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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#音楽

[2025.1]J-WAVE NX NIPPON EXPRESS SAÚDE! SAUDADE.. CARNAVAL 2025 〜今年も2月に開催!真冬の東京に出現する祝祭空間!

J-WAVE開局以来の最長寿番組、放送36周年を迎えた<NX NIPPON EXPRESS SAÚDE! SAUDADE..(サウージ!サウダージ)>(日曜17:00〜17:54放送)がプロデュースする、毎年恒例のブラジル・カーニヴァル・イヴェントが今年も2月に開催されます!なんと第27回!(すごい!) 今年のテーマは "RIO - BAHIA -TOKYO 歌とリズムの祝祭"。 カーニヴァルの都、リオデジャネイロとバイーア、そして東京を、サンバなどの多彩な音楽が結びます

[2025.1]Best Albums 2024 ④

2024年のベストアルバムを選んでいただきました!第二弾です。 (カタカナ表記のものは国内盤として発売されています) ●清川宏樹 もちろん音楽に技術や質が大切なのは言うまでもない。だが結局の所、リスナーは文脈や物語性を排して音楽を聴くことはできないし、聴覚を通して表現者の人生観や独自性に触れることを望み、それを喜びとする。いかなる情報・記録へのアクセスも容易になった今、技術の保存だけではもはや音楽は残らない。音楽に新たな価値を与え、その枠組みを押し広げる人こそが、これからの

[2025.1]Best Albums 2024 ③

2024年のベストアルバムを選んでいただきました!第二弾です。 (カタカナ表記のものは国内盤として発売されています) ●宇戸裕紀ここ数年間寝ても覚めてもずっと聴いているのがアルゼンチン、コルドバ出身のZoe Gotusso①。ポップながらどこか影も感じさせるゾワゾワがたまらない。ラ・プラタのピアニスト Franco Dionigi が年の初めにボソッと送ってくれたアルバム②はメロディが慎ましく、彼らしいアルバムだった。④は米国にいてもウルグアイらしさ満開。アルゼンチンの国宝

[2025.1]Best Albums 2024②

2024年のベストアルバムを選んでいただきました!第一弾です。 第二弾は来週公開予定です! (カタカナ表記のものは国内盤として発売されています) ●長屋美保とにかくライブが良かったのが、アイマラにルーツを持つ米国のエレクトロニックミュージックの新鋭①、メキシコ北部バハ・カリフォルニア出身でスペイン在住のアンビエントの巨匠②、そしてジョーイ・キニョーネスが率いる③。新世代チカーノソウルは雨後の筍のように登場しているけど、その中でもジョーイの声量や表現力は突出している。④〜⑦は

[2025.1]Best Albums 2024 ①

2024年のベストアルバムを選んでいただきました!第一弾です。 第二弾は来週公開予定です! (カタカナ表記のものは国内盤として発売されています) ●おおしまゆたか 何と言ってもすずめのティアーズと長野友美に仰天。津山篤もこういう人だったのね。紅龍に涙し、《七つの月》に集うたうたい手たちに興奮した。Frankie Archer にも仰天。イングランドの歌謡伝統はついにこんな人を生みだした。Sue Rynhart がアイルランドからジャズ歌謡を定義しなおせば、Cathy Jor

[2025.1]ブラジル北東部マセイオ出身の新世代アーティスト〜ブルーノ・ベルリ 来日インタビュー

文:中原 仁  2022年、UKのFar Outからリリースされたワールド・デビュー・アルバム『No Reino dos Afetos』が日本でも話題となり、同年の「ブラジル・ディスク大賞」で関係者投票の3位にランクインした、北東部アラゴアス州マセイオ出身のシンガー・ソングライター、ブルーノ・ベルリ。現在はサンパウロに住んでいる。  2024年4月に『No Reino dos Afetos 2』をリリース。11月に共同プロデューサー/トラック・メイカーのバタータ・ボーイと

[2025.1]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 53】 Erasmo Carlos 『Erasmo Esteves』

文:中原 仁  「2024年ブラジル・ディスク大賞」関係者投票部門の7位が、故エラズモ・カルロス(1941~2022/11/22)の『エラズモ・エステーヴェス』。2024年のラテン・グラミーで「ポルトガル語によるロックもしくはオルタナティヴ・音楽部門」のベスト・アルバムに選出された。   エラズモは存命中、ニューアルバムの録音に向けて新曲を作り、共作も行なっていたが、志半ばで天国に旅立ってしまった。その後、制作途中のデモ音源などを息子のレオ・エステーヴェスが収集。未完成だ

