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[2023.10]どうにも止まらないインフレの中、加熱するアルゼンチンの大統領選挙!

文●本田 健治 texto por Kenji Honda


 2023年8月、アルゼンチンの冬の最も寒い時期、タンゴダンスの世界選手権が始まった。寒さがあまり嬉しくない身体を慣れさせるために、少し早めだが、真冬の8月9日にブエノスアイレスに入ることにした。昔、長く滞在した頃は必ずアパートを借りていたが、今年もほんの少しの間だが、アパート暮らしの感触を思い出したい、と、サンテルモのタンゴ街のすぐ近くにアパートを借りてみた…

 今回の取材も、想像以上のイベントづくめになったが、その間、アルゼンチンの友人たちにとっては、異例といえるほどの経済の弱体化に、何度も溜め息が聞こえてきたし、何度も諦めの苦笑いも目の当たりにした。このe-magazineに政治の話は似合わないが、今年は何しろ大統領選挙の年。苦労話も沢山聞いたし、現在の経済の混乱から起こるたくさんの問題も経験をした。普段なら知らなくて良い選挙のことだが、今回は大統領選挙の予想を超えた大混戦。これから旅をする皆さんや、アルゼンチンからダンス教師を招聘している教室の先生方には直接影響する問題だけに、知っておいた方が役に立つ情報をまとめてみた。

最近のブエノスへの旅で知っておくべきこと

 まず、誰でも経験するアルゼンチンでの両替について。現地通貨のペソに両替する問題。普通はまず空港の両替所や銀行の窓口で両替すると大損するという話から。まず、アルゼンチンでは、ドルやユーロから現地ペソへの両替が一般的だが、そこには基本的に公式レートとブルーレートの2種類が存在する事を忘れてはいけない。公式レートは空港や市中銀行の公式両替所で行われ、ブルーレートは普通市中の闇両替所でおこなわれる。闇と書くと普通はなにやら違法行為のように聞こえるが、新聞やネットで普通に発表されている非公式の両替方法だ。例えば今年8月9日時点での公式レートは確か1$=245ペソ、ブルーレートで!$=595ペソだった。この他に、このままでは観光客のドルやユーロがすべて非公式市場に流れてしまい、外貨準備高の減少に歯止めがかからないから、電子決済レートで公式市場に取り込むことが出来るMEPレートというのを7月に発布し、観光客がクレジットカードを使った場合でもブルーレートより少し率は悪いが、その代わり21%の消費税をかからなくするというMEPレートと言うのを正式に決めた。とは言っても、その方法はまだ観光客はもちろん、一般のお店や、レストランの方にも知られていなく、この制度はほとんど利用されていないため、やはりブルーレートが主流になっている。旅行者は結局ブルーレートでの両替が一番安全ということになっている。

 例えば、ブエノスアイレスでホテルやアパートを借りるには、Airbnbとか、Hotels.comでも探せるが、ここではMEPのドルが記載されていることもあるが、全てのホテルが確実にそのレートでとはいえないから、まず電話でペソ払いできるかを確認してから、先にブルーレートで替えたペソで直接払うことになる。ただ、大きなホテルではこのMEPレートでの使用が大分認知されていて、クレジットカード払いでも差はほとんどなくなっているとも聞く。しかし、カード上でのドル記載で支払って、後で公式レートで請求されては大損だ。基本は街の信頼できるブルーレートの両替屋で替えて、ペソ払いにする。この両替方法もいつまで続くかわからないが、アルゼンチンと長く付き合うと、このブルーレートでの両替が一番確実。ただし、少し前までのブルーレートでもパスポートを提示する義務のある両替所はブルーレートよりも低めだし、街のショッピング街で一番よく耳にする「カンビオ!ドラー!」と言って寄ってくる立ちん坊両替屋は危ないから使わない方が良い。顔を見てペソの値段が変わったり、中には偽札を混ぜる悪いのもいるから。
私はもう長年友人の両替屋がいて、電話すると、私の泊まる部屋まで、足に巻き付けたペソを届けてくれる。彼はタンゴのアマ歌手で、歌を聴いてやって、親指を立ててやったら確実に良い値段で換金してくれるようになった。特に大きく換金する時は危ないから必ずこの方法を使う。
 で、今回はAirbnbで、ペソ払いの出来るアパートに決めた。そこは大学の先生が持つ物件で、アパートに辿り着いてみると、とにかく綺麗だし、ややネットのスピードに問題がある時もあるが、携帯のwifiと併用すればスピードも問題ない。テレビはインターネットでどのチャンネルも見られる上、風呂も広いし、冷暖房も完備。しかも、何しろ安い…。このコロナが終わってからは4回目のブエノスだったが、今回は結構忙しそうだからと、取りあえず1,000ドルだけ替えることにした。

