マガジンのカバー画像

Web版 2024年11月

6
2024年11月に新規にアップした記事のみが収められているマガジンです。こちらでアーカイブ記事は読めませんので、アーカイブ記事も購読するには定期購読マガジンの「ラティーナ」(月額…
¥950
運営しているクリエイター

記事一覧

[2024.11]【タンゴ界隈そぞろ歩き⑲】《タンゴ・ロマンサ》はタンゴの《無言歌》なのか?

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura アルゼンチンタンゴには《タンゴ・ロマンサ (tango romanza)》と呼ばれる形式がある。1920年代以降に作られたロマンティックな楽曲を指し、日本では《タンゴの無言歌》と訳されたりもする。 最初にタンゴ・ロマンサという形式名が使われたのは、1924年(ちょうど100年前!)にエンリケ・デルフィーノが作曲し、ホセ・ゴンサレス・カスティージョが作詞した「グリセータ(Griseta)」だった。グリセー

[2024.11]デビュー25周年公演を控えた小松亮太にインタビュー 〜タンゴという音楽が無くなるかもしれない危機感〜

インタビュー・文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura  昨年より続くメジャーデビュー25周年記念の締めくくりとして12月にオルケスタ・ティピカ公演を行う小松亮太氏に話を聞いた。公演に向けての想いや意気込みを語ってもらうつもりだったのだが、蓋を開けてみれば彼の口から出てくるのはタンゴの置かれた現状への強烈な危機感と、今後に向けた焦燥感、そして見出した一縷の希望。おそらくラティーナ以外では読めないであろう彼の言葉を、ぜひ受け止めていただきたい。 (

[2024.11]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年11月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 V.A. · Super Disco Pirata: De Tepito para el Mundo 1965-1980レーベル:Analog Africa [-] ↓国内盤あり〼。(日本語解説帯

[2024.11]【境界線上の蟻(アリ)~Ants On The Border Line〜24】まるで2020年代のインドに転生したザ・バンド? 〜ピーター・キャット・レコーディング・カンパニー〜

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  もしも全盛期のザ・バンドが2020年代のインドに転生したとしたら、一体どんな音を奏でていただろうか? ── なんてこれまで想像しようとしたことすらなかったが、今回紹介するピーター・キャット・レコ―ディング・カンパニー(以下、PCRC)の最新アルバム『Beta』は、ある意味でそれを具現化してしまったかのような驚くべき作品となっている。インドのポピュラー音楽といえば、大衆的なインド映画の音楽(ボリウッド)、メロディアスなポッ

[2024.11]【映画評】『ゴンドラ』『ロボット・ドリームズ』〜言葉のいらない豊かな世界〜

言葉のいらない豊かな世界 『ゴンドラ』『ロボット・ドリームズ』 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  11月の公開作品『ゴンドラ』は地方の山が舞台の実写作品、『ロボット・ドリームズ』は大都会が舞台のアニメ作品。一見この2作には接点などないと思うかもしれないが、実は大きな共通点がある。それは両作ともほぼセリフがないということだ。そして見えてくる世界は違えども、共に人生のほろ苦さと切なさ、それでも消えることのない希望を描くという点でも共通している。またセリフがないからこそ、そ

[2024.11]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 52】 Marcelo D2 & SambaDrive 『Direct-to-Disc』

文:中原 仁  リオのヒップホップ・ユニット、プラネット・ヘンプのリーダー、マルセロ・D2(デードイス)はファースト・ソロ・アルバム『Eu Tiro É Onda』(1998年)以降、ヒップホップとサンバの融合の第一人者として新たな地平を切り開いてきた。  2017年、ピアノ・トリオと共演した6曲のスタジオライヴ・セッション『Marcelo D2 & Samba Drive - Living Room Live Vol.1』をYouTubeで公開。DJなし、生バンドに乗っ