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[2023.1] 決定! ブラジルディスク大賞2022

本誌とJ-WAVEの長寿番組「サウージ!サウダージ・・」が共同主催、27回目を迎えたブラジル音楽の年間アルバム・ベスト10「2022年ブラジル・ディスク大賞」。一般投票(総数2,933票)、関係者投票のベスト10が決定しました。
 
ビッグ・アーティストの新作リリースが重なり、過去5年間で最多得票となった2021年には及ばなかったが、2020年を上回る得票数となった。投票に参加してくださった皆様、ありがとうございました。
 
関係者投票は18名の選者が各10作品を選出し、1位を10点、以下1点刻みで10位を1点と計算した。
 
関係者投票の順位は参考にとどめ、選者ごとのベスト10を通じ、ブラジル音楽に対する多様な価値観を読み解いていただきたい。
 
2022年の一般投票第1位は、バーラ・デゼージョの「シン・シン・シン」。関係者投票でも第2位にランクされたが、バーラ・デゼージョをわずか1票差で抑えて関係者投票の1位に選ばれたのは、レチエレス・レイチ&オルケストラ・フンピレズの「モアシール・ヂ・トドス・オス・サントス」だった。

【一般投票結果】

<1位>
バーラ・デゼージョ「シン・シン・シン」
Bala Desejo「Sim Sim Sim」
(210票)

「ブラジル・ディスク大賞」27年の歴史を通じて初めて、新人グループのデビュー・アルバムが第1位を獲得。ただしメンバーには個々のキャリアがある。ルーカス・ヌネス。ゼー・イバーハ。ジュリア・メストリ。ドラ・モレレンバウム。ハイスクールからの友人、20代半ばの男女4人組のグループが、トロピカリアのDNAを現代にアップデート。(関係者投票部門2位)

【投票コメント】
「若さや怒りや創造性が満ち溢れた、キラキラとした作品で、ブラジル音楽に初めて触れた時のような高揚感で心が動きます」(男性)
「ジェンダーを超えた、チームワークの良さ。ブラジルのZ世代を感じました」(女性)
「まさに、恐るべき子供たち!」(男性)

<2位>
ジョイス・モレーノ「ブラジレイラス・カンサォンイス」
Joyce Moreno「Brasileiras Canções」
(192票)

68年のデビュー盤の収録曲を再録音した「50」(2018年第2位)から4年ぶりの新作は全曲、ジョイス・モレーノのオリジナルの新曲。70代半ばにして、シンガー・ソングライターの創造力に衰えはない。

【投票コメント】
「やっぱりジョイス。4年ぶりのアルバムということですが、歌声とガットギターのサウンドはブランクを感じさせない力強さです。このアルバムも一音聴いただけで、ジョイスの世界にグッと引き込まれました」(男性)

<3位>
ホベルタ・サー 「サンバス&ボッサス」
Roberta Sá「Sambas & Bossas」
(185票)

ランクイン率の高いホベルタ・サー。ジルベルト・ジル作品集「Giro」(2019年第7位)以来の新作だが最新録音ではなく、デビュー当時の2004年にサンバやボサノヴァの名曲を歌った幻の企画盤。CDは日本独自の発売。

【投票コメント】
「名曲揃いの貴重な音源が、まさかのリリース。これからもずっと聴き続けられる、アナログレコードで聴くのが最高な一枚」(男性)

 <4位>
ヴァネッサ・モレーノ&サロマォン・ソアレス 「ヤトラ・ター」
Vanessa Moreno & Salomão Soares 「Yatra-Tá」
(153票)

サンパウロのノヴォス・コンポジトーレスの一翼を担うヴァネッサ・モレーノが、2年連続で4位。ギター弾き語りソロの前作に続いて、本作はピアニスト、サロマォン・ソアレスとのデュオ・アルバム。

【投票コメント】
「タニア・マリアのパワフルなお声とお顔が浮かんでくる曲<ヤトラッタ>の、カヴァーを超えた、スーパープレイでした」(女性)

<5位>
アレクシア・ボンテンポ 「甘いカルナヴァル」
Alexia Bomtempo 「Doce Carnaval」
(144票)

現在はニューヨーク在住のアレクシア・ボンテンポが、サンバからフレヴォまでカルナヴァルの名曲をスロウ&スイートなアレンジで歌った意欲作。アレクシアは、単独リーダー作としてはデビュー作(2008年第8位)以来のランクイン。

【投票コメント】
「アッパーなカーニヴァル・チューンが、官能的な曲に大変身!しかもボンちゃんとサーちゃん、美女2人のデュエットなんて反則だ!(笑)」(男性)

<6位>
ムーンズ 「ベスト・ケプト・シークレット」
Moons 「Best Kept Secret」
(125票)

シンガー・ソングライターのアンドレ・トラヴァッソスを中心に、英語で歌うミナスのポップロック・バンド、ムーンズが前作「Dreaming Free Awake」(2020年第6位)に続いて2作連続のランクイン。プロデューサーはレオナルド・マルケス。(関係者投票部門7位)

