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[2021.06]ジョアン・ジルベルトの未発表テープが3本も見つかったってよ【ジョアン生誕90年】

文●花田勝暁(編集部)

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未発表テープ3本

 本日6月10日は、ジョアン・ジルベルト(João Gilberto|1931年6月10日 - 2019年7月6日)の誕生日。生きていればジョアン・ジルベルトは90才になっていました。2019年7月6日に88才で亡くなりました。

「生きていればジョアン・ジルベルトが90才を迎えるのを1週間前にして、未発表のテープが公開された」⎯⎯ というニュースには、気づいていましたが、ようやく先ほどしっかり読めました。

 まず、どこで公開されているかというと、以下で公開されています。Radio Batuta というラジオ局のサイトです。

 テープが3本分あります。

João Gilberto e Astrud em casa de Carlos Coqueijo, 10/9/1959

João Gilberto e Vinicius de Moraes em show na Bahia, 29/10/1960

João Gilberto em casa de Carlos Coqueijo, 28/11/1960

①は、1959年9月10日に、法律家・音楽家のカルロス・コケイジョ(Carlos Coqueijo)の家(場所はバイーア)で、ジョアン・ジルベルトとアストラッド・ジルベルトが演奏した際の録音テープです。カルロス・コケイジョは、ジョアンが繰り返し録音したサンバ「É preciso perdoar」の作者で、ジョアン・ジルベルトにカエターノ・ヴェローゾを紹介したのもカルロス・コケイジョでした。また、ナラ・レオンに、カエターノやジルベルト・ジルらを紹介したのも、カルロス・コケイジョでした。大学で、ジルベルト・ジルはカルロス・コケイジョの教え子でした。バイーアのキーパーソンだったんですね。

②は、1959年10月29日にジョアン・ジルベルトとヴィニシウス・ヂ・モライス(Vinicius de Moraes)が、バイーアで一緒に行ったコンサートの録音です。コンサートの1部分です。MCの部分も、かなりあります。