予備選挙PASO(一次・公開・同時・強制選挙)で予想と違う大異変!

 今年の冬は寒いと聞いていたが、到着日は小雨の割には温かかった。最初は少し風が強いくらいだったが、翌日からアルゼンチン中で嵐。TVを見ていると各地で川が氾濫したり、大きな災害に見舞われているようだ。なんと言っても、最初にオゾン層に穴が開いたのがこの国の南極の上あたりだから、もともと異常気象も多い。そんなわけで最初はTVに目をやることが多かったが、13日の夜から急にTVのニュース•コーナーが慌ただしくなった。大方の予想を裏切って、第三極の候補者、ハビエル・ミレイがトップという結果になったという。彼が、ありえないことに「中央銀行をぶっ壊し1ドル=!ペソを経済の基本にする」という輩だから、市場はすぐに反応、一時は1ドル=800ペソまで急騰。翌日には少し落ち着いたものの、前日に両替していた筆者は端から大損気分だった。

ハビエル・ミレイ

 8月13日は、10月22日に行われる大統領選挙の予備選挙PASOの日だった。確かに、PASO(一次・公開・同時・強制選挙)のことは知っていたが、どうせ与党の「祖国のための連合」と、マクリ派の野党連合「変革のために共に」はブエノスアイレス市長が勝つか、マクリ政権時のパトリシア・ブルリッチ元治安相が勝つかに焦点は絞られているとみていた。PASOの主な目的は泡沫候補を除外することと同時に、党内の意見調整の場でもある。党内調整がうまくいけばいいが、党内調整がうまくいかなければ内部抗争により疲弊してしまうことにもなる。今回は野党連合の方が、元大統領マクリとこの2人の候補の調整も上手くいかない中、しかし与野党の二極中での戦いとの読みが一般的だった。

PASOを迎えるまでの流れ

 現在のアルベルト・フェルナンデス左派政権は結局運営最悪、国際通貨基金(IMF)への依存を解消し、貿易関係を多様化させるため、他国との関係を強化する目的で、昨年2月、ロシア、中国、バルバドスを訪問。「ロシアをラテンアメリカへの玄関口に」とやったが、直後に起きたロシアのウクライナ侵攻で、国連のロシア非難決議にも当初は反対とはいえず棄権。これが災いしたこともあって、国内での評判はさらに最悪に。インフレを止められない経済運営に打つ術もなく、アルベルトは「同国で史上最低の大統領」のレッテルを貼られる羽目に。昨年の8月、3つの省庁を一つにまとめて、若くクリスティーナ政権時の官房長官を務めたセルヒオ・マサに、その拡大した財務大臣を要請、IMFとの交渉をまかせて、返せないはずの借金を引き延ばしてもらった上に、更に借金の枠を広げてもらった。まさに、マサが救世主になった格好。そこで、今回は左派の与党連合は「ウニオン・ポル・ラ・パトリア(祖国のための連合)」と改名して、その会長にセルヒオ・マサを大統領候補に立て、PASOに向かうことになった。