【投票コメント】
「今年はセッサ、レオナルド・マルケスなどロック勢の新作が素晴らしい年だったように感じます。中でもブラジルの、はかなさと高揚感が入り混じった、ムーンズの<ベスト・ケプト・シークレット>が個人的にとても好みでした」(男性)

<7位>
ジャヴァン「D」
Djavan 「D」
(107票)

大御所ジャヴァン、4年ぶりの新作が「Vidas Pra Contar」(2016年4位)以来、6年ぶりにランクイン。

【投票コメント】
「ジャヴァンの作品は、メロディー、リズム、コード進行が、ブラジルの今と昔の音楽のエッセンスを全て吸い取るような内容で、毎回の作品が素晴らしい。今回も、そうでした」(男性)

<8位>
レオナルド・マルケス「フリーマーケット・ミュージック」
Leonardo Marques 「Frea Market Music」
(103票)

ヴィンテージ機材を揃えた自身のスタジオから独自のノスタルジックなサウンドを紡ぐミナスのシンガー・ソングライター/プロデューサー/マルチ・プレイヤー、レオナルド・マルケスが「アーリーバード」(2019年4位)に続きランクイン。

【投票コメント】
「昼下がりに、うつらうつら。まどろみの時間を体験できました」(女性)

<9位>
ジルベルト・ジル「エン・カーザ・コン・オス・ジル」
Gilberto Gil 「Em Casa Com Os Gil」
(94票)

2022年に80歳を迎えたジルベルト・ジルが子供や孫、約20人のファミリーと一緒に繰り広げたパーティー・スタイルの映像プログラムのサウンドトラック。意外にもジルのランクインは「ジルベルトス・サンバ」(2014年第3位)以来8年ぶり。

【投票コメント】
「見た目は おじいちゃんになりましたが、大勢の家族に囲まれて、幸せそうな笑顔が見えてきます」(女性)

<10位>
セッサ「エストレーラ・アセーザ」
Sessa 「Estrela Acesa」
(91票)

サンパウロのバンド、ガロータス・スエカス出身の新世代シンガー・ソングライター、セッサのサイケ・フォークな味もあるセカンド・リーダー作。

【投票コメント】
「脱力感が、キモチイイ。控えめな音楽の奥に、才能を感じます」(男性)


【関係者投票】

1位
レチエレス・レイチ & オルケストラ・フンピレズ / モアシール・ヂ・トドス・オス・サントス (69点)

2021年10月、新型コロナ合併症で61歳にして世を去った、バイーアのサックス&フルート奏者/作編曲家/指揮者/教育者、レチエレス・レイチの遺作。彼が率いた管楽器と打楽器のオーケストラ、オルケストラ・フンピレズが、アフロ・ブラジル音楽のパイオニア、モアシール・サントスの歴史的名盤「コイザス」で発表した楽曲のカヴァー・アルバム。歌曲としても名高い「ナナン」にはカエターノ・ヴェローゾがゲスト参加。

2位
バーラ・デゼージョ / シン・シン・シン (68点)

3位
Bruno Berle / No Reino Dos Afetos (36点)

ジャヴァンと同じ北東部マセイオ出身のシンガー・ソングライター/マルチ・プレイヤー、ブルーノ・ベルリがUK Far Outレーベルから発表したファースト。

4位
Mônica Salmaso e Dori Caymmi / Canto Sedutor (34点)

ギンガとの来日公演が大反響を呼んだ実力派、モニカ・サウマーゾが、2023年に80歳を迎えるドリ・カイミとジョイント。ドリ(作曲)とパウロ・セーゼル・ピニェイロ(作詞)が共作した曲を歌った。

5位
Xenia França / Em Nome da Estrela (30点)

バイーア出身、サンパウロ在住のシェニア・フランサ。ソウル度を強めたセカンド。

6位
Zé Miguel Wisnik / Vão (27点)

サンパウロの大御所シンガー・ソングライター、ゼー・ミゲル・ヴィズニッキの新作。モニカ・サウマーゾ、ナー・オゼッチ、娘のマリーナ・ヴィズニッキなど知性派ゲストがズラリ。

7位
ムーンズ / ベスト・ケプト・シークレット (25点)

8位
Gilsons / Pra Gente Acordar (23点)

ジルベルト・ジルの末息子ジョゼ、初孫ジョアン、孫フランシスコの3人組のデビュー作。アフロ・バイーアのリズム、イジェシャーが全開。


9位
Eduardo Gudin com Léla Simões e Naila Gallota / Valsas, Choros e Canções (22点)

サンパウロの大御所シンガー・ソングライター、エドゥアルド・グヂンが、歌手・演奏家のレラ・シモンイス、ナイラ・ガロッタとの共演で、ワルツやショーロなどを歌う。

10位
ハファエル・マルチニ / マルテロ (21点)

アントニオ・ロウレイロとの来日公演も大評判となったミナスのサウンド・クリエイター、ハファエル・マルチニの壮大なアンサンブル。

(ラティーナ2023年1月)







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