[2021.02]「ラ米乱反射」電子版 第7回 ラ米情勢とバイデン米政権
「ラ米乱反射」電子版 第7回
ラ米情勢とバイデン米政権 ボリビア経済モデルに注目
文●伊高浩昭(ジャーナリスト)
▼地域概観展望
ラ米の21世紀第3・10年紀(2021~30)を俯瞰的に予測すれば、保守化・右傾化がますます進むだろう。中国の台頭で米中関係は尖鋭化し、米国は中国のラ米進出に一層神経を遣い、対中関係の緊密なラ米諸国には厳しい態度で臨むことになるだろう。また欧米といざこざの絶えないロシアはラ米政策でも中国と連繋し、ラ米進出をさらに活発化させるだろう。
従来、中露のラ米対応は中国が経済、ロシアが軍事という特色があった。トランプ前米政権がキューバ、ベネズエラ、ニカラグアのカリブ沿岸左翼3国体制の打倒を謀ったのも、同3国が軍事面でロシアと密接な関係にあるからだ。この策謀は失敗したが、バイデン米政権のラ米における対中露政策は変わらず、同左翼3国への対応も戦術は変わっても基本戦略は変わらないだろう。
だが貧困層が急激に拡大してきた傾向は変わらず、多数派救済のための社会政策を実行する政権への志向が各国の国民の間に一層強まるだろう。こうした多数派と、少数富裕支配層との政治的経済的抗争は激化してゆくだろう。最も注目されている経済モデルはボリビアだ。成功して伝統的支配勢力や米国の利権を脅かしたため2019年11月クーデターに遭ったが、20年11月復権し、破壊されたモデルを再建している。
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