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[2021.06]【ピアソラ~生誕100年】超実用的ピアソラ・アルバム・ガイド on Spotify Part 9

文●斎藤充正 texto por Mitsumasa Saito

[著者プロフィール] 斎藤充正 1958年鎌倉生まれ。第9回出光音楽賞(学術研究)受賞。アメリカン・ポップスから歌謡曲までフィールドは幅広い。世界のピアソラ・ファンがピアソラのバイブル本として認めている『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』の著者であり、ピアソラに関する数々の執筆や翻訳、未発表ライヴ原盤の発掘、紹介などまさにピアソラ研究の世界的第一人者。
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Suite Punta Del Este

 まずは、前回紹介が漏れていた1982年の録音から、ピアソラが公式には録音を残さなかった《プンタ・デル・エステ組曲》を、アルデマーロ・ロメロ指揮、カラカス室内管弦楽団との共演ライヴで紹介しておく。もともと、後述するキンテートの1984年のミラノでのライヴ盤第2集分に付随する形で収録されていたものだが、このコンピレーションでは《プンタ・デル・エステ組曲》をメインに、1972年のコンフント9のローマでのライヴから3曲、1984年のキンテートのミラノでのライヴから2曲を加えた形となっている。

1984年

Libertango

 避暑シーズンの後半にあたる2月にマル・デル・プラタのロキシー劇場で行われたキンテートのライヴ2枚組(1997年リリース)。恐らくは休暇中に書かれたのであろう新曲が2曲。愛犬および奥さんの愛称である「ムムキ」、エクトル・コンソーレのコントラバスをフィーチャーした「コントラバヒシモ」といういずれも大作が、初めて披露された。音質はまあまあ。

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