[2021.05]岸和田 仁【特集 私の好きなブラジル映画】
選・文●岸和田 仁
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シネマ・ノーヴォにコミットした映画人の戦列に最若年者として参加したのがカカー・ヂエゲスであったが、1999年の月刊誌記事で「僕は世界を考えている映画人だ。僕は君たちが土曜日の夜にでもヒマを潰すための映画を作るのではない」と語っていた。初来日した同監督に、筆者が直接インタビューした時(2003年)も、「今も僕の考えは変わっていない。世界のこともブラジルについても毎日考え、映画を作る。」と回答したのには素直に感動してしまったものだ。
カカーに限らず、意識あるブラジルの映画人は、常に時代状況にクリティカルに向き合いながら、映画作品を生み出してきている。例えば、チズカ・ヤマザキ。2017年に制作・公開した『1817―忘れられた革命』は、ペルナンブーコで起きた「1817年革命」への不当な評価を見直す教育的視線も含む中編映画だ。こんな生真面目な映画もきちんと作られるのがブラジル映画の懐の深いところだ。
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