選・文●圷 滋夫(あくつしげお/映画・音楽ライター) 映画の楽しみは人それぞれで多くの理由があると思うが、そのうちの一つが行ったこともない国や地域の、見たことも聞いたこともない文化や風習への扉を開いてくれる、ということだろう。秀れた映画はごく限られた場所で行われる固有の文化や風…
選・文●圷 滋夫(あくつしげお/映画・音楽ライター) “アジア映画”と一言で括っても、それぞれの国の映画には独自の歴史や特徴があるので、それをひとまとめで語るのは難しい。それでも一つ確実に言えるのは、どの国にも新たな才能が現れては過去の作品群と接続し、その国の映画のイメージや特…
選・文●大石 始 90年代の僕はエドワード・ヤンや侯孝賢を通じて台湾のことを知り、ウォン・カーウァイの作品で香港のことを知った。インターネットの広大な世界が広がる前、映画は音楽と同じように世界を知るツールのひとつでもあり、アジアに対する僕のイメージの大部分は(少なくとも2000年代初…
選・文●石郷岡 学 あまりに瑞々しい「冬冬の夏休み」(ホウ・シャオシェン監督:台湾)や、鮮烈な「紅いコーリャン」(チャン・イーモウ監督:中国)、スタイリッシュな「欲望の翼「(ウォン・カーウァイ監督:香港)、これらを体験して以来、私は彼らの作品にすっかり魅了され、常に東アジアの映…
選・文●宮沢和史 ウェブ版として生まれ変わった”e-magazine LATINA”では、音楽だけではなく世界の映画についても語り合える場を作っていきたいと思っています。第一回目の今回は様々なフィールドで活躍されている方々から”アジア映画”をご紹介していただきます。アジア映画といっても必ずしも…
選・文●中江裕司 アジアの逆襲 映画は、フランスで生まれハリウッドで育った。思春期の頃はイタリアのネオリアリズモやフランスのヌーヴェルヴァーグで多感な時期を経て、やはり王道はハリウッドであった。アジアといえば、映画においては辺境でしかない。韓国映画「パラサイト」がアカデミー賞を…
選・文●野田隆司 いわゆるアジア映画を見るようになったのは1980年代後半あたり。ワールドミュージックのブームと同じ頃のこと。沖縄からたまに上京する機会があると、”ぴあ“でスケジュールをチェックして、ミニシアターやライブハウス、CDショップを訪ね歩いた。 「紅いコーリャン」(チャン…
選・文●手塚るみ子 アジア映画に対して思うところ アメリカやヨーロッパには描けない、アジア独自の文化や風俗、宗教観や美徳から生まれる作品がある。残酷さを表す所作ひとつとっても違うだろう。ものの哀れが描ける。そして妖精ではなく妖怪を導き出せる空想力が独特のリアルとファンタジーのマ…
選・文●辺土名直子 沖縄映画への誘い 幼い頃は、大人たちがご近所で集まることも多く、ブルーシートを敷いて、オードブルに持ち寄りの三合瓶に一升瓶、唄三線が夜更けまでお構いなしに鳴り響いていた。大学進学を機に大阪へ10年、沖縄へ帰ってきた時にはそんな光景は薄れつつあった。 私は1976…