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[2023.7]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㊱】 Maria Luiza Jobim『Azul』

文:中原 仁

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 アントニオ・カルロス・ジョビンの末娘、マリア・ルイーザ・ジョビンが6月23日、セカンド・リーダー・アルバム『Azul(アズール)』をデジタル・リリースした。
 
 マリア・ルイーザ・ジョビンは1987年3月20日、父が60歳を迎えた年に生まれた。前年の真夏、父の初来日公演の際、バンダ・ノヴァのメンバーだった母アナ・ロントラのお腹の中にいたことになる。新作にも日本の曲がある。まずは彼女の歩みを簡単に振り返っていこう。
 
 1994年12月、父が世を去る年に発表したラスト・アルバム『Antonio Brasileiro』の中に、7歳のマリア・ルイーザとデュエットした可愛らしい小曲「Samba da Maria Luiza(マリア・ルイーザのサンバ)』があった。終わった後、"De novo?(もう一回?)" と言う彼女に "録音中に話すんじゃないよ" と父が戒める会話も微笑ましい。なお、このアルバムで彼女は、父と兄パウロが共作した曲「Forever green」でも歌っていた。


 カエターノ・ヴェローゾがプロデュースしたカカー・ヂエギス監督の映画『Orfeu(オルフェ)』(1999年)サウンドトラック・アルバムで、亡父とヴィニシウス・ヂ・モライスの名曲「A Felicidade(フェリシダーヂ)」を、ジャキス・モレレンバウム編曲・指揮のオーケストラをバックに歌った。イノセントな歌声が心に残る。


 2006年放送のTV連続ドラマ『Página da vida』サントラ盤では「Wave」を、自分より年上だが甥にあたるダニエル・ジョビンとのデュエットで録音した。サントラCDには Luiza Jobimとクレジットされていた。

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