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[2023.10]アルゼンチン大統領選また驚きの結果!セルヒオ・マサが1位、ミレイは2位!!!

編集部

 10月22日、アルゼンチンにとっては重要な新しい大統領選挙の本戦挙が行われた。PASO(予備選)で、世界を驚かせたリバタリアン候補ミレイがトップ当選したことには、アルゼンチン国内はもちろん、世界が驚いた。そして、大統領選挙の行方に世界の関心が向いていたが、結果は、セルヒオ・マッサが36%以上の得票率で勝利し、自由前進(ラ・リベルター・アバンサ)党のハビエル・ミレイ候補が30%の得票率で2位となった。「変革のために共に」(フントス・ポル・エル・カンビオ)連合のパトリシア・ブルリッチ候補は23%の得票率で3位となった。

 予備選挙の後も、注目はミレイに集まっていた。仕事もなく、貧しい若者たちを中心に、どうでも良い、今のこの息の詰まるような政治から抜け出したい…… そんな思いの国民がミレイを理屈なしでさせていた。一方、「この国は最も理性的で、知性の国だ。南アメリカだけでなくフランスやアメリカよりも……どんなに困ってもその点では自信を持って良い。」と言った論調で、反ミレイの方は躍起だった。それでも、この第一回戦は、ミレイの勢いが止まっていないかに思えた。11月19日に予定されている最終決戦では、ミレイの後に続くのが、「変革のために共に」のブルリッチか、現政権「祖国のための同盟」で大臣だったセルヒオ・マサかと誰もが思っていた。ところが蓋を開けたらミレイが二番手に。一位は左派の現政権が押したセルヒオ・マサだった。

 マサは、中盤までは、どう見ても3番手に沈んでいるように見えたが、最後は予想を完全に覆した。マサの勝利は、ミレイの提案する “破綻した経済を解決するための提案” は、何百万人もの人々の状況を悪化させかねないという有権者の懸念を高めることに成功したことを強調するものだった。「今政府の補助金で50ペソの電車賃は、補助金カットを言うミレイになると700ペソになる」と言った脅しもあったと言う。また、ミレイの主張する「教育費や公衆衛生をほったらかしにしたらどうなるか?」と現実の違いをしっかり説明したという。

ミレイとマサ

 マサは、もともと最も政治家としての手腕はみとめられていた人だったのに、政権内部の都合で今の事態を招いたところもある様にも思う。が、今回の選挙では結構考えられない約束を打ち出していたから、最終決戦はどうなるか…? マサ派の友人によると、2024年にブエノスアイレスを訪れる予定だったフランシスコ・ローマ教皇は、ミレイの発言や政策には否定的だった。「彼は予定を早めて選挙に間に合わせてブエノスに来るかも…。そうなると,戦況は大きく変わるかも…」という話も聞いていた。パパ・フランシスコは、代々の教皇たちの中でも政治的な発言もいとわない人で、あのトランプにも「どこであろうと壁を作ることだけを考え、橋を作らない人はキリスト教徒ではない」と批判していた。さすがに予定を急に変えてまでは来なかったようだが、PASOの後、こんなことも大きく響いていたのかもしれない。ミレイもまた「血まみれの共産主義独裁者と親和性がある」と非難していた。

マサとミレイ

 さて、粛々と、自分の勝利後の政策や内閣案まで披露していた野党連合のブルリッチだが、「変革のために共に」のマクリ自身があろうことかミレイを褒め称えた部分もあったり、海外に居ながらにして自分の政党をまとめようなどと言うそぶりがなかったから、PASOでも候補の一本化は出来なかったし、結局はそれが響いてこの一回戦で姿を消すことになった。

 PASOといい、この第一回選といい、選挙結果には世界が驚いたが、しかし、11月19日にはどうなるか全く読めない情勢になっている。ブルリッチの票がどこに流れるか。しかし、いずれが勝っても、アルゼンチン経済の未来は、短期的には明るく見えないのだが……。

 もう一つの関心事は、ブエノスアイレス市政府の選挙。これはタンゴダンス世界選手権を司るところだから、タンゴ・ファンには一大事。こちらはマクリのいとこのホルヘ・マクリが評判通り49%の得票率で余裕で2回戦に進むことになった。

ホルヘ・マクリ
  • ホルヘ・マクリ(変革のために共に):49.69%;

  • レアンドロ・サントーロ (祖国のための同盟):31.06%;

  • ラミーロ・マラ(自由前進):14%

  • バニーナ・ビアシ(左翼と労働者戦線):5.23%

 そして、現在大差となったレアンドロは早くも辞退するかも、と報道されている。PASO後から、これはもうホルヘで決まりと言われていたから、間違いないところだろう。ダンス・ファンはこれでホッとして良いのか …… ホルヘ・マクリについては、元大統領のマウリシオ・マクリと共に、政治の世界では、ビセンテ・ロペス市長、ブエノスアイレス州PRO「変革と共に」の政府代表、ブエノスアイレス市副知事などを歴任してきた。マクリ家は元々大財閥で、大手の建設会社や、銀行まで所有し、ビセンテ・ロペス市長時代には、洪水対策や、銀行の利益などで蓄えたお金を市の財源の不足分以上に使い、人気を得てきた人でもある。

 この大統領選の結果で、本当に先行きが見えなくなった。マサも、勝利にためにあり得ないほどの政策を打ち出していたから、ここから11月19日までにどう修正するのか、そして、野党の票をどこまで引っ張れるのか…… 簡単ではない現実が待っている。今回の選挙前から、いわゆるドラー・ブルー(闇ドル)は2ヶ月前700ペソだったものがすでに1,000ペソに急騰しているし、ブエノスアイレス証券取引所に上場する主要企業の株式で構成されるS&P Merval指数は、日曜日のアルゼンチン総選挙後の最初の取引セッションの中間点で8.59%急落した。さて、どう国民に訴えていくのか…。

(この大統領選挙関係については11月19日までに大きな動きがあれば、ここ以降に記事を続けていきます。) 


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