[2024.8]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊾】 Alaíde Costa 『E o Tempo Agora Quer Voar』
文:中原 仁
2024年の12月で89歳を迎える歌手、アライーヂ・コスタ。50年からプロ活動し、最初はボレロを中心に歌っていたが、50年代末、ジョアン・ジルベルトの手引きでボサノヴァ人たちを紹介されてボサノヴァ歌手となった。音楽仲間からリスペクトされる存在だったが、黒人であるため名声に見合った仕事を思うように得ることができずにいた。
その後、音楽の幅を広げ1972年、ミルトン・ナシメントの『Clube da Esquina』に参加して歌った「Me Deixa em Paz」がヒットした。76年、ミルトンのプロデュースによるアルバム『Coração』を発表した。
コンスタントにアルバムをリリースするようになったのは2000年代に入ってから。2022年のアルバム『O Que Meus Calos Dizem Sobre Mim』は「第30回Prêmio da Música Brasileira」でベストMPBアルバムを受賞した。僕も「2022年ブラジル・ディスク大賞」関係者投票のコメント欄に「別枠で賞賛したいのが、エミシーダらがプロデュースした大ベテラン、アライーヂ・コスタの新作でした」と記した。
ここから先は
1,755字
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。
世界の音楽情報誌「ラティーナ」
¥900 / 月
「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…