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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#アルゼンチン

[2023.11]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑧】 タンゴの詞の世界の住人はどんな酒を飲んでいるのだろうか

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 皆さん酒はお好きだろうか。私はかなり好きな方で、ほぼ毎晩飲んでいる。普段は焼酎が多く、食べ物によっては日本酒やワインを選ぶこともある。ビールも好きで、スタンダードなピルスナー、ラガーからホップの香りが強いものや色の濃いエール系、スタウト系まで…まあ要するにに何でも飲むわけである。 ところで、タンゴと関わりのある酒といえば何だろう。普通はワイン、それも赤というのが一般的なイメージではないかと思う。しかし考

[2023.11]アルゼンチン大統領選挙、ミレイが勝利!_現地メディアのミレイ追加情報

編集部  11月19日、大統領選の最終投票が終わり、アルゼンチンの新大統領に自由前進(ラ・リベルター・アバンサ)党のハビエル・ミレイ候補が選出された!8月13日のPASO予備選挙で、予想を大きく覆して圧倒的な人気を得て、トップ当選したミレイだったが、10月22日の第一回投票では現政権のセルヒオ・マサに次ぐ2番手となっていた。しかし、保守派パトリシア・ブルリッチの24%の有権者を引きつけ、リベラル派のマウリシオ・マクリ前大統領(2015-2019年)の承認を得るために、この日

[2023.10]アルゼンチン大統領選また驚きの結果!セルヒオ・マサが1位、ミレイは2位!!!

編集部  10月22日、アルゼンチンにとっては重要な新しい大統領選挙の本戦挙が行われた。PASO(予備選)で、世界を驚かせたリバタリアン候補ミレイがトップ当選したことには、アルゼンチン国内はもちろん、世界が驚いた。そして、大統領選挙の行方に世界の関心が向いていたが、結果は、セルヒオ・マッサが36%以上の得票率で勝利し、自由前進(ラ・リベルター・アバンサ)党のハビエル・ミレイ候補が30%の得票率で2位となった。「変革のために共に」(フントス・ポル・エル・カンビオ)連合のパトリ

[2023.10]どうにも止まらないインフレの中、加熱するアルゼンチンの大統領選挙!

文●本田 健治 texto por Kenji Honda  2023年8月、アルゼンチンの冬の最も寒い時期、タンゴダンスの世界選手権が始まった。寒さがあまり嬉しくない身体を慣れさせるために、少し早めだが、真冬の8月9日にブエノスアイレスに入ることにした。昔、長く滞在した頃は必ずアパートを借りていたが、今年もほんの少しの間だが、アパート暮らしの感触を思い出したい、と、サンテルモのタンゴ街のすぐ近くにアパートを借りてみた…  今回の取材も、想像以上のイベントづくめになったが

[2023.9]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑦】 泣き虫と猫の話

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 私事だが、9月24日は横浜市緑区民文化センター みどりアートパークホールにて行われた映画 “Pichuco” の上映会&バンドネオン・トークライブに行ってきた。 映画は「ピチューコ」ことアニバル・トロイロの楽団のスコアをデジタルアーカイブで残すという取り組みを追いつつ、彼にゆかりのあった多くの人の証言で彼の生涯、彼がタンゴにもたらしたものを振り返る、というドキュメンタリー。この映画の日本語字幕制作に尽力

[2023.9]悲報!アンデス音楽を運んでくれたマエストロ、レネ・カレアーガ逝く!

文●編集部  このところ、ラテン音楽の歴史を作ってきた大物音楽家たちの逝去の報せが多く、寂しい限り……。  と、今度は、1970年代の日本で、若い学生層から火がついて、長い間フォルクローレのブームを牽引してきた「コンドルカンキ」のレネ・カレアーガ(「コンドルカンキ」のリーダーで、チャランゴ奏者)が、現地時間9月18日15時52分逝去との報が届いた。  レネ・カレアーガ・メンドーサは1936年1月6日、ボリビアのラパスで生まれ、生後1カ月で父を、8歳で母を亡くした。生まれ

[2023.9]第20回タンゴダンス世界選手権レポート その1 〜 オベリスコ下の厳寒野外ステージで、興奮の20周年決勝戦!!!

