マガジンのカバー画像

世界の音楽情報誌「ラティーナ」

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活を世界中の多様な音楽で彩るために、これか… もっと読む
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てア… もっと詳しく
¥900 / 月
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

[2020.09]【連載|ブラジル(と新宿)から世界を見る “ペドロスコープ”①】熱帯の真実の「明るさ」と「影」

文●ペドロ・エルバー ペドロ・エルバー(Pedro Erber) 哲学者、批評家。1975年リオデジャネイロ生まれ。現在は早稲田大学准教授。2019年まで米コーネル大学准教授。美術史ジャーナル「ARTMargins」編集者。アート、美学、政治思想、文学についての多くの執筆がある。主な著書に『Breaching the Frame: The Rise of Contemporary Art in Brazil and Japan』(14年 )。現在2歳の長男とゼカ・ヴェ

[2020.09]塩谷 哲の「人生を変えた3枚、1作、1冊」

塩谷 哲●プロフィール  ピアニスト/作・編曲家/プロデューサー  東京藝術大学作曲科出身。在学中より10年に渡りオルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニストとして活動(93年国連平和賞受賞、95年米グラミー賞ノミネート)、並行してソロアーティストとして現在まで12枚のオリジナルアルバムを発表する。自身のグループの他、小曽根真(p)との共演、佐藤竹善(vo)との”SALT & SUGAR”や上妻宏光(三味線)との”AGA-SHIO”の活動、リチャード・ストルツマン(cla)、渡辺

[2020.09]角銅真実の「人生を変えた3枚・1作・1冊」

角銅真実(Manami Kakudo)  音楽家、打楽器奏者。  長崎県生まれ。マリンバをはじめとする様々な打楽器、自身の声、言葉、オルゴールやカセットテープ・プレーヤー等身の回りのものを用いて、自由な表現活動を国内外で展開中。自身のソロ以外に、バンドceroのサポートをはじめ、原田知世やORIGINAL LOVEなど、様々なアーティストのライブへの参加、レコーディングで携わるほか、CM・映像、ダンスやインスタレーション作品への楽曲提供・音楽制作を行っている。  2020

[2020.09]フェビアン・レザ・パネの「人生を変えた3枚、1冊」

フェビアン・レザ・パネ●プロフィール  東京生まれ。父はインドネシア人、母は日本人。1983年東京芸術大学音楽学部作曲科卒。  ピアニストとして大貫妙子、小野リサ、川井郁子など幅広いジャンルのアーティストのサポート活動を長く行う一方、久石譲、千住明などの作曲家からの指名によるCMや映画音楽などのレコーディングにも数多く参加している。全曲オリジナル曲によるソロピアノのアルバム制作やライヴ活動も継続して行っていて、最新作は2018年リリースのライヴ・アルバム「Divine D

[2020.09]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ②】ヴァイオリン、教会の坊さん、「洗礼者ヨハネに捧げる踊り」 ―ミクロネシア・ヤップ島のカトリックと音楽―

文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授)  大航海時代、世界各地にカトリックを広めたのがイエズス会士でした。F.ザビエル (1506-1552)もその一人。この頃、宣教師たちはモノフォニー(単旋律)のグレゴリオ聖歌に加え、ポリフォニーのミサ曲等もうたっていました。複数のパートが同等に進行するポリフォニーに対して、メロディと伴奏からなるのはホモフォニー。宣教師たちは、耳からも文化の違いを感じ取りました。そのサウンドスケープをドラマ仕立てにしたのが、1986年公開の英・仏・米の映

[2012.01]カエターノ・ヴェローゾ&マリア・ガドゥ「ブラジルで最も愛されている2つの声」

文●花田勝暁 texto por KATSUAKI HANADA  コンサートのメイキング映像を見ていたら、こんな言葉があった。グローボ系のTV局ムルチショーの若い綺麗な女性インタビュアーが、カメラチームにインタビューする時の言葉だ。「この国で最も愛されている2つの声とのコンサートをディレクションするのはどうですか?」  ワイドショーのインタビュアー的に多少無責任なところもある発言だが、カエターノとマリア・ガドゥを「この国で最も愛されている2つの声」を称するのを、今の状況

[2015.12]カエターノ・ヴェローゾ/ジルベルト・ジル デビュー50周年を記念した歴史的共演コンサート

文●中原 仁 / 写真●本田大典 texto por JIN NAKAHARA / fotos por DAISUKE HONDA  大喝采に迎えられてステージに登場した2人は、拍手が静まるのを待つのももどかしげに、ギターを弾いて歌い始めた。  〝ロンドンにいた頃、僕は時々、ここからとても遠い自分を感じていた……〟  ジルベルト・ジルがロンドン亡命からの帰国直後に発表した「バック・イン・バイーア」。この曲でカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルのコンサートがスタートし

