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Web版 2023年12月

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記事一覧

[2023.12]ミレイ新大統領いよいよ発進!!!

文●本田 健治 新大統領ミレイの当選から移行期間  今年のアルゼンチンは、ようやくコロナも終わって全ての活動が復活したと思ったら、次は大統領選挙のニュースに振り回された年だったようだ。リベルター・アバンサ(自由前進)という政党は2021年にはじめて議席を持ったアルゼンチンでは若い政党だが、そのはじめて右一本の政党のハビエル・ミレイ候補という、歴史的には急進主義やペロニズムと無縁の政党の候補者が、ブエノスアイレスで勝利することなくPASO(予備選挙)で勝利した最初の候補者と

[2023.12]Best Albums 2023 ①

2023年ベストアルバムを選んでいただきました!第一弾です。 (カタカナ表記のものは国内盤として発売されています) 年明けにも順次掲載予定です。 ●おおしまゆたか 番外でナスポンズの3曲入りマキシ・シングル(?)「ナスの缶詰めVer.1」。今年はジャズばかり聴いていた。⑧はウェールズとアイルランドの伝統音楽だが、精神はジャズだ。一方⑦はECMだが、中身はフォーク・ミュージック。②はジャズと伝統音楽の理想的合体。伝統音楽では、⑨が今イングランドのフォーク界最高のデュオによるク

[2023.12]『ブエノス・アイレスのマリア』東京公演(12/15)レポート

文●山本幸洋 写真●yamasin ­­­ 終演後の舞台挨拶。柴田奈穂の涙が、このコンサートにかけた思いを表していたのだと思う。  Tango Querido主催『ブエノス・アイレスのマリア』は今回が3度目の公演となる。初回は、新型コロナウイルス感染症による閉塞感の真っ只中にあった21年12月。期待をはるかに超えて、創造性あふれるポスト・モダンな歌劇スタイルで上演された。それは衝撃的だった。そのライヴ・レコーディングがCD発売されたのが本23年1月。装丁も美しく、奇跡的な

[2023.12]8月の南米ツアー報告~②ペルー編 『パンデミアを経た南米のウチナー社会』

文と写真●宮沢和史  それ以前に単独で海外渡航を試みた日本人は存在したが、明治元年に150人の移民団が日本からハワイに渡ったことからアメリカ大陸における日系移民史は幕を開ける。沖縄の社会運動家當山久三と平良新助らが1899年に沖縄から移民団30名を送り出した目的地もやはりハワイだった。日本からの移民団はハワイに加えてアメリカ本土へも上陸していくが、勤勉に働き、農業において成功する者が台頭するにつれ、アメリカ社会から日系移民への差別意識が高まることとなり、日本人排斥運動へと発

[2023.12]【連載タンゴ界隈そぞろ歩き ⑨】2023年を振り返って~二人の巨匠との別れ

文●吉村 俊司 Texto por Shunji Yoshimura いよいよ2023年も残すところ数日。今年もいろいろなことがあった。個人的には何よりこの連載「タンゴ界隈そぞろ歩き」をスタートしたことが大きい。本業の都合で10月が欠けてしまったのは残念だが、ひとまず何とか続けられたことは嬉しい。他にも素晴らしいタンゴを数多く聴くことができたし、多くの素晴らしい出会いもあった。充実した一年であったと思う。 一方、タンゴ界にとっては悲しい別れもあった。時の流れには逆らえない

[2023.12]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~14】 BCUC(Bantu Continua Uhuru Conciousness)(南アフリカ)

文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto  南アフリカ発の音楽の動向も最近は様々な角度から伝わるようになってきたが、おそらくここ数年のヨーロッパのライブ・シーンにおいて最も熱い注目を集め続けているグループはBantu Continua Uhuru Conciousness、略してBCUCだろう。〝バントゥー系民族の自由意識連続体〟とでも訳すことのできる硬派なネーミングからも伝わってくるように、2004年ごろからソウェトにあった船舶コンテナを改造した公共レストランで

[2023.12]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年12月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】

e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。 20位 Mohammad Motamedi & Rembrandt Trio · Intizarレーベル:Just Listen [39] 19位 Emilia Lajunen · Vainaan Per

[2023.12]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」 ㊶】 Aguidavi do Jêje 『Aguidavi do Jêje』

文:中原 仁  80年代のオロドゥン、90年代のチンバラーダから随分と間が空いたが、バイーア発のパーカッション・アンサンブルによる新機軸の音楽が登場した! パーカッション奏者、ルイジーニョ・ド・ジェージ(Luizinho do Jêje)が率いるグループ、アギダヴィ・ド・ジェージ。結成から15年を経て2023年11月にファースト・アルバムを、デジタルとアナログ盤でリリースした。  ルイジーニョ・ド・ジェージは、故レチエリス・レイチ(Letieres Leite)が率いたオ

[2023.12] 【映画評】ヴィム・ヴェンダースと日本人キャスト/スタッフによる最高のコラボレーション!『PERFECT DAYS』

文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  ヴィム・ヴェンダースの新作タイトルが『PERFECT DAYS』で、鬱蒼とした木々が映ったビジュアルを見て、まず思い出したのは彼の2016年の作品『アランフェスの麗しき日々』だ。それは冒頭からルー・リードの「PERFECT DAY」が流れ、緑あふれ木々がざわめき鳥がさえずる別荘で過ごす作家と、彼が執筆中の男女の物語がシュールなタッチで描かれるシンプルな会話劇だ。本作も「PERFECT DAY」が劇中で流れる(タイトルもそこから取られたの