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[2022.3]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り20】 沖縄に伝わる弥勒の歌 −《赤田首里殿内》と《弥勒節》を例に−
文:久万田晋(沖縄県立芸術大学・教授)
400年余続いた琉球国の王都であった首里には《赤田首里殿内》という歌が伝わっている。
赤田首里殿内 黄金灯籠提ぎてぃうりが明がりば 弥勒お迎へ
(訳:首里赤田の首里殿内に黄金の灯籠を提げて それが明るくなると弥勒様のお迎えだ)
この琉歌調(8886)の歌詞の後には「シーヤープー シーヤープー イーユヌミー イーユヌミー ミーミンメー ミーミンメー ヒージントー ヒージントー」という不思議なハヤシ詞が続いている。この部分を児童たちが体の動作を伴って歌うことから《赤田首里殿内》は童歌ともされている。「赤田首里殿内」とは、沖縄の信仰体系の頂点である聞得大君に次ぐ3人の高級神女のひとり首里大アムシラレが居住した首里殿内のことであり、そこには弥勒様が祀られていた。弥勒とは、仏教において釈迦入滅の56億7千万年後に兜率天からこの世へ下り人々を救済するといわれる弥勒菩薩のことである。首里の赤田では、毎年旧7月16日に弥勒祭りが執り行われ、布袋様のようにふくよかな弥勒様が首里の街中を練り歩くのである。この弥勒の由来について、次のような話が伝わっている。
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