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Web版 2020年12月

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#ラテンアメリカ

[2020.12]【「ラ米乱反射」電子版 第5回】ラ米の2020年重要ニュース

文●伊高浩昭(ジャーナリスト) ▼コロナ疫病COVID19猛威振るう ラ米最大のニュースは世界の他地域同様に、現在進行中のコロナ疫病「COVID19」の爆発的流行である。2020年12月半ばの時点で、世界最悪感染状況上位15カ国に、3位ブラジル、9位アルゼンチン、10位コロンビア、12位メキシコ、15位ペルーと、5カ国が名を連ねた。「暴君」型で反知性主義のジャイール・ボウソナロ大統領施政下のブラジルは、大陸国家の巨体を持て余してアマゾニアの森林を破壊したり、コロナ禍への的確

[2020.12]柳原孝敦【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●柳原孝敦  ラテンアメリカ関連の本を3冊紹介するよう依頼されたので、ここはぜひとも拙著『テクストとしての都市 メキシコDF』(東京外国語大学出版会、2019)を大々的に宣伝して、とも思ったのだが、どうも古い人間なせいか、自己宣伝ははしたないと思ってしまう。それに、膨大な数の文献の中からたった3冊しか選べないところへ自分のものを位置づけるなどおこがましい。  古い人間といえば、怠け怠けであったとはいえ、30年以上もラテンアメリカ関連の本を読んでいると、自身の人生や歴史

[2020.12]石橋 純【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●石橋 純  スペイン・ラテンアメリカ音楽を知るうえで必読の著者として3人を挙げたい。濱田滋郎(1935〜)、高場将美(1941〜2018)、YOSHIRO広石(1940〜)だ。濱田・高場は、達人のスペイン語能力をもってしてラ米音楽を紹介する先駆的存在であり、このふたりに匹敵する広さと深さでラ米音楽を評論できる日本語ライターは今後現れないだろうと私は思う。広石は、著作の副題によれば「世界を驚かせた伝説の日本人ラテン歌手」。彼もまた、スペイン語の達人である。

[2020.12]岡村 淳【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●岡村 淳  なさそうで、ホンキで探すとけっこうあるもの、さてなんでしょう?  日本語で書かれたラテンアメリカ関係の書籍です。今回も、こんな本が日本語で存在するのだとお伝えしたいのが多々あり、3冊に絞り込むのはまさしく身を切る思いでした。しかしそれらを身近に眺めて手に取れる場所となると…… 日本のとっておきの場所を紹介しましょう。競争率が増しそうで、できれば伏せておきたかったのですが…… 東京西荻窪のブラジリアンバー『APARECIDA』のSEBOコーナーです(セボと

[2020.12]月野楓子【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●月野楓子  「ラテンアメリカ文学」の魅力を紹介する書籍は少なからず出版されている。最近では、寺尾隆吉『100人の作家で知るラテンアメリカ文学ガイドブック』(勉誠出版、2020年)が、作家ひとりひとりの略歴・作品の紹介などを丁寧にまとめているだけでなく、面白いものを読むべし!と良書に狙いを定めた推薦書が紹介されていて、とても親切だ。同地域に関心を持つ者として、いろいろ読みたいなと思う一方、普段はつい関係無い本ばかりに目がいってしまう。そのため、ここではこの機会に読み直

[2020.12]宇戸裕紀【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●宇戸裕紀  遠くにある異国のあり方を深く知るためには多くの手段がある。ニュース、外国語会話学校、旅行、留学、料理、音楽、文学、映画…どれもがその国の側面を映し出しているが一つだけでは不充分だ。そのいくつかをバランスよく摂取することでお互いが補完しあって、生き生きとした経験として身体に染み渡っていく。私がスペイン語を学び始めたひとつのきっかけがスペイン・ラテンアメリカの文学を直接原語で触れることができるからだったが、その魅力に改めて気がつくのは住んでみて文学で読んだよ

[2020.12]長屋美保【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●長屋美保  ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を読んでも、登場人物が多すぎて、混乱して終わったような筆者にとって、ラテンアメリカ文学でよく言われる、マジックリアリズムは、未だに謎だ。メキシコで10年以上暮らし、日常では、シュールなことが頻繁にあり、「これが、いわゆるマジックリアリズムなのか!」、と思うこと然りだが、腑に落ちない。そういえば、現地の人たちは、ラテンアメリカ文学を語るときに、敢えてマジックリアリズムを強調してない。それは彼らの方が小説よりもマジックリアリ

[2020.12]中村安志【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●中村安志  遠いラテンアメリカですが、ラティーナ誌イベントでの意欲的な解説や、日本で読めるいい文献も増えました。現地文献が読めると、なお一層楽しめますが、第三国の書物にも啓発されるものが多々あります。  例えばブラジルについては、フランスで書かれた書籍・資料に有益なものが多いことに驚かされます。言葉が近いことも関係するでしょうが、昔のレヴィ・ストロースなどをはじめ、フランス側の才能ある人が多数、ブラジルに大いに傾倒していることも大きいでしょう。  今回ご紹介した小説

[2020.12]岸和田 仁【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●岸和田 仁 アンデス教養旅行 『アンデス教養旅行』(寺田和夫著、東大出版会、1962年)

[2020.12]宮沢和史【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●宮沢和史  コロナ禍の第三波はこれまでの波の比ではないかもしれません…。台湾やシンガポールなどのように政府の努力、国民の協力の元、現被害を最小限に食い止めている国がある一方で、かなり早い段階でロックダウンしたにもかかわらず感染者数が増加し続けている国もあり、ロックダウンによって大幅に感染者数が減少したにも関わらず解除とともに急増している国もあります。世界最悪の被害を出しているアメリカ合衆国では新大統領に政権が速やかに移行しない限り、被害者数が増大の一途をたどることは

[2020.12]アルベルト松本【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●アルベルト松本  日本には、戦前から中南米に関する書籍やレコード(今やCD、DVD等デジタル化したもの)が存在し、特に音楽関係者には熱狂的なファンも存在してきた。戦時中でさえ当局はアルゼンチンタンゴを認めていたと聞いているが、当時は(もしくは今も)あのブエノスアイレスへの憧れなどもあったのであろう。以前から日本人海外移住者にはビジネスに従事した商社マンや考古学者等がおり、こうした人たちからの便りや記事、記録史は常に刺激を与えてきた。今は様々な分野のラ米専門家が書いた