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#ラティーナ2022年1月
[2022.1]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ⑱】 “Sayonara Nakamura”―沖縄の真珠採りダイバーに捧げる歌―
文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授) 先月号では、オーストラリアの木曜島Thursday Island を拠点とした和歌山をはじめ愛媛、広島からの真珠採りダイバーと、その操業にまつわる歌をご紹介しました(2021年12月号)。今回取り上げるのは、沖縄からの真珠採りダイバーの物語です。 その発端となるのは、オーストラリアのテッド・イーガン Ted Eganさんが1983年に作詞作曲し、1993年に録音した “Sayonara Nakamura” という歌です。主人公は
[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑮】森から立ち去れ:大自然への強い思い を歌ったジョビン- 《Borzeguim》
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura 晩年のジョビンは、リオ植物園を近くに擁し、緑豊かなジャルジン・ボタニコ地区に、自宅を構えていました(市内南部のイパネマなどの地区からやや内陸に寄ったコルコヴァードの山の南側の麓)。比較的静かな一帯で、私も、90年に大阪で開催された花博におけるブラジル出展庭園の設計に従事した人物がこの近くに住んでおり、その方のご自宅に招かれお邪魔したところ、昼下がり、窓辺に吊るされた砂糖水の入
[2022.1]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り18】 沖縄の島々に伝わる稲作生産叙事歌謡 ―《天親田》と《ティルクグチ》―
文:久万田晋(沖縄県立芸術大学・教授) 沖縄の島々には広く開けた土地がなく、大規模な稲作にまったく適していない。それにも関わらず近現代まで、沖縄の一部では稲作が行われていた。たとえば名護市羽地地域などはハニジ・ターブックヮ(田袋)と称されるほど有名な稲作地帯であった。ところが1962年に勃発したキューバ危機による世界的な砂糖価格の高騰の結果、沖縄の多くの農家が稲作を捨ててサトウキビ生産に転換した。そのため現在の沖縄県では、石垣島などごく限られた地域でしか稲田が見られなくな
[2022.1]【アルゼンチン・ニュース】「タンゴ・アルヘンティーノ」のオリジナル・キャスト、タンゴの名ダンサー、エルサ・マリア逝く!
編集部 タンゴダンス界にまた悲報です。夫のエクトル・マジョラルと共にアルゼンチン・タンゴの象徴的なカップルの一人となったエルサ・マリア・ボルケスが、この1月8日に亡くなった。弟のカルロス・ボルケスが自分のFacebookに投稿した途端、ニュースは世界を巡り、無数のタンゴ・ファンから哀悼の言葉が寄せられたという。 1944年6月25日、ブエノスアイレスのラ・ボカ地区に生まれた彼女は、ダンスを職業とし、エルサ・マリアという芸名で、世界各地を訪れ、さまざまな地域の人々と肩を
[2022.1]【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑭】もう一人の「イパネマの娘」を賛美した歌 - 《Lígia》
文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura 前回は、名曲「イパネマの娘」誕生の際のモデルとなった美女が実在し、イパネマのレストラン・バー「Veloso」の常連飲み客であるジョビンとヴィニシウスが、毎日見かけていた人物(エロイーザ)であったというお話をご紹介しました。実は、もう一人のイパネマの娘とでも申しましょうか。イパネマの娘のヒットから6年後の1968年、ジョビンは、この「Veloso」というお店で出会った別な女性に
[2022.1]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」⑱】 Robertinho Silva, Alexandre Ito 『Nascimento das Canções』
文●中原 仁 2022年10月に80歳を迎える “ブラジルの声”、ミルトン・ナシメントが昨年の誕生日に、「A Última Sessão de Música」と題する2022年のコンサートツアーをもってライヴ・パフォーマンスから引退すると発表した。 「最後の音楽会」という意味のタイトルは『Milagre dos Peixes』(1973年)に収録された、ミルトンが作曲したピアノ・ソロのインスト曲のタイトル。なお、この曲は、同アルバムのブラジル盤CD(アビーロード・スタ