記事一覧
[2023.1]【境界線上の蟻(アリ)~Seeking The New Frontiers~4】 BAP. (インドネシア)
文●吉本秀純 Hidesumi Yoshimoto
インディ・ポップ、ハードコア・パンク、AOR的な感覚のシンガーソングライターにジャジー・ソウルやミニマル・テクノなど。あらゆるジャンルに傑出した才人やバンドが存在するインドネシアの音楽シーンだが、ヒップホップにおいて注目しておいて欲しいのがラッパーのBAP.だ。インドネシア発のヒップホップでは、88risingに所属するリッチ・ブライアン(リ
[2023.1]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ㉚】 沖縄に渡ったミクロネシアの行進踊り ―島民ダンスからバッサイロンまで―
文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授)
前号で、小笠原の南洋踊りをご紹介しましたが、実はこれと同系統の行進踊りが、沖縄本島や八重山諸島にも伝わっているのです。うるま市栄野比では「島民ダンス」、宜野座村惣慶では「南洋踊り」、恩納村仲泊では「南十字星」と呼ばれ、敬老会や観月祭など集落の年中行事など、さまざまな場で余興として演じられています。かつてこの踊りを南洋から宜野座村惣慶に伝えた方のお孫さんは
[2023.1]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㊳】厳しい戦いの歌のB面で美しく響く — Desalento
文と訳詞●中村 安志 texto por Yasushi Nakamura
この連載の27回目で、シコ・ブアルキが、弾圧を逃れ生活していたローマから帰国してすぐに、真正面から体制を批判してみせたApesar de vocêという、とても重い内容の作品を紹介しました。
シコの長い活動の中でも、最も厳しい圧力を受けていた頃の作品と位置付けられる作品で、祖国の状況が改善していると思って戻ったとい
[2023.1] 【島々百景 第79回】 ブエノスアイレス① アルゼンチン
文:宮沢和史
この3年間は南米からすっかり足が遠のいた。南米に限らず自分は一度も国外へは出ていない。「2023年こそは南米で歌が歌える」と意気込んでいたものの、もはや、第何波なのか知らないが、去年の11月から1日の感染者数が増加に転じ、クリスマスと正月休みをきっかけに感染者数を示すグラフが再度高波状態に推移している。ゼロコロナ政策をあっさり放棄した中国では春節を前に人口の半分弱、メディアによっ
[2023.1]最新ワールドミュージック・チャート紹介【Transglobal World Music Chart】2023年1月|20位→1位まで【聴きながら読めます!】
e-magazine LATINA編集部がワールドミュージック・チャート「Transglobal World Music Chart」にランクインした作品を1言解説しながら紹介します! ── ワールドミュージックへの愛と敬意を込めて。20位から1位まで一気に紹介します。
20位 Mahsa Vahdat & Skruk · Braids of Innocenceレーベル:Kirkelig Kul
[2023.1]【中原仁の「勝手にライナーノーツ」㉚】 Moa Vive 『Moa Vive』
文:中原 仁
「2022年ブラジル・ディスク大賞」の関係者投票で僕が3位に選んだのが、亡きバイーアの偉人、メストリ・モア・ド・カテンデー(Mestre Môa do Katendê)の『Raiz Afro Mãe』だった。SpoifyやApple Musicにはシングル扱いで12曲アップされているが、実質的にはアルバムになる。
2022年11月には『Raiz Afro Mãe』の続編にあた