[2025.1]2024年ブラジルで流行った音楽

文●島田愛加 2024年のブラジル音楽シーンを一言で表すと「ファンキが市民権を得た!」です。 ブラジルでファンキが流行した頃に使われていた90年代のマイアミベースが復活し、現代的にアレンジされたものがブラジル国外でも評価されています。 ファンキの歌詞はファベーラ(スラム)での生活や、ストレートな性的表現を歌った曲が中心でしたが、最近では誰しもが共感できるような、より個人的な感情や状況を描いたものが増えています。これによりファンキはより幅広い人々に聴かれる音楽へ変化し、偏見が

[2024.12]【境界線上の蟻(アリ)~Ants On The Border Line〜25】ポーランドの鬼才が南インド勢と繰り広げる〝電脳シャクティ3.0〟〜サーガラ 『3』

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto 中央ヨーロッパ諸国の中でもとりわけ層の厚いジャズ・シーンを形成するポーランドは、ポスト・ロック、ヒップホップ、テクノ、アンビエント、ワールド・ミュージックなどの他ジャンルの要素に対して開かれた感覚を持つ音楽家が多いのも特徴的だが、1983年生まれのアルト・クラリネット奏者のヴァツワフ・ジンペル(Waclaw Zimpel)もその1人と言えるだろう。かつてギタリストの内橋和久がポーランドから気鋭のプレイヤーたちを日本へ招聘し

[2024.12]『唄方プロジェクト』 ジャマイカへ行く♪(前編)

文●宮沢和史  日本のフォークソング、和製ロック、流行歌、演歌、ムード歌謡。自分の音楽性の基盤にあるのはそれらの音楽であることは間違いないと断言できる。物心ついた時から、いやそれ以前から耳に入ってくる音楽の量は圧倒的に日本産だったわけだし、自分が生まれ育つ環境において無意識に共感できたり、逆に未知なる異郷に思いを馳せたりと、日本製音楽はまさに自分の血肉が形成される過程においての滋養に他ならなかった。ただ同時に言えるのはそういった音楽を創造してきた作曲家、作詞家、編曲者、演奏

[2024.12]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2024年12月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 África Negra · Antologia Vol. 2レーベル:Les Disques Bongo Joe [12] 19位 Sinimuso · Nouskaa Sisaretレーベル:

[2024.12]箏曲家 西 陽子『KOTO BRASIL』 〜構想10年!音楽文化を乗り越え、遂に完成した新作〜

文●曽山啓一  箏(琴)、三味線、笛、胡弓などなど、和楽器は不思議な楽器だ。西洋の一定の音程を基準に、低音からハーモニー構造をもって構築されていく音楽とは、全く楽器の発想が違う。  オーケストラ音楽の機能に合わせて楽器を進化させることがほとんどない。箏の調整をするのには、琴柱を用いる。ボディには弦が張ってあるのだが、琴柱と右端の長さを調整して音程を作っていく。演奏に際しては、右端と琴柱の間を爪ではじく。音程を上げるときは、押しと言って、左手で琴柱の左側の弦を押す。それによっ

[2024.12]ブラジル新世代の中軸として注目される存在〜チン・ベルナルデス Tim Bernardes〜来日インタビュー 

文:中原 仁  2023年11月、ソロで初来日して「FESTIVAL de FRUE 2023」に出演、ギターとピアノの弾き語りで美しい歌声とソングライターとしての実力を披露した、チン・ベルナルデス。2024年11月にはロック・トリオ、オ・テルノを率いて再来日し「FESTIVAL de FRUE 2024」に出演。結成15年のオ・テルノの “活動停止前の最後のコンサートツアーとしての初来日” となった。  チン・ベルナルデスが2017年に発表したファースト・ソロ『ヘコメサ

[2024.12]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 53】 5 a Seco 『Sentido』

文:中原 仁  2000年代後半から2010年代に頭角を表した、ノヴォス・コンポジトーレス(新しいコンポーザーたち)と総称されるサンパウロの新世代。そのキーパーソン、ダニ・グルジェルとハイスクールの同級生だったト・ブランヂリオーニ、ヴィニシウス・カルデローニのほか、ペドロ・アルテーリオ、ペドロ・ヴィアーフォラ、ダニ・ブラッキ。この5人のシンガー・ソングライターが2009年に結成したバンド、シンコ・ア・セコ。当時は全員、20代前半だった。  当初は、ライヴのために期間限定で