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Web版 2022年6月

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#音楽

[2015.10]今一番見たかったブラジルの若手女性歌手 最高の表現力と技術を持つチャーミングな歌姫 Tatiana Parra タチアナ・パーハ

[月刊ラティーナ2015年10月掲載記事] 文●ヂエゴ・ムニス texto por DIEGO MUNIZ  ブラジルポピュラー音楽界は、ここ数十年、様々な女性歌手を輩出してきた。ヴァネッサ・ダ・マタ、ホベルタ・サー、マリアナ・アイダールなどはそのなかでもブラジル音楽の伝統を再確認させた歌手たちである。  多様性豊かで競争率の高いこのシーンで、そのパーソナリティと音づくりの丁寧さが評判を得たのが、タチアナ・パーハだ。クリスタルのように透き通った声の持ち主で、数年のキャリア

[2015.4]ホドリゴ・マラニャォンにおけるブラジル的混血 ⎯ A MISTURA BRASILEIRA DE RODRIGO MARANHÃO ⎯

[月刊ラティーナ2015年4月掲載記事] 文●ヂエゴ・ムニス texto por DIEGO MUNIZ  ホドリゴ・マラニャォン。今のブラジル若手アーティストのなかで最良の表現者のひとりと見なされていると言っても過言ではないだろう。作曲者、歌手、奏者、編者そしてプロデューサーであるカリオカは、ブラジルの音楽的多様性に賭けた音作りをする。  2014に発表された最新作である『Itinerário(「道程」の意)』は、バイアォン、サンバ・ヂ・ホーダ、マシーシ、サンバなどの要

[2022.6]【琉球音楽周遊❹】 鹿児島県 奄美諸島のシマ唄① | 宮沢和史

文●宮沢和史 *以下敬称略  “シマウタ” という言葉はそもそも奄美大島で使われていた言葉だという。“シマ” とはIslandではなく、その人の生活圏=村落、集落を指している。任侠映画のせりふにある「うちのシマ」というやつはその組織の縄張りという意味で、それと同じ意味合いの使われ方だと言っていい。我が集落ではこういう言い方をする、同じ歌であっても我が集落ではこう歌う、といったように相対的に自分のテリトリーを誇示する意味でシマという言葉は言い勝手が良いのだと思う。沖縄でも「

[2022.6]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2022年6月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Black Mango · Quicksandレーベル:Gusstaff [22] 19位 Iberi · Supraレーベル:Naxos World Music [21] 18位 Somi ·

[2022.6]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉕ 】後からボサノヴァに仲間入りした、叶わぬ恋と孤独の歌 ⎯ 《Outra vez (またしても)》

文と訳詞 : 中村 安志 texto por Yasushi Nakamura  ジョビンの作品には、ボサノヴァ黎明のタイミングよりも前のものが結構あり、その一部が、当初は、伝統的なスタイルで演奏されていたものの、後年になって新しいアレンジを施され、いつの間にかボサノヴァの一員として世に受け止められているケースがあることを、前回の「Dindi」などを含め、垣間見てきました。今回は、その1つに数えられ、コンパクトで多くの人の記憶に残っている歌、「Outra vez(またしても

[2022.6]【中原仁の「勝手にライナーノーツ㉓」】 Victor Kinjo 『Terráqueos』

文:中原 仁  歴史的に、沖縄からブラジルへの移民はとても多く、沖縄県人会の会員数は各県人会の中でも最大規模。宮沢和史さんも先月の『沖縄のことを聞かせてください』著者インタビューの中で、次のように話していた。 「で、最終的にここ何年か、サンパウロでの移民110周年の式典や、サンパウロの「沖縄まつり」でゲストで歌ったり、というのが今、僕にとっていちばん濃密なブラジルとの交流です。コンサートやレコーディングをしてきましたけれど、やっぱり日系人の人たちの手助け、助言がすごく大事

[2022.6]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉔】別荘を囲む自然を仰ぎ浮かんだ歌 ⎯ 《Dindi(ジンジ)》《Correnteza(水の流れ)》

文と訳詞 : 中村 安志 texto por Yasushi Nakamura  ジョビンにとって、静かで豊かな自然に囲まれたリオ郊外の地、ポッソ・フンドにある別荘で過ごす時間は、とても貴重な時間であったようです。ここで着想し練り上げたとされる作品には、例えばこの連載の15回目でご紹介した「大西洋岸の森林を守れ」と叫ぶ「Borzeguim」など、自然を讃える作品などが多数挙げられるほか、「3月の水」、「マチータ・ペレー」など、ボサノヴァ成功以後の時期においてジョビンの作風の