セルヒオ・マサ

 一方野党連合の方は、マウリシオ・マクリ政権時代に国家安全保障大臣を務めたパトリシア・ブルリッチと、ブエノスアイレス市長だったオラシオ・ラレータ(以上「変革のために共に」)PASO前の調整が上手くいかずにこの2人を立てての戦いとなった。今回のPASOに向けた候補者リストでは、与党連合「祖国のための連合」は多くの州で候補者リストを統一できたが、野党連合「変革のために共に」は候補者リストを統一できなかった。上院は、与党連合が改選対象8州のうち5州で統一リストを提出、野党連合は2州でのみ統一リストを提出した。下院は、特に注目されるブエノスアイレス市、ブエノスアイレス州では、与党連合がいずれも統一リストを提出したが、野党連合はいずれも複数の候補者リストを提出することになっていた。

パトリシア・ブルリッチ

 今までの場合は、ブエノスアイレス市長が、次の大統領になるというのが習わしだったが、マクリ自身は政権末期の運営の悪さから、すでに人気が陰っていたのと、ラレータが先に出馬を決めたのが気に入らなかったか、アルゼンチンを離れて、一応ブルリッチを応援したかと思うと、あろうことか第三極のミレイを賞賛する発言も少なくなく、野党連合のまとまりを悪くしていた。また、ミレイもマクリの主張を賞賛して、両者が接近している印象すらもたれて、最近「マクリはすでにミレイに投票する事を決断!」と勘ぐられた報道すら起きている。
 いずれにしても、どちらかが選ばれて、PASOでは10月22日の本投票に進み、いずれの候補者も得票率45%以上(または次点候補に10ポイント以上の差をつけて40%以上の得票率)を獲得できなかった場合、上位2人の候補者が11月の決戦投票に挑む。

誰も予想できなかったミレイ候補の勝利!

 まぁ、ここまでが一般的な予想の範囲だったが、8月13日のPASOの結果は大番狂わせとなった。若者のロック・コンサートに現れてパフォーマンスしたかと思うと、チェーンソーを演説会場に持ち込んで会場を見渡し「チェンソーでこの政治をぶっ壊せ!」と叫ぶ。あるいは中央銀行の模型を持ち出してハンマーでたたき割り「中央銀行なんかいらない、くそ喰らえ!」と叫ぶ第三極の「自由前進」から出馬したハビエル・ミレイがいきなりトップに躍り出て、大騒ぎとなった。

チェーンソーを持って訴えるミレイ

 ミレイは、写真を見るからに、どこかで見た顔だと思ったら、長い揉み上げのメネム元大統領そっくりだ。1989年、民政になった直後のアルフォンシン学者大統領を「俺についてこい!」のキャッチフレーズを掲げた強引な政治手法で取りあえず経済を立て直し、主張は1999年まで大統領の座にあったカルロス・メネムそっくり。あの長い揉み上げは言わずもがなだが、稼げない国営企業はどんどん民間に売り払い、1ドル=1ペソ政策で借金を返す主張をしているところまで真似している。ただ、メネムは一応ペロンの正義党から立候補したのに比して、ミレイは独自の「ラ・リベルター・アバンサ(自由前進)」の党首としての立候補だから確たる地盤はない。新聞では一応アメリカのトランプや、ブラジルのボルソナーロに似た極右と表現されることが多いが、はっきり言って、とにかく「何をやっても結果を出せないアルゼンチンの政治をぶっ壊す」ための単語を並べるだけの政治家に見える。彼の主張は、非生産的な国家支出の削減、通貨交換の自由あるいはドル化(1ドル=1ペソ)、年金制度の民営化、生産の分配を国家が調整することの廃止、アルゼンチン航空、国政石油会社YPFなど赤字国営企業の民営化、輸出入税の撤廃、輸出促進のための税制優遇、資本取引規制の撤廃、中央銀行の廃止、労働改革、技術開発・知識産業の促進、再生可能エネルギー促進、石油・ガス、リチウムへの投資奨励…と、メネムがその昔行って成功したのに似た政策もあるが、女性省の廃止、中絶法の廃止等々、近年の世界的な価値観とは真逆の政策まで並べている。まぁ近年のコロンビアや、チリの大統領選と同様、とにかく現状を叩いて票を稼ぐスタイルだから若年層にはめっぽう強い。演説会場にチェーンソーを持ち込んで「中央銀行をぶち壊す!」とやったかと思えば、ロックコンサートに出演して派手なパフォーマンスを披露したりする。ただ「滅茶苦茶言っているだけでなく、彼の怒れる国民の分析力は素晴らしいし、色々並べていくうちに、不可能な事と実現できそうなことを知るとしっかり改める。どうして国民が怒っているのかを正確に判断しているという意味では彼の右に出る者はいない」という専門家?の評価もあって、PASOが近づくごとに支持層を上げつつあったらしいが。その流れがもう22日の投票日がすぐ近くに来ている今の段階でも、趨勢は変わっていないらしい。

