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カエターノが、ソニーミュージック移籍第1弾シングルをリリース

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 ラテン・グラミー賞を13回、グラミー賞「最優秀ワールド・ミュージック・アルバム」を2度受賞したブラジルを代表するシンガー・ソングライター、カエターノ・ヴェローゾがテクノロジーとインターネットに思いを馳せる新曲「アンジョス・トロンショス(歪んだ天使たち)(Anjos Tronchos)」を9月17日、デジタル・リリースした。同曲はソニーミュージック移籍第1弾であり、数ヶ月内に予定されている新作に収録される。

Caetano_Anjos Tronchos ジャケット写真

■「アンジョス・トロンショス(歪んだ天使たち)」の試聴はこちらから
https://SonyMusicJapan.lnk.to/AnjosTronchos

 ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ(MPB) の最重要ミュージシャンの1人と見なされているシンガー・ソングライターのカエターノは、「アンジョス・トロンショス(歪んだ天使たち)」のインスピレーションの源を以下のように説明している。
「このテーマや問題に不案内な私には、この曲は完成できないだろうと思っていたんだ。このような曲を書くならもっとたくさん知る必要があると心に決めたんだ。もっと学ぶにはもっとインターネットを使う必要があるし、ソーシャル・メディアの状況ももっと知っておく必要があるとね」
 彼はこう締めくくる。「私はテクノロジーの問題やそれのもたらすものについてあまり詳しくないけれど、書いた曲は私本人がマスターできる範囲よりもずっと大きな問題に触れているような気がする。世の中には政治的な結果をもたらした曲や、何世代もの人々や社会の分野の中で考えを生み出してきた曲がたくさんあるけれど、それらを書いた者はその題材の複雑さを理論的に理解していた訳ではない。最終的には “そういう曲の1つになり得る曲を何とか書くことができたな” と思ったよ」

 フェルナンド・ヤング(Fernando Young)とデル(Del)が監督を務めたミュージック・ビデオは9月17日午後7時(米東海岸時間:日本時間9月18日午前8時)に公開された。それに先駆けて午後6時45分(米東海岸時間:日本時間9月18日午前7時45分)にはアーティストのYouTubeチャンネルで本人がこのプロジェクトについてもう少し詳しく述べたライヴ配信もあった。

 ミュージック・ビデオはカエターノを影や鏡の合間にフィーチャーするイメージにより、曲の濃密さを表現している。

フェルナンドとデルはミュージック・ビデオについて、以下のように説明している。
「私たちはカエターノのパフォーマンスから焦点をずらしてしまうようなポスト・プロダクションやエフェクトをかけることのないよう、職人的な姿勢でリアルな効果を追求しました。反射やアルゴリズムの増殖と対照的で、超ミニマルなシナリオを構築するというアイデアはそのようにして生まれました。これはデジタルの空虚感に直接繋がっています」

 カエターノ・ヴェロ―ソはラテン・グラミー賞受賞歴の最も多いブラジル人アーティストであり、獲得したトロフィーは合計13回。さらに2012年にはアカデミーにより「パーソン・オブ・ザ・イヤー」として表彰された。50作以上のアルバムを発表し、ペドロ・アルモドヴァル(Pedro Almodovar)監督の『トーク・トゥ・ハー(Hable con Ella)』やジュリー・テイモア(Julie Taymor)監督の『フリーダ』といった映画のサウンドトラックでコラボレーションを行ってきたカエターノ・ヴェローゾは、目下次の作品のリリース準備に入っている。アーティストの彼が曲を書くときにどのように脳を働かせているかが分かるような、頭の中を旅する作品になるという。

■「アンジョス・トロンショス(歪んだ天使たち)」 歌詞&対訳
(Caetano Veloso)

Uns anjos tronchos do Vale do Silício
シリコン・ヴァレーの歪んだ天使たちは
Desses que vivem no escuro em plena luz
真っ昼間でも暗闇に生きるあの連中は
Disseram: vai ser virtuoso no vício
こう言った。青より青いスクリーンへの
Das telas dos azuis mais do que azuis.
依存の名匠たらん、

Agora a minha história é um denso algoritmo
今では僕の個人史は、リアルなセラーたちに
Que vende venda a vendedores reais,
セールスを売る、濃密なアルゴリズムだ
Neurônios meus ganharam novo outro ritmo
僕のニューロンは新たに別のリズムを得た
E mais e mais e mais e mais e mais.
そしてさらに、さらに、さらに、さらに、さらに

Primavera Árabe - e logo o horror.
アラブの春 - そのすぐ後には恐怖が
Querer que o mundo acabe-se:
世界の終焉を求めること
Sombras do amor.
それは愛の陰影

Palhaços líderes brotaram macabros
道化師がごとき不気味なリーダーらが
No império e nos seus vastos quintais
帝国とその広大な裏庭に現れ始めた
Ao que revêm impérios já milenares
千年もの歴史をもつ帝国が
Munidos de controles totais.
完全な支配力を備えて戻ってくる

Anjos já mi ou bi ou trilionários
ミリオネア・ビリオネア・トリリオネアな天使たちは
Comandam só seus mi, bi, trilhões
己の手元のミリオン、ビリオン、トリリオンしか管理しない
E nós, quando não somos otários,
そして僕らは、愚かでない時には
Ouvimos Shoenberg, Webern, Cage, canções...
シェーンベルクやヴェーベルン、ケージや歌を聴く

Ah, morena bela
ああ、美しいモレーナ
Estás aqui
ここにいたのだね
Sem pele, tela a tela:
皮膚をなくし、スクリーンからスクリーンへ
Estamos aí.
僕らは今そこにいる

