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[2022.3]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉒】大西洋の向こうの国の革命に送った祝福の歌 - 《Tanto mar》

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文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

 1978年のシコのアルバム『Chico Buarque』において目立つのは、この連載の第1回目にご紹介した「Cálice」(ワイングラスとも聞こえるし、「黙れ」と命令されているようにも聞こえる歌)や、誰に向かってであるかは曖昧にした格好で、「あなたがどうであろうと違う日が来る」と説く「Apesar de você」など、軍政による独裁と人権抑圧を強く糾弾する歌ですが、遠く大西洋の向こうで独裁下にあった、ポルトガルについて歌った作品も含まれているのを、お聞きになったことがあるでしょうか。大航海時代で知られるポルトガルにもちなみ、「Tanto mar(こんなに海が)」と名付けられた歌です。

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