③も、カルロス・コケイジョの自宅で録音されたものですが、こちらはジョアンのソロ、ジョアンの弾き語りだけです。1960年11月28日の録音です。

 これらテープを提供したのは、カルロス・コケイジョの未亡人です。
 ジョアンが正式な録音では録音しなかった曲が多数(20曲?!)含まれます。

※はジョアン・ジルベルトの録音は初出のもの
①レパートリー
▶︎Comigo é assim (José Menezes e Luiz Bittencourt) (3:47) ※
▶︎Let’s fall in love (Harold Arlen e Ted Koehler) (2:58) ※
▶︎A felicidade (Tom Jobim e Vinicius de Moraes) (5:13)
▶︎Manhã de carnaval (Luiz Bonfá e Antônio Maria) (4:41)
▶︎O bem do amor (Carlos Lyra e Ronaldo Bôscoli) (2:55) ※
▶︎Brigas, nunca mais (Tom Jobim e Vinicius de Moraes) (5:53)
▶︎Foi a noite (Tom Jobim e Newton Mendonça) (3:45) ※
▶︎Este seu olhar (Tom Jobim) (1:46)
▶︎Vamos cantar (Cristóvão de Alencar e Newton Teixeira) ※
▶︎Let’s fall in love (Harold Arlen e Ted Koehler) (1:47)
▶︎Eu sonhei que tu estavas tão linda (Lamartine Babo e Francisco Matoso) (2:40)
▶︎Eu sei que vou te amar (Tom Jobim e Vinicius de Moraes) (2:24) ※
▶︎Sem você (Tom Jobim e Vinicius de Moraes) (2:55) ※
▶︎Cheek to cheek (Irving Berlin) (2:38) ※
▶︎Doralice (Dorival Caymmi e Antônio Almeida) (1:02)
▶︎Se é tarde, me perdoa (Carlos Lyra e Ronaldo Bôscoli) (1:52)
▶︎Despedida de Mangueira (Benedito Lacerda e Aldo Cabral) (1:08) ※
▶︎Trevo de quatro folhas (Mort Dixon e Harry Woods, versão de Nilo Sérgio) (1:51)
▶︎Cavalo marinho e Borboleta bonitinha (ambas de domínio público) (2:00) ※
▶︎A primeira vez (Bide e Marçal) (3:32)
▶︎Jeito de flor (João Gilberto e Ronaldo Bôscoli) (2:05) ※
▶︎Jeito de flor (instrumental); exercícios com Se é tarde, me perdoa; Jeito de flor (instrumental) (4:54)
▶︎Se é tarde, me perdoa (Carlos Lyra e Ronaldo Bôscoli) (1:57)
▶︎Comigo é assim (José Menezes e Luiz Bittencourt) (1:44)
▶︎Everyday (A little love) (João Donato) (1:54) ※
②レパートリー
▶︎Coqueijo e Vinicius falam; João interpreta Chega de saudade (Tom Jobim e Vinicius de Moraes); Coqueijo e Vinicius falam (14:27)
▶︎João interpreta Samba de uma nota só (Tom Jobim e Newton Mendonça); Vinicius, com João ao violão, canta Pela luz dos olhos teus (Vinicius de Moraes) (5:30)
▶︎Coqueijo e Vinicius falam; João interpreta O pato (Jaime Silva e Neuza Teixeira) (4:25)
▶︎Coqueijo e Vinicius falam; Vinicius, com João ao violão e dividindo o refrão, canta Água de beber (Tom Jobim e Vinicius de Moraes) (5:28). ※
▶︎Coqueijo fala; João Gilberto inicia Doralice (Dorival Caymmi e Antônio Almeida) e a fita é interrompida (0:41)
③レパートリー
▶︎Dorme que eu velo por ti (Roberto Martins e Mário Rossi) (4:09) ※
▶︎Trem de ferro (Lauro Maia) (1:52)
▶︎Saudade da Bahia (Dorival Caymmi) (2:34)
▶︎O samba da minha terra (Dorival Caymmi) (1:53)
▶︎Bahia com h (Denis Brean) (2:13)
▶︎Nada além (Custódio Mesquita e Mário Lago) (1:17) ※
▶︎Cigana (Billy Reid, versão de Vera F. Corrêa da Silva) (3:36) ※
▶︎Sem este céu (Luiz Bonfá) (1:48) ※
▶︎Bossa nova (Miguel Gustavo) (1:18) ※
▶︎O nosso olhar (Sérgio Ricardo) (2:12) ※
▶︎Lá vem a baiana (Dorival Caymmi) (2:40)

⎯⎯

 未発表テープの公開以外にも、ジョアン・ジルベルトの生誕90年に合わせて、ジョアンへの愛が爆発しています。Universalより、CDが発売されるトリビュート・アルバムを2枚紹介します。

ジョアンへのトリビュート

▶︎Goro Ito Ensemble / Amorozsofia - Abstract João

 ジョアン生誕90年で、伊藤ゴローさんがオーケストラを率いてジョアンにトリビュートした最新録音のアルバムが発売されました。

⎯⎯

▶︎V.A. / João Gilberto Eterno

 ブラジルと日本から。ボサノヴァの神様を敬愛するアーティストがずらりと参加したトリビュート・アルバムもリリースされます。

●ボサノヴァの生みの親であり、晩年は3度にわたる来日公演で日本の音楽ファンを魅了したジョアン・ジルベルト。その90回目の誕生日(6月10日)に合わせてリリースするトリビュート・アルバム。
●ブラジル最高峰のサウンド・クリエイターと称されるマリオ・アヂネー、そして前述の来日公演の立役者のひとりでありジョアンからも信頼の篤かった音楽プロデューサーの宮田茂樹の呼びかけにより、ジョアンを敬愛するアーティストがジョアンゆかりのレパートリーを録音。
●大御所ジョアン・ドナートやアントニオ・カルロス・ジョビンの孫のダニエル・ジョビン、ジョイス、ホーザ・パッソスなどのブラジル音楽界の至宝から、小野リサ、伊藤ゴローという日本が世界に誇るボサノヴァ・アーティストまで、豪華アーティストが勢ぞろいした至高のトリビュート・アルバム。

ジョアン・ジルベルトよ、永遠に。

(ラティーナ2021年6月)

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