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[2022.7]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り24(最終回)】 奄美・沖縄の民俗芸能にみる性別と歌唱法 −島々の踊り歌を例として−
文:久万田 晋(沖縄県立芸術大学・教授)
これまで本連載において、奄美・沖縄の島々に伝わる様々な祭りや歌、芸能について紹介してきた。今回はそれらの中から、特に各地の踊り歌を例にとって男女の役割分担や歌い方(歌唱形式)の問題について考えてみたい。
【事例1】奄美諸島北部の八月踊り
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奄美大島では旧八月のアラセツ、シバサシ行事や八月十五夜を中心として、地域の老若男女によって八月踊りが踊られる。踊り方には、ヤサガシ(家探し)といって集落の各家を回り踊る方法と、公民館などの広場で踊る方法がある。踊りは男女で半円ずつ輪を組み、男女各々の歌のリーダーが相手の歌う歌詞を聞き、即座にそれにふさわしい歌詞を歌い出すと、一同がそれに唱和して歌う。こうして意味内容が連なりを持って男女の歌掛けが進んでゆくのである。歌詞は沖縄と同様の琉歌形式(8886)が大勢を占めるが、曲によっては本土系の歌詞(7775)もよく歌われる。太鼓は奄美独特の楔型太鼓が使われる。
(八月踊りについては、連載第7回の記事を参照していただきたい)
【事例2】奄美諸島南部の遊び踊り
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沖永良部島和泊町手々知名の遊び踊りは、盆や八月十五夜、十月十五日の機会に踊られてきた。沖縄の臼太鼓と同様、女性を中心として締太鼓を叩きながら斉唱で歌い踊られる(太鼓役は男性が務めることが多い)。踊られる曲は、奄美系の曲と沖縄系の曲が入り混じっている。歌詞は琉歌形式(8886)が中心である。ちょうど奄美の八月踊りと沖縄本島の臼太鼓の中間のスタイルを表している。
【事例3】沖縄本島の臼太鼓
沖縄本島各地では、1年でもっとも重要な区切りとなる夏の祭りにおいて、地域の女性たちが円陣を組み、太鼓を打ちながら臼太鼓(発音はウシデーク、ウスデーク、ウシンデークなど)を歌い踊る。かつてムラ(地域共同体)に生まれた女性は一定の年齢に達すると必ず臼太鼓に参加した。つまり臼太鼓が地域の女性のイニシエーション(加入儀礼)の意味を担っていた。沖縄本島全域の臼太鼓を見渡すと、北部様式と中南部様式に分けられる。北部様式は歌と踊りのテンポが速く、体の動きがダイナミックな踊りである。中南部様式はテンポが相対的に遅く体の動きもゆるやかで、扇や四つ竹などの小道具を使う踊りである。
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北部様式の例:国頭村与那のウシデークは、旧盆後の亥の日のウンガミ(海神祭)翌日の夕方、集落のアサギマー(公民館前)とノロ殿地前広場で女性によって踊られる。踊りの輪を構成する半円ずつの二グループが、一節ずつ掛け合って(交互唱で)歌われる。数名の女性が小型の鋲留太鼓を打つ。歌詞は琉歌形式(8886)が中心である。
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中南部様式の例:うるま市勝連平敷屋のウスデークは、旧七月七日の七夕の日から練習が始まり、旧七月十六日の夕方から深夜にかけて集落内の拝所と元屋を踊って回る。太鼓はベテランの踊り手によって打たれる。若い踊り手は小道具(採物)として扇と四つ竹を使い、技巧的な所作を交えて踊る。歌はすべて斉唱で歌われる。歌詞は琉歌形式(8886)がほとんどである。
(臼太鼓については、連載第2回の記事を参照していただきたい)
【事例4】宮古諸島のクイチャー
クイチャーは宮古諸島の伝統的な踊り歌であり、豊年祭や宮古節などの年中行事や、雨乞い、豊作祈願、祝宴など様々な機会に踊られてきた。クイチャー歌のことをクイチャー・アーグと呼び、また踊りのことをクイチャー・ブドゥイという。宮古島および周辺の島々のクイチャーを見ると、大きく次の2つの様式に分けられる。
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