[2023.4]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㉝】Lucas Santtana 『O Paraíso』
文:中原 仁
間もなく初来日し、京都で開催されるミュージック・フェスティヴァル「KYOTOPHONIE」に出演、4月15日にCLUB METROで、23日に金剛能楽堂でライヴを行なうシンガー・ソングライター、ルーカス・サンタナ。フランスのレーベル、Nø Førmat!からCDとLPでリリースした最新作『O Paraíso(オ・パライーゾ)』を紹介する。
ルーカス・サンタナは1970年10月18日、バイーア州サルヴァドール生まれ。父ホベルト・サンタナはトン・ゼーの従兄弟で60年代初めからカエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルと親交があり、この2人が直接、出会う機会をお膳立てした(カエターノの著書『熱帯の真実』に記述あり)。64年、彼らがサルヴァドールで行なったコンサートのプロデュースと照明を担当。70年代にはフィリップス・レコード(現ユニヴァーサル)のプロデューサーとなり、ジルの名盤『Refavera』などをプロデュースした。というわけでルーカスは筋金入りのサラブレッド、トロピカリズモ・チルドレンの筆頭格になる。
バイーアの大御所ジェロニモのバンドでフルートを演奏していたルーカスは、ジルとカエターノの『Tropicália 2』(93年)の収録曲、ジルがホベルト・サンタナに捧げた「Baião atemporal」でフルートを録音した。
さらにジルのアコースティック・ライヴ盤『MTV acústico(unplugged)』(94年)でも、バンドのフルート奏者に抜擢された。
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