本選挙を控えたPASO後の現在の評価

ルーラ・ブラジル大統領(右)とマサ

 PASOの結果、つまり8月13日の夜は第三極のミレイがトップの得票となったことへの驚きのニュース一色だった。結果は自由前進党のミレイ氏が32.2%の支持を獲得。セルヒオ・マサ現経済相(祖国のための同盟党)は28.9%で続いている。3位は中道右派のパトリシア・ブルリッチ氏(変革のために共に党)の23.7%…。その後、集計数は弱冠上下の差は縮まっているが、順位はそのままだった。その後、ブラジルの左派ルーラ大統領が、10月の本選に与党のマサを応援すると、ラテンアメリカ開発銀行(CAF)から10億ドル(約1486億円)の融資を承認した。マサが、すぐにIMFのクリススタリナ・ゲオルギエバ専務理事と交渉して、取りあえず、返済危機をまた救う形をとったが、国民はもうだまされない、やはり現在まで世論は一向に現政府を支持することにはなっていない。一番政治家らしいのはセルヒオ・マサと言われることもあったが、最近、派手な女性と豪華ヨットで遊ぶ姿なども報道される他、ペソの下降も収まらず、インフレ傾向も少しも止まることがない。ブエノスアイレスを中心に大臣として治安回復に腕を振るったブルリッチは、都会票では優勢を伝えられた事もあったが、肝心のマウリシオ・マクリが、何を考えてか、ミレイとの接近が伝えられることもあって、評価はいまひとつ。マクリ=ブルリッチの応援に余念のなかった新聞「クラリン」も、今ではミレイの記事が多くなってしまった。
 そして、そのどの一つも得票率45%以上(または次点候補に10ポイント以上の差をつけて40%以上の得票率)を得られそうな状況には至っていないというのが、各種世論調査での現状だ。ただ、PASO(一次・公開・同時・強制選挙)では、強制選挙にも関わらず、投票率は70.43%で、2011年に第1回が開催されて以来、4回の大統領予備選の中で最低だった。違反して投票しなかった者は約500ドルの罰金も化せられる(やむを得ない事情があれば申請することが出来る)から今回はさすがに投票率が上がるだろうし、棄権があっても少しは冷静な投票行動がなされるだろうから、予断は許さない。

今回の選挙で、誇れるアルゼンチン文化の行く先は?

