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[2020.12]長屋美保【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●長屋美保

 ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を読んでも、登場人物が多すぎて、混乱して終わったような筆者にとって、ラテンアメリカ文学でよく言われる、マジックリアリズムは、未だに謎だ。メキシコで10年以上暮らし、日常では、シュールなことが頻繁にあり、「これが、いわゆるマジックリアリズムなのか!」、と思うこと然りだが、腑に落ちない。そういえば、現地の人たちは、ラテンアメリカ文学を語るときに、敢えてマジックリアリズムを強調してない。それは彼らの方が小説よりもマジックリアリズムだからか? ただ、言えるのは、ラテンアメリカの書籍が、国や体制という概念を壊し、多様な世界があるのを教えてくれたこと。社会のプレッシャーに、押し潰されそうだった筆者を救ってくれた。ラテンアメリカの書籍を原文で読めたらカッコいいが、ぶっちゃけ大変だし、日本語に翻訳している方々の労力があってこそ、気軽に読めることに感謝している。


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