[2021.11]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」⑯】 Pedro Sá 『Um』
文●中原 仁
───── 中原仁の「勝手にライナーノーツ」─────
近年、日本盤の発売が減少し、日本における洋楽文化の特徴である解説(ライナーノーツ)を通じて、そのアルバムや楽曲や音楽家についての情報を得られる機会がめっきり減った。
また、盤を発売しない、サブスクリプションのみのリリースが増えたことで、音楽と容易に接することが出来る反面、情報の飢えはさらに進んでいる。
ならば、やってしまえ!ということで始める、タイトルどおりの連載。
リンクを通じて実際に音楽を聴き、楽しむ上での参考としていただきたい。
Pedro Sá『Um』
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モレーノ・ヴェローゾ、ドメニコ・ランセロッチ、カシンの “+2” チームの第4の男として活躍し、カエターノ・ヴェローゾのバンダセー(BandaCê)のリーダー&プロデューサーもつとめたギタリスト、ペドロ・サーが11月4日、初のリーダー・アルバム『Um』を配信でリリースした(11月発表のため「2021年ブラジル・ディスク大賞」の対象外)
ちょっと長くなるが、最初にキャリアを振り返っていこう。ペドロ・サーは1972年5月30日、リオ生まれ。10代でダヴィ・モライスとバンドを組んだ。初録音はカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルの『Tropicália 2』(1993年)収録曲「As Coisas」(ジル&アルナルド・アントゥニス作)。同い年の幼馴染、モレーノ・ヴェローゾ(チェロ)と一緒に参加した。
その前から、同い年のドメニコ・ランセロッチらと、リオっ子らしいユーモアと皮肉をこめたオルタナ・ロック・バンド、Mulheres Q Dixem Sim(ムリェーリス・キ・ヂーゼン・シン)で活動。90年代初めに制作したMV「S.O.S」はモロにシネマ・ノーヴォな、トロピカリア・チルドレンと呼べる作りで、大女優ヘジーナ・カゼーも出演。監督の一人が後に『Eu,Tu, Eles(私の小さな楽園)』を手がけて注目を集めたアンドルーシャ・ヴァヂントンで、ヘジーナがその映画に主演した。
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