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[2021.02]斎藤充正、アルゼンチン・ステーキを焼く

文と写真●斎藤充正

[著者プロフィール] 斎藤充正 1958年鎌倉生まれ。第9回出光音楽賞(学術研究)受賞。アメリカン・ポップスから歌謡曲までフィールドは幅広い。世界のピアソラ・ファンがピアソラのバイブル本として認めている『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』の著者であり、ピアソラに関する数々の執筆や翻訳、未発表ライヴ原盤の発掘、紹介などまさにピアソラ研究の世界的第一人者。

 アルゼンチンといえば牛肉。ブエノスアイレスに行けばレストランでアサードを食べるのは日常的なことだったし、1987年から88年に掛けてパレルモ地区に住んでいた時には、スーパーで肉を買ってきてキッチンでフライパンで焼いたりもしていたが、最後に現地を訪れたのは1997年だから、今や個々のエピソードなどの記憶はかなりおぼろげ。それでも、アルゼンチンの肉が味の面で世界一という認識は薄れていない。
 日本では食べることができなかったそのアルゼンチン産の牛肉が、2018年に輸入解禁となったのは朗報だった。それでもなかなか食べる機会は持てなかったが、先日ドン・ロッシというショップが通信販売を始めたというニュースを聴き、妻に「一度は食べてみたいね」と話したところ、リブロース1kg(250g×4)を注文してくれた。

アルゼンチン牛肉専門店 ドン・ロッシ|Don Rossi

 実は2月初めに結婚20周年を迎えることができたこともあり、「お祝いだから食べたいものを」と奮発してくれたのだった。

 あまりうまく撮れていないが、早速冷凍で届いた肉の写真をFacebookにアップしたところ、思わぬ反響があった。

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 「最初で最後の南米出張の時にアルゼンチンで食べたステーキが未だに人生のベストです!」とか「私の中のベスト牛肉は現地で食したアルゼンチンの牛です〜」といったコメントもいただき、やっぱりみんなそうなんだ、と納得。おまけにラティーナからこのような原稿依頼まであり、あとは、いかに上手く焼くかが重要なミッションとなった。

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