Um post vil poderá matar
卑劣な書き込みが人を殺せなら
Que é que pode ser salvação?
救済になりうるものは何だろう
Que nuvem, se nem espaço há
スペースすらないとしたら、何がクラウドか
Nem tempo, nem sim nem não. Sim: nem não.
時間もなく、諾でも否でもない。諾は否でもない

Mas há poemas como jamais
だが、かつてなかったほどの詩がある
Ou como algum poeta sonhou
詩人の誰も夢見たことがなかったほどの詩が
Nos tempos em que havia tempos atrás
昔がまだ存在した頃の
E eu vou, por que não? Eu vou, por que não? Eu vou.
僕は行く なぜいけない? なぜいけない? 僕は行く

Uns anjos tronchos do Vale do Silício
シリコン・ヴァレーの歪んだ天使たちは
Tocaram fundo o minimíssimo grão
極小の粒のところまで降りてきた

E enquanto nós nos perguntamos do início
そして、僕らが初めから自問している間
Miss Eilish faz tudo o quarto com o irmão.
ミス・アイリッシュは兄と一緒の部屋ですべてを行う

(対訳:國安真奈)

 
■プロダクション・クレジット
Voice: Caetano Veloso カエターノ・ヴェローゾ
Guitar: Pedro Sá  ペドロ・サー
Bass: Pedro Sá  ペドロ・サー
Synthesizer: Lucas Nunes ルーカス・ヌネス
Zabumba: Pretinho Da Serrinha プレチーニョ・ダ・セヒーニャ
Triangle: Pretinho Da Serrinha プレチーニョ・ダ・セヒーニャ

Recording Technician: Lucas Nunes ルーカス・ヌネス
Mixing: Daniel Carvalho e Lucas Nunes ダニエル・カルヴァーリョ&ルーカス・ヌネス
Mastering: Alexandre Rabaço アレシャンドレ・ハバソ
Music Production: Caetano Veloso e Lucas Nunes カエターノ・ヴェローゾ&ルーカス・ヌネス

【カエターノ・ヴェローゾについて】
  バイーア出身のシンガー・ソングライター、カエターノ・ヴェローゾは、ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ(MPB) の最重要ミュージシャンの1人である。彼をボブ・ディラン、ボブ・マーリー、ジョン・レノン、ポール・マッカートニーに匹敵する20世紀最高のソングライターの1人と見なす向きもあるが、本人はそのような同業者たちはおろか、同胞のトム・ジョビンはもちろん、ミルトン・ナシメント、ジルベルト・ジル、ジャヴァンといった面々の基準にも適っていないと謙遜している。
ボサ・ノヴァ・ムーヴメントの象徴的存在にして創始者の1人であり、MPBとして知られるようになった音楽スタイルに寄与したジョアン・ジルベルトに影響を受けたカエターノのキャリアは、ボサ・ノヴァを解釈することから始まった。カエターノは反体制文化と繋がりのあったトロピカリア(Tropicália)・ムーヴメントの中で存在を確立していった。ブラジル人プロデューサー、アレンジャー、ライターだった若きカエターノは、トン・ゼー(Tom Zé)、自身の妹マリア・ベターニア(Maria Bethânia)、ガル・コスタ(Gal Costa)、自身のパートナー、ジルベルト・ジルとともにセミ・アマチュアのショウに参加した。初めて手掛けた音楽作品はアルヴァロ・ギマラインス(Álvaro Guimarães)がサルヴァドールで監督した劇『A exceção e a regra(例外とルール)』のサウンドトラックだった。彼のキャリアは既に50年を超えている。
1965年、バイーア出身の彼は妹マリア・ベターニアの出演したミュージカル『オピニオン(Opinião)』の全国公演に同行することからプロとしてのキャリアをスタートさせた。その後まもなくポピュラー音楽のフェスティヴァルに出演したり、映画のサウンドトラックを手掛けるようになる。1967年にはガル・コスタと初めてのアルバム『ドミンゴ』をリリース。同年トロピカリア(注:TropicalismoとTropicáliaは同義)・ムーヴメントを率いている。カエターノは1960年代以降最も影響力の高いブラジル人アーティストの1人と見なされており、「ポスト・モダンの吟遊詩人」と呼ばれている。50作以上のアルバムを発表し、ペドロ・アルモドヴァル監督の『トーク・トゥ・ハー』やジュリー・テイモア監督の『フリーダ』といった映画のサウンドトラックでコラボレーションを行ってきたことにより、2004年には世界で最も尊敬を集め多作なラテン・アメリカ系ミュージシャンの1人と見なされた。リラ・ダウンズと共演した『フリーダ』の挿入歌「バーン・イット・ブルー」は、2003年のアカデミー賞のベスト・オリジナル・ソング部門にノミネートされている。同年の授与式にはカエターノがメキシコ人のリラとパフォーマンスを披露した。
ヴェローゾはキャリア全体を通じて、世論を最も大きく動かす、最も論議を呼ぶ人物の1人にもなった。彼にはラテン・グラミー賞を13回、アメリカのグラミー賞を2回など多くの受賞歴があるが、中でも第24回ブラジリアン・ミュージック・アワードではアルバム『アブラサッソ(Abraçaço)』がポップ/ロック/レゲエ/ヒップホップ/ファンク部門最優秀歌唱賞と最優秀ビジュアル・プロジェクト賞の2冠を獲得した。

■「アンジョス・トロンショス(歪んだ天使たち)」の試聴はこちらから
https://SonyMusicJapan.lnk.to/AnjosTronchos

(ラティーナ2021年9月)

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