222レポート●本田健治  texto por Kenji Honda  オベリスコ下の厳寒の野外ステージで、興奮の20周年決勝戦!!!  (↑アルゼンチン最大クラリン紙の写真で見る世界選手権のページ)  真冬の野外での決勝はなんとかならないか…のお話から。    第20回を迎えたタンゴダンスアジア選手権。場所は、コロナ前までのルナパークではなくなって2年ほどになるが、コロナの影響といわれたが、どうもそれだけではないらしい。  ルナ・パークは、市が管轄するものではある

[2023.8]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑥】 「サッカーとタンゴ」の宿題〜「5番」の正体

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 本連載の第一回「サッカーとタンゴ」にて取り上げた曲のひとつ “La número cinco” については宿題があった。 今回は、この曲の「5番」が何を指すのかについて掘り下げてみることとする。 曲についてのおさらい“La número cinco” は作詞レイナルド・ジソ、作曲オレステス・クファロのタンゴ。1951年にアルフレド・ゴビ楽団(歌:ホルヘ・マシエル)で録音されている。 終盤見事な実況ア

[2023.5]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ③】 ギタロンってどんな楽器?

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 4月29日、東京・雑司が谷のエル・チョクロにて、先日本誌にてご紹介したCD “KaZZma canta GARDEL” のリリース記念ライブが行われた。 KaZZmaの歌もDuo Criollo(ギター福井浩気、ギタロン清水悠)の演奏も素晴らしく、とても楽しめたライブだった。この時個人的に注目したのがギタロンという楽器である。タンゴのギターアンサンブルの中で大事な役割を担ってきたこの楽器についてはこれま

[2023.4]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ②】 春に聴くタンゴ~AI にも聞いてみた

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura 今年の桜はずいぶん早い。これが公開される頃にはソメイヨシノの開花もずいぶん北上して、青森あたりか北海道か。東京は八重桜が盛りを迎えているだろうか。そんな春爛漫のこの季節、今回のそぞろ歩きのお題も「春に聴くタンゴ」にしてみた (南半球のブエノスアイレスは今は秋だが、我々が体感している季節の方を選んだ)。 とはいえ実のところ、そんなお題を立てても私自身の持ち合わせている知識だけでは大したものは出て来ない。普段

[2023.3]【新連載タンゴ界隈そぞろ歩き (1) 】サッカーとタンゴ

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura  最近のサッカーの大きな話題は、イングランド・プレミアリーグのブライトンで活躍する三笘選手の素晴らしい活躍であろう。一流のディフェンダーを軽々と抜き去るドリブルと絶妙のボールコントロールは、観る者を惹きつけて離さない魅力がある。  そんな彼が大活躍した2022年 FIFA ワールドカップが終わってから既に2か月。改めて振り返ると、日本チームの活躍とアルゼンチンの優勝という結末で、日本においてアルゼンチン

[2023.2] 【島々百景 第80回】 ブエノスアイレス② アルゼンチン

文と写真:宮沢和史  南米の国土の広い国々の地図を見ていると、長年培った日本的な “縮尺感覚” が当てはまらずに自分自身のサイズを見失うような感覚によく落ち入る。例えば、川沿いにいくつか集落があったとして、経験値から川幅を参考に集落間の距離を推測してみようとするものの、実際はその何倍もの距離だったなんてことがよくある。  アルゼンチンのブエノスアイレス市は海に面しているように見えるがそうではなくてラ・プラタ川の河口に位置している。そこから海水浴をするために有名なビーチであ

[2023.1] 【島々百景 第79回】 ブエノスアイレス① アルゼンチン

文:宮沢和史  この3年間は南米からすっかり足が遠のいた。南米に限らず自分は一度も国外へは出ていない。「2023年こそは南米で歌が歌える」と意気込んでいたものの、もはや、第何波なのか知らないが、去年の11月から1日の感染者数が増加に転じ、クリスマスと正月休みをきっかけに感染者数を示すグラフが再度高波状態に推移している。ゼロコロナ政策をあっさり放棄した中国では春節を前に人口の半分弱、メディアによってはもっとずっと多くの人が感染したと伝えている。かたや、サッカーワールドカップ 

[2022.11]速報!2022年ラテン・グラミー各賞発表

編集部 第23回目になるラテン・グラミー賞が、11月27日(木)、ラスベガスのマンダレイベイ・リゾート&カジノにあるミケロブ・ウルトラ・アリーナで開催され、各賞が発表になった。  ウルグアイのホルヘ・ドレクスレルは、C・タンガナとの「Tocarte」で年間最優秀歌曲と年間最優秀レコード、フェルナンド・ベラスケスとの「El plan maestro」で編曲賞、マリーザ・モンチとの「Verdo Sardo」でポルトガル語の歌曲賞の6部門でノミネートされ、その中から最優秀賞を獲