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[2024.1]2023年ブラジルディスク大賞 関係者投票②

※関係者投票の内容を五十音順でご紹介します。
(カタカナ表記のものは国内盤として発売されています)


●高木慶太

選曲家/DJ/プレイリスト職人
DJブースに立つ機会が増えた。やはりリアルイベントはイイ。パズルの足りないピースが埋まった感。

2022年との大きな違いはブラジル人アーティストの来日が圧倒的に増えたこと(一方でレジェンドたちの訃報を聞く機会も少なくなく。何度呆然としたことだろうか)。中でも Bala Desejo の本邦初登場は、のちに振り返った時に今以上に大きな意味を持つだろう。なにしろ来年には早くもブラジル本国でフェアウェルツアーが始まってしまうのだから。メンバーのソロ作品が充実一途だけにそれもむべなるかな。

1. Zé Ibarra / Marquês, 256. 

2.  Mahmundi / Amor Fati 

3. アナ・フランゴ・エレトリコ / ミ・シャマ・ヂ・ガト・キ・エウ・ソウ・スア (Ana Frango Elétrico / Me Chama de Gato que Eu Sou Sua)

4. Julia Mestre / Arrepiada

5. フレデリコ・エリオドロ / ザ・ウェイト・オブ・ザ・ニュース(Frederico Heliodoro / The Weight of the News)

6. Yoùn / Unicórnio

 7. キニョーネス / センテーリャ(Qinhones / Centelha)

8. ジョゼ・アリマテア / ブレージョ・ダス・アルマス(José Arimatéa / Brejo Das Almas)

 9. Tagua Tagua / Tanto

 10. Maria Luiza Jobim / Azul 


●高橋健太郎

音楽評論家、音楽プロデューサー、レーベル&スタジオMemory Lab主宰。著書に『ヘッドフォン・ガール』(2015)、『スタジオの音が聴こえる』(2014)、『ポップミュージックのゆくえ』(2010)

2023年のブラジル音楽の豊作でしたね。ブラジル音楽の多様化の中で、MPBという言葉は死語になっていくのかな、と思っていた時期もあるのですが、60年代からのMPBの伝統を継ぐ充実作が多かったように思います。ベストの10枚は尖ったフックのある作品を選ぶ傾向にありますが、選外に心優しい歌物の佳作がたくさん並びました。それもあって、セザール・ラセルダの「声とギター」のアルバムを一位にしました。

1. César Lacerda / Década

2. Leo Middea / Gente

3. Jonathan Ferr / Liberdade

4. Nara Pinheiro / Tempo de Vendaval

5. Rubel / AS PALAVRAS, VOL. 1 & 2

 6. Pedro Martins / RáDIO MISTéRIO

7. Rafael Macedo / Talvez Uma Dansa

 8. Gustavito, Luizga & Nanan / O Destino do Clã

 9. Ian Ramil / Tetein

 10. Os Fugitivos / Sambura


●谷口 洋

会社員
地べた目線のブラジルウォッチャー。テクノロジーの進化で情報的にはますます近づく一方で、インフレ×世界情勢×円安で高騰が続くブラジル産品に距離感を覚えてしまいます。

儀礼的な厳かさと溢れ出る打感が共存したラリッサ・コンフォルト、純ジャズピアノからネオソウルに一変したジョナタンら、現代的なアプローチのミクスチャーで傑作が目立った。ヒップホップでは大ベテランのXIS、BHの筆頭格FBCといい意味で棘の無い、ブギーで華やかな作品が印象的。18~19世紀のブラジル独立運動で功績を残した7人の女性に脚光を当てた、ゼリアの全曲書下ろし作にはその想いも含めて強く心を打たれた。

 1. Àiyé / Transes

 2. Jonathan Ferr / Liberdade

 3. Xis / Invisível Azul

 4. Vanessa Moreno / Solar

 5. IZA / AFRODHIT

 6. FBC / O Amor, O Perdão e A Tecnologia Irão Nos Levar Para Outro Planeta

 7. Julia Mestre / Arrepiada

8. アナ・フランゴ・エレトリコ / ミ・シャマ・ヂ・ガト・キ・エウ・ソウ・スア (Ana Frango Elétrico / Me Chama de Gato que Eu Sou Sua)

9. Zélia Duncan, Ana Costa / Sete mulheres pela independência do Brasil

 10. Marcelo D2 / Iboru


●田方春樹(lessthanpanda)

IT業界人/週末ギタリスト。大手メディアでは取り上げられない世界中の優れた音楽を紹介する情報サイト「Música Terra(ムジカテーハ)」を主宰。

1位に選んだクララ&フライラはおそらく他のアーティストに比べると知名度は低いだろうけど、そんなことは関係なしに純粋にアルバムのテーマも作編曲も演奏も歌も、すべてが最高峰で素晴らしかった。2位には週末のドライブのお供で重宝、自然体で極上のブラジリアン・ポップスで楽しませてくれたレオ・ミデア。そして3位は昔から大好きだった曲の再演も多数あり、ヘビロテしたトニーニョ・オルタの新作を。

1. Clara & Flaira / Áua

2. Leo Middea / Gente

3. Toninho Horta & Dorota Miśkiewicz / Bons Amigos

 4. Mariana de Moraes / Vinicius de Mariana

 5. Ganavya & Munir Hossn / Sister, Idea

 6. Gaia Wilmer / Folia: the Music of Egberto Gismonti

 7. Salomão Soares & Guegué Medeiros / Baião de Dois

 8. Julia Mestre / Arrepiada

 9. Tunico / Tunico

 10. Roberta Sá / Sambasá


●中原 仁

音楽・放送プロデューサー、選曲家。J-WAVE「サウージ!サウダージ」制作35年。著書「ブラジリアン・ミュージック200」(アルテスパプリッシング)発売中!http://blog.livedoor.jp/artenia/

1位のフーベルをはじめ10タイトルすべてに共通しているのが、伝統をふまえて前進する姿勢。20代が、自分が生まれるよりもずっと前の時代の音楽を真正面からとらえ、今の自分の感性とマインドを通じてアップデートしている。ブラジル音楽が新たなステージを登り始めた、そんな感覚に包まれた一年だった、、なんてエラそうに言ってますが2023年のハイライトは、1人欠けても最高だったバーラ・デゼージョの初来日ライヴに尽きる!

 1. Rubel / As Palavras, Vol.1 & 2

 2. Marcelo D2 / Iboru

 3. Zé Ibarra / Marquês, 256.

4. アナ・フランゴ・エレトリコ / ミ・シャマ・ヂ・ガト・キ・エウ・ソウ・スア (Ana Frango Elétrico / Me Chama de Gato que Eu Sou Sua)

5. Luísa Sonza / Escândalo íntimo

6. Moa Vive / Moa Vive

7. Russo Passapusso, Antonio Carlos & Jocafi / Alto da maravilha

 

 8. Domenico Lancellotti / Sramba.

 9. Elza Soares / No tempo da intolerância

10. V.A. / Red Hot & Ra : Solar - Sun Ra in Brazil 

(ラティーナ2024年1月)



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