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Web版 2022年4月

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#音楽

[2022.4] ロック・ドキュメンタリー3本立て!⎯ 同じ時代の同じ場所に生まれた音楽から見えてくるものとは何か?

文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  昔からロックに関するドキュメンタリー映画は何本も作られてきたが、特にここ数年では、追い切れないほど沢山の作品が公開されている。個々のアーティストやバンドを掘り下げたものから、ある特定のシーンを追ったものまで、その多くは当時の貴重なライブ映像やプライヴェートの姿を、そして本人や親族、近しい関係者の証言を織り交ぜ、様々な切り口で創られている。元々のファンにはもちろん、その対象をよく知らない初心者でも楽しめるものも多く、何より各々の音楽をスク

[2022.4] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉑】 20年以上世に出ずにいた、かわいいラブソング - 《Ai quem me dera》

文と歌詞対訳●中村安志 texto e taraduão / Yasushi Nakamura  ジョビンに関するこの連載第4回目にご紹介した「数学の授業(Aula de matemática)」というユーモラスな曲は、マリーノ・ピントという、 1927年生まれのシンガーソングライターとの共作でした(1958年)。  このマリーノとジョビンの共作は、少なくとも計5曲確認されており、この「Aula de matemática」のほかに、「Sucedeu assim(こうなっ

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで⑦】 La Selva ⎯⎯ ウーゴの宇宙船に乗って ⎯⎯

▼ La Selva(2021) ウーゴの宇宙船に乗って 文●松田美緒  2020年8月、パンデミックの最中に映像チームと始めた配信 “Through The Window” の3回目に、また世界とつながりたいという思いから、ウーゴ・ファトルーソに久しぶりにメールを書いて、新しい曲を歌わせてくれないかと聞いてみた。すると、すぐに嬉しい返事が来て、わざわざこのために曲を書き下ろしてくれた。“El viaje de la libelula”「トンボの旅路」という歌で、向こう

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで⑥】 クレオール・ニッポン ⎯⎯ 歌の記憶を旅する ⎯⎯

▼ クレオール・ニッポン(2014) 歌の記憶を旅する 文●松田美緒  南米を奔走してアルバムを作っても、日本ではレコ発として再現のしようがなく、カーボヴェルデをウルグアイでやってクレオール人に見せてすごいねと言ってもらって喜んでるだけで、震災後の大変な時に自己満足で終わってちゃいけないと思い始めた。南米で日本の歌をその時だけとってつけたように歌うのも違うし、これぞ私の日本の故郷の歌です、と胸を張って言えるような歌がないだろうか。そんな2011年末、25年ぶりに訪れた秋田

[2022.4]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2022年4月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

 e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 David Krakauer · Mazel Tov Coctail Partyレーベル:Label Bleu / Table Pounding [16] 19位 Oki · Tonkori i

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで④】 Flor Criolla ⎯ 褐色の大地の歌を花束にして ⎯

▼ Flor Criolla (2010) ⎯ 褐色の大地の歌を花束にして ⎯ 文●松田美緒  2007年真冬のブエノスで観たウーゴ・ファトルーソと絶対にいつか一緒に音楽をしたいと思ってから一年、思いがけなくその願いが叶った。共演したのは富山のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドで、ちょうどウーゴがヤヒロトモヒロさんと出演予定で、ヤヒロさんが二人のドス・オリエンタレスと私と いうユニットを提案してくれたのだ。  初めてウーゴと二人で音を出した時、その音楽のビッグバンのような創造