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[2022.6]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉕ 】後からボサノヴァに仲間入りした、叶わぬ恋と孤独の歌 ⎯ 《Outra vez (またしても)》

文と訳詞 : 中村 安志 texto por Yasushi Nakamura

 中村安志氏の好評連載記事「アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い」と「シコ・ブアルキの作品との出会い」は、基本的に毎週交互に掲載中です。いずれもまだまだ興味深いお話が続きます。今回はジョビンとシコのエピソードから。来週のシコについての記事もお楽しみに!

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 ジョビンの作品には、ボサノヴァ黎明のタイミングよりも前のものが結構あり、その一部が、当初は、伝統的なスタイルで演奏されていたものの、後年になって新しいアレンジを施され、いつの間にかボサノヴァの一員として世に受け止められているケースがあることを、前回の「Dindi」などを含め、垣間見てきました。今回は、その1つに数えられ、コンパクトで多くの人の記憶に残っている歌、「Outra vez(またしても)」をご紹介します。

 この歌が最初に世に出たのは1954年 。50年代に、ブラジルで圧倒的人気を誇った甘い声の男性歌手、ディック・ファーネイの声による録音でした。

 ↑ファーネイが歌うOutra vez(1954年)。
同時代の米国のバラードに近いスタイルのアレンジ。

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