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[2020.10]【谺する土地、響きあう聲 ⑵】ルイーズ・グリュックへの手紙

文●今福龍太

今福龍太 :文化人類学者・批評家。1980年代初頭からラテンアメリカ各地でフィールドワークに従事。クレオール文化研究の第一人者。奄美・沖縄・台湾の群島を結ぶ遊動型の野外学舎〈奄美自由大学〉を2002年から主宰。著書に『ミニマ・グラシア』『ジェロニモたちの方舟』『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』『ハーフ・ブリード』ほか多数。主著『クレオール主義』『群島-世界論』を含む新旧著作のコレクション《パルティータ》全5巻(水声社)が2018年に完結。


 10月28日

 ルイーズ。
 あなたのノーベル文学賞受賞のニュースを聞いてから二十日ほどが経った。そのあいだ、ぼくはあなたの詩を読みつづけている。言語化できなかった既知の感情へと深く染み通ってゆくような感動とともに、「読む」ことの純粋な快楽を久しぶりに感じた。
 受賞の知らせを耳にしたとき、ぼくは深夜をつつみこむ静寂の帳のなかで部屋に籠り、ある歌を聴くともなしに聴いていた。ルシアーナ・ソウザ Luciana Souza の歌う "Insomnia"。彼女のアルバム《Poems of Elizabeth Bishop》(2000)に収められた、純粋で、淡い悲嘆をにじませた印象的な曲だ。

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