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[2024.5] 【映画評】豊かな実を結んだコラボによる青春映画 『青春18×2 君へと続く道』『水深ゼロメートルから』

豊かな実を結んだコラボによる青春映画
『青春18×2 君へと続く道』
『水深ゼロメートルから』

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文●あくつ 滋夫しげお(映画・音楽ライター)

 コラボレーションとは、異なる立場の個人や団体などが組んで行う共同作業のことで、協力した主体や規模、範囲によって合作、共作、協働など、様々な呼び方がある。いずれにしても考え方や文化的背景の違いが高いハードルになるリスクもあれば、逆に思いもよらない大きな成果を上げる可能性も秘めている。今月はそんなコラボによって豊かな実を結び、大きく花ひらいた青春映画を2本紹介しよう。

『青春18×2 君へと続く道』
シュー・グァンハン 清原果耶
 
5月3日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
©2024「青春 18×2」Film Partners  配給:ハピネットファントム・スタジオ

 『青春18×2 君へと続く道』(24)は祖父が台湾出身だった藤井道人監督の最新作で、20代の頃からの目標でそのために力も尽くして来た、台湾の映画人とのコラボによって生まれた念願の作品だ。企画を起ち上げたのは、エドワード・ヤンやホウ・シャオシェン作品で知られ、今や『DUNE/デューン 砂の惑星』など世界的な作品にも出演しプロデュース業にも進出した、アジアを代表する俳優チャン・チェン。主役には日台を代表する若手スター二人を抜擢。ドラマ「時をかける愛」(19)で人気を決定づけ歌手としても活躍し、台湾だけでなくアジア圏で大人気のシュー・グァンハン(許光漢)と、同世代の俳優では抜きん出た演技力で魅了し、初舞台主演作「ジャンヌ・ダルク」(23)でも高い評価を受けた清原果耶だ。ロケも日本と台湾の主に地方都市で行われ、それぞれの美しい風景を堪能することが出来る。

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