくつかのものを添加する上で、滋養というキーワードにこだわった点である。お酒というものは健康であってこそ楽しく嗜むものという精神は今もこの会社に引き継がれているに違いない。のちに日本中で大ヒットとなる赤玉ポートワインはサントリーの創成期を支え、今日では『赤玉スイートワイン』と名を改め現役商品として多くの人に愛されている。

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