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#ラティーナ2020年12月
[2020.12]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ⑤】パラオ共和国における人と歌の命 ―うたうことで蘇る、財産としての歌―
文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授) 歌が上手い人って羨ましいなぁ、といつも思います…どんな島に行っても、みんなとすぐに仲良くなれるんじゃないかなぁって。これまでご紹介したミクロネシア北西部の島々では、グアムのビリンバオトゥーザンなど一部を除いて器楽はあまり発達せず、歌がさまざまな社会的な場面で重要な役割を果たしてきました。 今回取りあげるパラオ共和国では、かつては、村の集会に先立って年長の男性が相応しいジャンルの歌をうたい、参加者全員が唱和するしきたりがありました
[2020.12]【ピアソラ再び~生誕100年に向けて】「超」実用的ピアソラ・アルバム・ガイド on Spotify Part 4
文●斎藤充正 texto por Mitsumasa Saito [著者プロフィール] 斎藤充正 1958年鎌倉生まれ。第9回出光音楽賞(学術研究)受賞。アメリカン・ポップスから歌謡曲までフィールドは幅広い。世界のピアソラ・ファンがピアソラのバイブル本として認めている『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』の著者であり、ピアソラに関する数々の執筆や翻訳、未発表ライヴ原盤の発掘、紹介などまさにピアソラ研究の世界的第一人者。 前回ご紹介したように、1960年のキンテート(五重奏団
[2020.12]映画評|『ニューヨーク 親切なロシア料理店』 『この世界に残されて』|家族から切り離された孤独な心が結ぶ、他人との緩やかな関係が生み出す希望とは。
文●圷 滋夫(あくつしげお/映画・音楽ライター) いつの時代でも、映画には家族が描かれる。そこには深い愛と強い絆、そして穏やかな安らぎがあり、これまで多くの観客の胸を熱く揺さぶってきた。しかしいつからか家族の在り方は多様化し、その関係性も変化してきた。今や綺麗事だけでは語れない断絶と絶望によって、家族が崩壊してしまうことも少なくない。また何らかの理由、例えば戦争や災害、事件などによって、家族との関係が突然断ち切られてしまうことだってあるだろう。 こうして家族から切り離