[2024.11]【映画評】『ゴンドラ』『ロボット・ドリームズ』〜言葉のいらない豊かな世界〜
言葉のいらない豊かな世界
『ゴンドラ』『ロボット・ドリームズ』
文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)
11月の公開作品『ゴンドラ』は地方の山が舞台の実写作品、『ロボット・ドリームズ』は大都会が舞台のアニメ作品。一見この2作には接点などないと思うかもしれないが、実は大きな共通点がある。それは両作ともほぼセリフがないということだ。そして見えてくる世界は違えども、共に人生のほろ苦さと切なさ、それでも消えることのない希望を描くという点でも共通している。またセリフがないからこそ、その分映像と音響の世界が豊かに広がり、言葉のいらない音楽が多くを物語っているのも必然だろう。外国映画の字幕版と吹替版を比べたら個人的には断然字幕派だが、字幕によって映像に傷がつくことと字幕を読むことで映像に向かう神経が削がれることは、それらがわずかであっても歯痒さを感じたりもする。その点この2作はしっかり内容を把握しながらも、監督が意図した通りの映像と音響を十分に堪能出来るのではないだろうか。
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