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[2020.12]【島々百景 第55回】チラデンチス / オウロ・プレト ブラジル ミナスジェライス州

文と写真●宮沢和史

 12月4日現在、新型コロナウイルスに完成している人の数はNHKの特設サイト(米 ジョンズ・ホプキンス大学の発表をもとにしたデータ)によると、世界で65,220,557人、死者数は1,506,251人。最も感染者が多いアメリカ合衆国では、感染者数14,139,577人、死者数は276,325人、感染者数が1日で20万人に達することがあるようだが、この数字は日本の今日までの累積感染者数よりも5万人も多い…。桁が違う。ついでインド、ロシア、そして、ヨーロッパの先進国、ラテンアメリカ諸国がそれに続いていく。米国においては、ベースにはヨーロッパからやってきた白人たちの移民として根底にあるメンタリティー、宗教観、大都市部における貧困層の生活環境、などがあったとしても、大統領と政府のcovid-19に対する失策、そして今年大統領選挙戦がコロナ禍と重なったことが世界の感染者数の4分の1近くの数字に達している要因であることは間違いないだろう。ブラジルにおいては宗教観、人種間の関係性など、米国と差異があろうが、大国アメリカと同じような構図の中で同じような要因で爆発的に感染者数が増えたと言っていい。不思議だなと思うのはインドとアルゼンチンの現状である。日本にまだ第1波が押し寄せてくる以前の3月22日にインドのモディ首相は国民の外出を禁止し、22日には世界中からの飛行機の着陸を禁止した。アルゼンチンも大統領令としてアルベルト・フェルナンデス氏が3月27日に国境を全て封鎖した。この日、日本では初めて感染者数が100人を超えたところだった。誰もがその迅速な判断、決断に驚き、賛辞を贈る声もあった。しかしあれから8ヶ月が経過し、どちらの国もワースト10に入っている。それはなぜか?初期段階では都市部で感染が広がり、そこをうまく封じ込めれば中国のように被害を最小限に食い止めることができたのかもしれないが、(中国が発表する“数字”がどこまで本当なのかは分からないが…)広大な国土と、厚い貧困層が存在する国では、労働者の移動が郊外、田舎部へとウイルスの感染拡大を促し、パンデミックに陥るという流れによる部分が大きいように思う。特にインドでは貧困層の密集した居住環境が大きく影響しているようだ。加えて、貧困層が厚い国ではそもそも、感染症への理解度が浅く、知識が薄い傾向にある。ブラジルのボルソナーロ大統領の発言、行動には疑問を感じることが多いが、パンデミックが本格的になった頃、彼が言った「人はコロナでも死ぬし、経済が止まり仕事がなくなれば死ぬ」という発言はその後、世界中の多くの国の代表が立たされることになる究極の岐路が待ち構えていることを示唆していた。

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