[2021.10] 【シリーズ:ブラジル音楽の新しい才能⑥】 イラン(Hiran)
e-magazine LATINA によるブラジルのポピュラー音楽の中で頭角を現し始めた新しい才能を紹介するシリーズです。レポートは、ブラジル人音楽ジャーナリストのヂエゴ・ムニス。今回は、ブラジルの音楽的表象性を歌う2人の歌手を紹介します。
文●ヂエゴ・ムニス(Diego Muniz)
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マジュール(Majur|左)とイラン(Hiran|右)と満面の笑みのカエターノ・ヴェローゾ(中央)
2015年以降、リニケル(Liniker)やパブロ・ヴィタール(Pabllo Vittar)などが登場したことで、LGBTI+(Lesbian, Gay, Bisexual, Transvestite, Transgender, Intersexなどの呼称)のアーティストたちが、ブラジル音楽シーンの中で認知度を高め始めています。
その中でも特に活躍の場を広げているマジュール(Majur)とイラン(Hiran)は、作曲や映像作品の面で多様性をもたらし、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)やマリア・ベターニア(Maria Bethânia)、イヴェッチ・サンガロ(Ivete Sangalo)といった有名な音楽家のファンも獲得しています。
ブラジルのポピュラー音楽史の壁を壊しながら、すでにその歴史に名を刻み始めている2人のアーティストを紹介します。
マジュール編はこちら↓
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Hiran
ブラジル中のステージで成功し、ブラジル音楽シーンの才能ある新人として認められ、新世代のアーティストにインスピレーションを与えるようになる以前に、このバイーア出身のラッパーは、いくつかの壁を乗り越えなければなりませんでした。バイーア州の内陸部に位置するアラゴイーニャス(Alagoinhas)で生まれたイラン・フェルナンデス・サントス(Hiran Fernandes Santos)は、幼い頃から、ラップ・ミュージックのビートやライムに親しんできました。
「私が最初にテレビでラッパーを見たのは、ジェイ・ズィー(Jay-Z) でした。9才の時でした。私は面白いと思って、すぐに同じようなことをしてみたいと思いました。それから、ブラジルの素晴らしいラッパーのエミヴィー・ビル(Mv Bill)を見ました。それらのピースを組み合わせて、ブラジルでもこんなことができるんだと思いました」と、ラップ・ミュージックとの出会いをイランは振り返ります。
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