元大統領のクリスティーナとマクリ

 いずれにしても今回で圧倒的なトップで当選するのか、あるいはその後60日以内の決選投票までもつれるのか、その行方は誰にも見えていない。今までの場合は、与党連合か、野党連合の争いで、いずれの場合も「文化戦略」についてはいずれも重要な位置を占めていた。そのねじれも、元はと言えば、クリスティーナ大統領の時代に、市長だったマクリが当時与党だったクリスティーナに、マクリ市長が市の運営するコロン劇場の200周年の完成お披露目の招待を出したのに、クリスティーナが直前のマクリの無礼な発言に怒り、遂にコロンに現れず、蹴ったことから、左右の文化戦争が始まったこと。クリスティーナは、コロン劇場に対抗して、当時郵便局だった建物を文化の新しい中心にと大改造。現在のキルチネル文化センターと名付けて、鯨の内部に見立てた大コンサートホールを持つ文化センターを建造した。それを次に大統領になったマクリが更に世界中の大物アーティストたちを呼んで安く提供して人気が出たのだが、「市の重要な文化の殿堂にクリスティーナが元旦那で大統領だった名前を冠した事に抗議の意味を込めて改名」しようとなった。が、これはすでに存在する法律によって名称は変えられないことになった。実は、現在行われているタンゴダンス世界選手権も、国会議事堂横の歴史的な建造物コンフィテリア・デル・モリーノの改築も、小さいけれども歴史的な八百屋舞台を持つ5月25日劇場の改築(サテライトで世界配信できる設備も持つ)も、ボカ地区、ボカ港の整備・新開発も、アバスト地域の新開発も、大統領府からオべリスコに至るディアゴナル大通り(現在はこの通りで世界選手権の決勝が開かれている)のカフェ文化の再興も、クリスティーナ政権で始めたものをことごとくマクリが引き継いでこけら落としを行ったし(デル・モリーナだけはまだ改築中)、タンゴダンス世界選手権を行っている「ウシナ・デル・アルテ(芸術の発電所)」も、クリスティーナ政権時代にはじめて、マクリがこけらを落としている。左翼と中道右派の政権での競争がいずれも素晴らしい成果を生み出してきた。「文化」での競争がいつも重要な位置を占めてきたこともある。さすが「南米のパリ」ブエノスアイレスと言われる所以。

Usina del Arte(芸術の発電所=昔の発電所を改装した)

 経済が厳しい時も、文化政策の訴えでポイントを上げることが、選挙での勝利にも大きく関与してきた。果たして、今回の第三極が十分な議員数が見込めず、議決権は取れないから、単独で政権をとることは難しいと言われながらも、今のまま行った場合には、歳出カットの犠牲で全てが難しくなるのか…大いに気になるところである。IMFからの借金問題は、メネム大統領が「このやり方では一向にわれわれの債務が減ることはない」と1990年代にアメリカの議会に飛び込んでいって演説。1ドル=1ペソ政策を決行、とうとう債務を返済し、経済を上昇気流に乗せたた過去がある。しかし、あの時も、為替政策で落ち着いた後には、今度は輸出産業が全く振るわなくなって不況を招いた過去もある。世界に誇る牧畜産業界の4大ボスに重税を課したが、その労働者たちが全国の高速道路を封鎖し、ブエノスアイレスの誇る牛肉が全て冷凍肉になった時期もあった。当然輸出の料金も税金も上がる。全てがこんな具合だったから、不況はあっと言う間にやってきた。当たり前だ。いずれにしても、その場しのぎではない舵取りを出来る人間に大統領になってもらわないと、今のままではアルゼンチンの文化にとっても重大な危機となる可能性もある。ただただ、文化政策だけは大いに競争してもらって、上手く廻ってくれる事を祈るばかりだ。最近は老人たちは「今の政府では安い金で大学まで行かせてもらった優秀な若者たちは、こぞってアメリカやヨーロッパで稼ぐ事ばかり考えて移住する」と嘆き、若者たちにすれば「左右どちらでも口先ばかりでペソ安に歯止めをかけられず、職に就くのも至難の業、とてもこの国での給料生活ではやっていけるわけがなく、このインフレでは夢なんか持てるはずがない」と嘆く。

市長候補ホルヘ・マクリの看板


 今回はブエノスアイレス市政府の首長選挙も同時に行われるが、ブエノスアイレスの方は、マクリのいとこのホルヘ・マクリにほぼ決まったから、取りあえず、タンゴダンス世界選手権の方は存続するとは思うが、時期も含めてどうなるか、確実な事は何もない…。しかし、我が日本でも、もう長い間円安を止められず、世界の中では当然、アジアの中での威信もすでに下降の一途であることを誰も言わない。インフレには借金の他に策がない。夢を抱いて外国に行く若者もいない。しかも、最悪なことに、この国では「文化」は大きな争点にならない…偉そうに人のことなぞ言っている場合じゃない!?
さて、もうすぐ運命の10月22日、運命の大統領本選投票日だ。この日、誰かが45%以上の得票率で、2位との差があれば,この日で新大統領が決まるが、でなければ、上位2人での決戦投票が11月19日となる。どうなるのか、世界が注視している。

(ラティーナ2023年10月)

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