[2023.1]2022年ブラジルディスク大賞 関係者投票①
※関係者投票の内容を五十音順でご紹介します。
(カタカナ表記のものは国内盤として発売されています)
●麻生雅人
分かりやすいアフロ・ブラジル・サウンド部分をそぎ落として歌声と音響の溶け合い方を深化させたシェニア・フランサの2作目は10年の1度の名盤だと思う。バッコ・エシュー・ド・ブルーズも歌心にヤラれた。黒人意識の日に合わせてリリースされたプロジェクト作品「POSS」第二弾では世代やジャンルを超えて黒人アーティストが交流した。Youtubeで注目されていたアギネス・ヌニスも満を持してポップにデビュー!
1. Xênia França / Em Nome da Estrela
2. Baco Exu do Blues / QVVJFA?
3. POSS / Proteja Os Seus Sonhos, Vol.2
4. Agnes Nunes / Menina Mulher
5. Glue Trip / Nada Tropical
6. Kayode / Flow da Pele
7. Marcola Bituca / Galo, A Ciência do Tambor
8. Theo Bial / Vertigem
9. Pedro Mariano / Novo Capítulo
10. Saudade / Bem Vindo, Amanhecer
●石郷岡 学
1 〜 7 までは方向性が各々独自で、実はどれが1位でもあり得る気がします。その中で最も新鮮だったのはやはり1。しかし2の詩的世界観、精緻でありながら原初的駆動力を感じる3、4の美しく繊細な独創性、5の洗練されたメランコリア、6の躍動する音の迫力、この上なく心地よい7など、いずれも出色でした。8の楽園的な幸福感、御大の年齢を忘れたメロウな9、中毒性の高い10も素晴らしかった。
1. バーラ・デゼージョ / シン・シン・シン
2. Zé Miguel Winsnik / Vão
3. レチエレス・レイチ & オルケストラ・フンピレズ / モアシール・ヂ・トドス・オス・サントス
4. ファビアーノ・ド・ナシメント & イチベレ・ズヴァルギ・コレクティヴ / リオ・ボニート
5. ムーンズ / ベスト・ケプト・シークレット
6. ハファエル・マルチニ / マルテロ
7. レオナルド・マルケス / フリーマーケット・ミュージック
8. Bruno Berle / No Reino Dos Afetos
9. João Donato / Serotonina
10. Sessa / Estrela Acesa
●伊藤亮介
ミルトンに楽曲提供したこともあるミナスの鍵盤奏者クレイトン・プロスペリ、コズミックな音色とジャズな間奏、スキャットで構想三年分のハーモニーが音圧として詰まった①には鮮烈な衝撃を受けました。思慮深さや静けさを湛えた②③⑥は、どれも積み上げた技術を感じさせる素晴らしい完成度。夏、海の家の景色が浮かぶインスト・ショーロの④が持つ風情。新譜ホヤホヤ、声とジャズ・ピアノの⑤はシアトリカルな表現が斬新、映えてます。
1. Clayton Prósperi / cativo
2. Mônica Salmaso e Dori Caymmi / canto sedutor
3. Eduardo Gudin com Léla Simões e Naila Gallota / Valsas, Choros e Canções
4. Alessandro Penezzi, Fábio Peron / Alessandro Penezzi e Fábio Peron
5. Lívia Nestrovski, Henrique Eisenmann / Nação
6. Zé Miguel Winsnik / Vão
7. Manu Lafer canta Caetano Veloso / TUDO DE NOVO - EMANUEL É MANUEL
8. Dudu Sperb / de longe e deperto
9. ムーンズ / ベスト・ケプト・シークレット
10. Arthur Nestrovski / Violão Violão
●金田直樹
ジョアン・ドナートやジョイスと言ったベテランの新作も安定した完成度でしたが、なんと言っても店頭ではレチエレス・レイチのモアシール・サントス曲集がしばらく話題になっていたのを覚えています。
また、ブルーノ・ベルリやバーラ・デゼージョと言った新しいアーティストによる作品も、鮮烈さもありながら従来のMPBのように自然に感じられ、長く聞き続けられそうで印象的でした。
今年は円安と物価高の影響で輸入盤の金額が急激にあがり、お客様からは新譜を追いきれなくなってしまったという声も聞きました。
来年はブラジル音楽がまた我々の身近に戻ってきてくれるよう願うばかりです。
1. バーラ・デゼージョ / シン・シン・シン
2. レチエレス・レイチ & オルケストラ・フンピレズ / モアシール・ヂ・トドス・オス・サントス
3. Bruno Berle / No Reino Dos Afetos
4. Joyce Moreno / Brasileiras Canções
5. João Donato / Serotonina
6. DJ Meme / Som Bacana
7. レオナルド・マルケス / フリーマーケット・ミュージック
8. Rubén Blades com Boca Livre / Parceiros
9. Tapioca / Voyage
10. SESSA / ESTRELA ACESA
●5代目
若手の台頭が著しいのはブラジルの音楽業界に限らずですが、発表の場が広がり、敷居が下がったからこそ各々の目指す方向性も多様になった印象です。ブラジルディスク大賞という視点からはランクインさせるか悩むアニッタですが、アルバムとしての完成度の高さから1位に選出。個人的に嬉しいのはDJメメーの新譜!ブラジリアンソウル好きには堪らないネタの連発にやられました。来年はどんな作品に出会えるか今から楽しみです!
1. Anitta / Versions of Me
2. Cammie / Doce como bala
3. HODARI / HODARI
4. Kayode / Flow Da Pele
5. DJ Meme / Som Bacana
6. Dada Yute / Crypto Reggae
7. Tulipa Ruiz / Habilidades Extraordinárias
8. Illy / O que me cabe
9. Pedro Sampaio / Chama Meu Nome
10. Lukinhas / Confissões de um tralha romântico
●宿口 豪
3年ぶりにブラジルに行って参りましたが、どこに行ってもセルタネージョやハレンチなファンキが席巻し(嫌いじゃないんですけどネ)、いよいよ正統派サンバやMPBも恋しくなってきました(笑)。またコロナ禍による分断のせいなのか、アコースティックで静かめな曲が多いですね。そして現地で人気の曲はシングルのみでアルバムリリースは無い事が多いので、サブスク時代に名アルバムは生まれづらいのかなと思ったりもしました。
1. Russo Passapusso, Antonio Carlos & Jocafi / Alto da maravilha
2. Tibles / Pop Soul
3. Ana Gabriela / Degradê
4. バーラ・デゼージョ / シン・シン・シン
5. Bruno Berle / No Reino Dos Afetos
6. Anavitória / Trilhas
7. Diogo Nogueira / Diogo Nogueira Ao Vivo no Noites Cariocas
8. Péricles / Pagode do Pericão Ⅱ (Ao Vivo)
9. Melim / Quintal
10. Luíza Sonza / Doce22
(ラティーナ2023年1月)
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