[2025.1]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 53】 Erasmo Carlos 『Erasmo Esteves』
文:中原 仁
「2024年ブラジル・ディスク大賞」関係者投票部門の7位が、故エラズモ・カルロス(1941~2022/11/22)の『エラズモ・エステーヴェス』。2024年のラテン・グラミーで「ポルトガル語によるロックもしくはオルタナティヴ・音楽部門」のベスト・アルバムに選出された。
エラズモは存命中、ニューアルバムの録音に向けて新曲を作り、共作も行なっていたが、志半ばで天国に旅立ってしまった。その後、制作途中のデモ音源などを息子のレオ・エステーヴェスが収集。未完成だった楽曲を様々な音楽家に託して完成させてもらい、『Amor É Isso』(2018年)『O Fururo Pertence À..Jovem Guarda』(2022年)といったエラズモの晩年のアルバムを手掛けてきたコンビ、マルクス・プレトとプピーロがプロデュース。未発表の新曲を、フーベル、エミシーダ、チン・ベルナルデス、フッソ・パサプッソ、シェニア・フランサといった、エラズモの子供~孫世代の豪華メンバーが歌った。エラズモの音楽の遺産が次世代に受け継がれていることを実感できる、スペシャルな企画アルバムだ。生前のエラズモの歌声が聴けるデュエット曲もある。
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