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[2016.02]ファッチマ・ゲヂス ─ ブラジル・ポピュラー音楽における 女性的視座

文●ヂエゴ・ムニス/翻訳●宮ヶ迫ナンシー理沙
texto por DIEGO MUNIZ / traduzido por NANCI LISSA MIYAGASAKO

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Fátima Guedes『Transparente』(Fina Flor:FF 060)
①A vida que a gente leva (2005) ②Ética (2015) ③Condenados (1979) ④Sempre bate o sol (2015) ⑤Flor de ir embora (1990) ⑥Criatura (1985) ⑦ Faca (1992) ⑧Onze fitas (Fátima Guedes, 1979) ⑨Minha Nossa Senhora (Fátima Guedes, 1995) ⑩Transparente (2015) ⑪Ela (2011) ⑫Cheiro de mato (1980) ⑬E agora? (2003)⑭Lua de cereja (2015)

 ファッチマ・ゲヂスが帰ってきた。16年にわたりオリジナル作品のリリースがなかった歌手/コンポーザーは、この度自身14枚目となるアルバム『Transparente(透明)』を引っさげて戻ってきた。

 アルバムの全14曲のうち、7曲は未発表曲で、残りの7曲は彼女のさまざまな時代の曲を選曲し再録している。再会の喜びと彼女の健在ぶりを示した復帰だ。

 15歳の若さで作曲をはじめて、作曲した曲がエリス・レジーナ、マリア・ベターニア、ネイ・マトグロッソ、アルシオーネ、モニカ・サウマーゾなどMPBにおける大御所たちによって録音された、マリア・ヂ・ファッチマ・ゲヂス。このインタビューでは、彼女のコンポーザーとしての先駆的な歴史、新世代に及ぼしている影響について、そして数十年のブランクの後、代表曲である「Cheiro do Mato」と「Onze Fitas」を再録するに至った経緯などについて聞くことができた。

■新しいアルバムについて

—— 新作『Transparente(透明)』の選曲はどのように行ったのですか?

ファッチマ・ゲヂス リスナーに喜んでもらうことを一番に考えました。私のファンにはすでに三世代目の、18歳〜20歳のMPBに関心があり私の作品にも関心がある人たちがいます。7曲は未発表曲を、今回は少なくとも私の声で、そしてこの新しいリスナー層に、私の仕事の流儀を知ってもらうために過去作7曲を再録しました。

—— それぞれ異なった時期に作られた曲を再録していますね。一つのアルバムにそれらを一つの作品に集めるのはどうでしたか?

ファッチマ・ゲヂス
 ライヴで観客が喜ぶ曲と、私が再び歌いたいと思った曲を選びました。新曲は、50以上作りためてある中から私が選びました。今まで一緒に仕事をしてきた素晴らしいミュージシャンたちの作品や、定評のある私の昔の作品をもこの新しい世代のリスナーたちに聴いてもらう良い機会だと思いました。なんと言いますか、「ほら、私たちのできることをどうぞ見て」という感じで。

—— 50以上の新曲があるなかで、未発表作品だけでアルバムを作らなかったのはなぜですか?

ファッチマ・ゲヂス 長い間このCD業界から離れていたので、闇夜に鉄砲だと考えましたが、アルバム発表後、ポジティブな批評を多くもらい、ぜひやりたい次作を作る道が開けたように感じています。

—— 「Onze Fitas」や「Cheiro de Mato」のようなあなたのディスコグラフィーのなかでも非常にクラシックな作品を再録していますね。そのプロセスはどうでしたか?

ファッチマ・ゲヂス これらの曲に、新しいアレンジを施し、異なったアプローチをしました。例えば、「Cheiro de Mato」は最初のリリース時から30年もの月日が経っています。より熟した、少し苦味も混じった、当時とは違った解釈ができました。

—— どんなきっかけで曲を再録しようと思うですか?

ファッチマ・ゲヂス  私の場合、新しい世代に歌い継ぎたい、その必要性を感じた時ですね。再録ってどんなときも受け入れられると思うのです、その時々によってそれぞれに解釈がありますから。でも今回は、私のライヴに来てくれる新世代の観客のために作りたいと思いました。そして、このプロジェクトに参加してくれた天才的な仲間たちがいなければできませんでした。レアンドロ・ブラガ、ジルソン・ペランゼッタ、ネルシーニョ・ファリアス、ハファエル・ヴェルネ。いつも新しいものをもってきてくれる、一緒に仕事するのが大好きなミュージシャンたちです。

—— このアルバムの曲はそれぞれに異なった人たちがアレンジをしていますね。スタジオに入って40人以上の人たちと仕事をされたようですが、その制作過程はどうだったのでしょうか?

ファッチマ・ゲヂス こういう仕事は30年以上もやっていませんでしたから、このプロジェクトはご縁があって人生のどこかでご一緒して、友人となった人たちのおかげでできた作品です。いろいろ深く考えてつくっていたら、後回しにしていたかもしれません(笑)。 こんなに壮大なものになるとは思ってもみませんでした。

—— アルバムはその詳細まで聴きわけるために、ちょっと聴く力を要しますね。

ファッチマ・ゲヂス そうね。47人のミュージシャンたちが素晴らしいことをやっているのだから、録音の細かなところまで気づくには、すこし丁寧に時間をかけないといけないわね。とても豊かな作品ですから、吸収するにはそれなりに時間がかかると思います。

■芸能活動のスタート

—— 15歳のころから作曲をはじめられて、19歳のときには歌手として最初のアルバムをリリースされていましたね。この最初の時期はいろいろなことが凝縮されていたのでしょうか。

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