[2023.2] 『ブラジリアン・ミュージック200 - 200 Canções da Música Ppular Brasileira』 出版 著者インタビュー
●ラティーナ編集部
ブラジル独立200周年を記念して、広大で豊かなブラジル音楽の歴史から名曲200曲をセレクトし、その曲についてのエピソードや解説なども交えた名曲事典ともいえる書籍が出版されました。著者は、J-WAVEの人気FM番組「サウージ!サウダージ」のプロデュースを長年手がけ、ラティーナでもおなじみの中原 仁さん。今回、この書籍の出版にあたってお話を伺いました。
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── 本書を出版することになった経緯について教えてください。
中原 2021年の秋の時点でブラジル大使館から、2022年はブラジル独立200周年ということで色々な企画を考えていると話がありました。ただコロナ禍でイベントやコンサートを行うことは難しいため、色々な分野の出版物を考えているということでした。もちろん音楽についての出版物も考えているとのことで、当初はブラジルで出版されている書籍の日本語訳を出版するプランもあったのだけど、権利等の問題でなかなか進まないと聞いたんですね。そこで「一から私が書きますよ」と私の方から提案したんですよ。200周年だから200曲を選ぶということで、話が始まりました。早速、音楽書を多く出版されているアルテスパブリッシングの鈴木さんに話を持っていったら、ノっていただいて始まった次第です。
── 数あるブラジルの名曲から、200曲を選ぶのは大変ではなかったでしょうか?
中原 大変と言えば大変だけど、とりあえず最初にやったことは、歴史順にひたすら曲をリストアップしていったんですよ、数を考えないで。そして、このリストアップした中から200曲を選んだんですね。悩んだと言えば悩んだんですけど、これは逃せないなというのは絶対にあるし…。200曲の中に選べなかった、残念!という曲はあるけれど、そんなに苦労はしなかったですね。
どんなに名曲で素晴らしい曲であっても、ネタ(本書中各曲に記載されている解説文のネタ)がないものもたくさんあるんですよ。そういうものがない曲もあるので、曲を選ぶときにその辺は多少考えましたね。
── 曲にまつわる話が色々と面白いですよね。
中原 今まで様々なミュージシャンたちにインタビューしてきて、その時に話していただいたことは自分にとって貴重な財産ですから、本人に聞いたことはできるだけ出そうと思いましたね。そこに僕が書く意味があると思ったので。
今ではサブスクなどで色々な曲が聴けますが、歌詞の意味などは詳しくわからないじゃないですか。歌っている内容やテーマ、この部分はすごく素敵な歌詞だよ、ということをこの本で紹介したかったんです。そこはできるだけこだわりました。シコ・ブアルキの曲はどう使っていいか大変だったけどね!(笑)
ディスクガイド、名盤ガイドの本というのは山ほどあるけど、それだって全て曲で出来上がっているわけで、基本的に聴いているのは一曲一曲ですからね。ブラジル音楽で名曲ガイドのようなものがあったらいいなとずっと思っていたので、出来上がってすごく嬉しいです。
もちろんこの先も名曲がどんどん出てくるだろうけど、こういうの一回作っておきたかったですね。まぁ、僕が死んだ後にも印税がちょっと入ってくればいいなと思って(笑)。
── ブラジルには名曲がたくさんありますよね。
中原 2009年からだからもう15年近くなるわけだけど、ラジオ番組(サウージ!サウダージ...)で、毎週一曲ずつブラジルの名曲の歌詞を紹介するコーナーをずっとやってきているんですよね。15年続いているから何回も紹介している曲もあるんだけど、そこで紹介した名曲のリストはある程度頭に入っていたんです。そういう意味では選びやすかったですね。番組で紹介後、反応が良かった曲もチェックしているので、それは外せないなということで掲載しています。
── 本書を開いてページ左右それぞれ端に、インデックスのように各曲のキーワードが表示されているのですね。各曲ごとに決めるのは大変ではなかったでしょうか?
