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[2023.4]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~7】 アルージ・アフタブ(Arooj Aftab / パキスタン)
文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto インドやパキスタンといった南アジアの国々にルーツを持つ移民/ディアスポラのミュージシャンといえば、やはりバングラ・ビートや〝UKエイジアン系〟と称された音楽が隆盛してきたイギリスがとりわけ盛んなイメージが強い。その一方で、近年の米国においては、スティーヴ・コールマンの周辺から頭角を現わし、ラッパーのマイク・ラッドとの共演作やECMにおける諸作によって現代ジャズの先端を示し続けるピアニストのヴィジェイ・アイヤーや、ラヴィ・
[2023.4]【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㊲(最終回)】たった1つの音だけで作ったサンバ - Samba de uma nota só
文と訳詞●中村 安志 texto e Tradução : Yasushi Nakamura 50年代、ジョビンが幼馴染みでもあるニュートン・メンドンサと生み出した作品の中で、例えば、この連載の第8回目でご紹介したDesafinado(音外れ)は、別格の傑作でしょう。 「自分は音が外れていると言われるが、そう指摘するあなたこそ、おかしいのではないか、これこそ新しい響き、ボサノヴァなのだ」と、新時代の幕開けを宣言するかのような台詞だけでも粋ですが、そもそもこの歌詞で語ら
[2023.4]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年4月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】
e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Debashish Bhattacharya · The Sound of the Soulレーベル:Abstract Logix [14] 19位 Jiraan · Sirtoレーベル:Zeph
[2023.4]【ブックレビュー|ブラジル現代文学】『曲がった鋤』イタマール・ヴィエイラ・ジュニオール 著/武田千香、江口佳子 訳
文●花田勝暁 『曲がった鋤』という、幾分、そっけないタイトルの小説は、新人作家イタマール・ヴィエイラ・ジュニオール(Itamar Vieira Junior)によって書かれ、2020年にブラジルの主要な文学賞であるジャブチ賞(長編小説部門)とオセアーノ賞をダブル受賞し、2021年には、ブラジルで最も読まれた(売れた)本だった。2022年のベストセラー本のランキングでも、ランキング圏外とはならず、22位にランクインしていた〔Globo.com〕。ブラジルでは、2019年8月に
[2023.4] 【映画評】 『セールス・ガールの考現学』 ⎯⎯ モンゴル映画の新たな地平を切り開く ポップでキュートな(社会派)エンタメ映画の誕生!
『セールス・ガールの考現学』 モンゴル映画の新たな地平を切り開く ポップでキュートな(社会派)エンタメ映画の誕生! 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター) “モンゴル映画”と言っても、具体的なイメージを思い浮かべられる人はそう多くはいないだろう。いたとしてもそのほとんどが、雄大な草原に移動式住居のゲル、弦楽器の馬頭琴など、民族色の濃いイメージに彩られているのではないだろうか。本作もモンゴル映画だがわずかに草原が登場するだけで、首都ウランバートルの都会を舞台に一人の少女の成