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[2020.10]Yae|On The Border〜境界線の上で〜【特集 都市物語】

Yae●プロフィール
東京生まれ。故藤本敏夫・歌手加藤登紀子の次女。
2001年ポニーキャニオンからアルバムCD『new Aeon』でデビュー。
存在感あふれる「声」で各地にファンの和を広げ、NHKみんなのうたや人気ゲームソフト、ウォルトディズニー生誕110周年記念作品ディズニー映画「くまのプーさん」の主題歌を歌唱。
2020年10月7日に20周年記念アルバム「On The Border」をソニー・ミュージックダイレクトよりリリース 。同年11月10日には、東京渋谷伝承ホールにて、20周年記念コンサートを開催し全国ツアーも予定している。
現在は、三児の母となり、家族とともに自然豊かな里山「鴨川自然王国」で、農を取り入れたスローライフを送り、ラジオのパーソナリティも務めながら全国でライブ活動を行っている。
http://yaenet.com/index.html

yae2020-21_ap_smのコピー


 2001年、初めてのアルバムをリリース。そして歌手デビュー。25歳だった。

 右も左も分からない私は「あなたはシンガーソングライターよ! だから曲を作りなさい」とディレクターに言われ、どうすればいいのかわからずに思いつくままにメロディーを作り、ポータブルのMDで録音し始めた。

 なぜだかわからないけれど、出てくる旋律は北欧や東欧、アラブやイスラエルの音楽。行ったこともないのに。

 そういえば、私がまだ小さかった頃に、母がアナログのレコードを毎朝かけていた。半分はビートルズ、でも半分は世界中の民族音楽だった。インドやブラジル、南米の音楽たち。ユダヤ音楽もあった。

 どことなく寂しげなでも力強い旋律。

 そんなメロディーが学校へ行っても授業中に頭の中をぐるぐるしていた。

 大人になって、ワールドミュージックに触れ、やっぱりその旋律を耳にした時、懐かしく切ない気持ちが心に溢れるようで。いつの間にか意味はわからないけれど、耳でコピーして歌ってみたりした。ドレミの音階では表現できない、微妙な音階や変拍子の曲に心が惹かれていった。

 2002年、父が他界して間もなくの頃だった。はじめてヨーロッパの一人旅をすることになった。アリタリア航空で格安の航空券をインターネットで見つけたのがきっかけだった。

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