[2016.12]カエターノ・ヴェローゾが 「声とギター」のステージで魅了 〜モントルー・ジャズ・フェスティヴァル・ジャパン2016〜

文●中原 仁 texto por JIN NAKAHARA 写真● KentaSuzuki / TaikiMurayama  毎年夏にスイスのレマン湖畔で開催され、今年で50回目を迎えたモントルー・ジャズ・フェスティヴァル。ジャズだけにこだわらない多彩なプログラムが特徴で、70年代後半からはブラジルの音楽家も定期的に出演し、ブラジル・ナイトは人気プログラムに定着している。  その日本版「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル・ジャパン2016」が10月7日から9日までの3

[2014.12]永遠の《リズムの王様》フアン・ダリエンソ研究〈上〉

文●ガブリエル・ソリア/翻訳●鈴木多依子 texto por GABRIEL SORIA / traducción por TAEKO SUZUKI ▲初期のオルケスタ(1928~1939)  30年代以降におけるフアン・ダリエンソは、タンゴ界において紛れもなく重要な存在だった。彼への評価は演奏家としてではなく、唯一無二のスタイルを指揮する楽団リーダー/創立者としての姿であり、それは完全なる改革者であった。今日に至ってもそのスタイルを模倣し、再構築する後継者は後を絶たな

[2015.1]永遠の《リズムの王様》フアン・ダリエンソ研究〈下〉

文●ガブリエル・ソリア/翻訳●鈴木多依子texto por GABRIEL SORIA / traducción por TAEKO SUZUKI ある年の12月14日 フアンがこの世にやってきた  広い心とセンチメンタルな  バイオリンを携えて あなたの音楽はタンゴに輝きを与え この街のアイドルとなったあなたを 人は「リズムの王様」と呼ぶ……(「12月14日」より)  1961年12月14日、RCAビクター社はこの日と同じタイトルのLP盤『カトルセ・デ・ディシ

[2020.09]アドリアーナ・カルカニョット|ステイホーム中に「緊急」で完成させたアルバム『Só』を語る

アドリアーナ・カルカニョット●プロフィール  1965年10月3日、ブラジル・ポルトアレグレ生まれ。女性シンガー・ソングライター。1980年代半ばからプロとして歌い始め、1990年にデビューアルバム『Enguiço』を発表。その後もコンスタントに作品をリリースし、MPBを代表する女性シンガーとして活躍。“女性版カエターノ・ヴェローゾ”の異名をとり人気を集めた。アーティストからの評価も高く、サンバやボサ・ノヴァを昇華した現在進行形のブラジル音楽を描き出す才女として多くのリス

[2016.05] キケ・シネシ【新しい世界の作曲家 - フォークロア、プリミティブ、うた、器楽、革新 -】

キケ・シネシ(Quique Sinesi) ●プロフィール 1960年ブエノスアイレス生まれの現代ラテンアメリカを代表するギタリスト。タンゴ、フォルクローレといったアルゼンチン土着のリズムだけにとどまらず、即興、ジャズ、ワールドまで幅広く手がける。カルロス・アギーレ、岩川光、パブロ・シーグレル、チャーリー・マリアーノらとのコラボレーションでも知られる。(プロフィールは2016年当時) 『 7 sueños / Familia』(2014) Q1.どういう音楽を聴いて育っ

[2015.11]小松亮太×JP Jofre×Ville Hiltulaタンゴ対談~前半戦 「あなたがタンゴに興味がないのは、 タンゴのことを知らないからです」

文●坂本悠 Text by Yu Sakamoto  アルゼンチンで生まれ、ニューヨークで活動するジェーピー・ジョフレ、フィンランドで生まれ現在はオランダを拠点にするヴィッレ・ヒルトゥラ、そしてアジアを中心に活動する日本の小松亮太。それぞれの国を代表して活躍する3人のバンドネオン奏者が10月のある日、雑司ヶ谷にあるタンゴ・バー「エル・チョクロ」に集結した。それぞれの地域のタンゴの特徴やタンゴの未来についてどう考えているか問いかけてみると、各々が胸に抱く熱い思いを語ってくれ

[2015.12]小松亮太×JP Jofre×Ville Hiltula タンゴ対談~後半戦 「ピアソラ以前のタンゴはつまらないだって?」 世界で活躍する3人のバンドネオン奏者が集結!

文●坂本悠 Text By Yu Sakamoto  先月号の対談ではそれぞれの地域のタンゴの特性や、タンゴの音楽とダンスの共存を中心に語ってくれた。対談後半では現在、3人が考える現代のタンゴ界が抱える問題に話が及ぶ。世界をまたにかけて活動する彼らの目にはどのように映り、感じ、そして考えているのだろうか? ◆ピアソラ「だけ」が素晴らしい?