中原 曲を決めている時点である程度考えながらやっていたので、そんなに大変ではなかったです。
200曲は、必ずしも全部時間軸には沿っていないんだけど、ある程度歴史に沿っているということ、そして流れの中で音楽の歴史や変遷、時代の変化とかを感じられるように曲の流れを作りました。例えば、ジョビンの曲は山ほどあるんだけど、ボサノヴァ時代の曲とそれ以降の曲とは時代を分けて紹介した方がいいなと思ってそのようにしました。
読む人にとっては、最初からずっと読むより作品から読む人もいると思うので、そんなに流れにきっちりこだわる事はしなかったけれど、ある程度は流れを考えました。
── その流れの中にコラムがあるという感じでしょうか?コラムの内容も様々あっていいですね。「文字数が足りない!」という記載もあったり……(笑)。
中原 コラムは本当はもっと増やしたかったんだけど、製作時間の関係でこれだけ(全部で20)になりました。もっとコラムに入れようと思った曲やネタはあったんですよ。でもそこはページ数の関係で涙を飲んで諦めました。流れを作り、レイアウトについては出版社の鈴木さんの手腕に任せていたので、それに身を任せた感じです。
── スケジュール的にも大変だったんですね。
中原 独立200周年記念の本なので、絶対に2022年中には発刊しなければならなかったのです。久しぶりに必死にやりました(笑)。ワールドカップ期間中もブラジル戦以外はほとんど観ず、一生懸命原稿と向き合っていました。
── 國安真奈さんも協力されているのですね?
中原 アルテス鈴木さんの考えで、人名や曲名の読みとかスペルなど表記に関する部分の監修をやっていただいたのですが、これがすごく助かりました!
── 装丁も素敵ですよね。
中原 そうなんです。最初はアーティストの顔写真とかいっぱい入った感じの表紙とかも考えたんですけど、書店に置かれた時のインパクトとかを考えるとやっぱりブラジルカラーだなと思って!(笑)紙の材質や、栞も含めて良い感じになりました。鈴木さんのプロデュースの手腕にリスペクトと感謝!です。
── 本書の最後にSpotifyとApple Music のプレイリストが表記されています。読みながら聴ける、聴きながら読める、というのがいいですね。それも踏まえて、読者の方にどのように読んでほしいでしょうか?
中原 楽しみながら読んでほしいですね。今の時代サブスクでどんな曲でも聴けるようになりましたが、曲が右から左に流れていくだけじゃないですか。昔、僕らがラジオで聴いた曲を、頑張って調べたりしたことがあったじゃないですか?ネットもない時代に…。今は簡単に調べられるようになったけど、この本を読んでくれて曲の内容とかについて触れて、「へぇ」と思ってくれたら嬉しいです。
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J-WAVE開局以来の長寿番組、放送34周年を迎えた<NX NIPPON EXPRESS SAÚDE! SAUDADE...(サウージ!サウダージ)>(日曜17:00〜17:54放送)がプロデュースする、毎年恒例のブラジル・カーニヴァル・イヴェント。コロナ禍で2021年、2022年は止むなく開催を見送られましたが、3年ぶり復活します!今年、第25回を迎えます。
2023年のテーマは “RIO – BAHIA – TOKYO 歌とリズムの祭典”。
カーニヴァルの都、リオデジャネイロ、バイーアと東京を、サンバなどの多彩な音楽が結びます。
本場ブラジルのカーニヴァル(2023年は2月17日~21日開催)に先駆けて、真冬の東京に出現する祝祭空間!今年もどうぞご期待ください!
J-WAVE NX NIPPON EXPRESS SAÚDE! SAUDADE... CARNAVAL2023
【日時】2023年2月11日(土・祝)
OPEN/DJ 16:00 LIVE 17:00〜21:00
【会場】
渋谷 クラブクアトロ
渋谷区宇田川町 32-13 4・5F Tel 03-3477-8750
【出演】
Saigenji(サイゲンジ)
Grupo Cadência(グルーポ・カデンシア)
ゲスト:渡海真知子 (Machiko Watarumi)
Quer Swingar Vem Pra Cá
(ケール・スウィンガール・ヴェン・プラ・カ)
Banda Girassol(バンダ・ジラソウ)
司会と歌:村田匠 aka カンタス村田
DJ:中原仁(J-WAVE SAÚDE! SAUDADE…producer)
【料金】(税込)
Standing Area 前売4,000円 当日4,500円
*Standing Area、Special Seatとも別途要1 drink代 600円
【前売券販売】
イープラス
チケットぴあ(Pコード:231-983)
ローソンチケット(Lコード:74926)
主催:J-WAVE
制作:アルテニア 03-3496-1705
(ラティーナ2023年2月)
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