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#ラティーナ2020年10月
[2020.10]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ③】甘い誘惑、苦い過去 ―北マリアナ諸島のサトウキビ・プランテーションの盛衰と音楽―
文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授) トマト、ジャガイモ、トウガラシなど、私たちの生活にもなじみ深い農産物の多くが意外にも南米原産で、大航海時代以降世界中に広まったことが知られていますよね。サトウキビの世界生産量トップは、ブラジル。だからそれも南米原産だと思いきや、およそ8,000年前サッカラン・オフィシナルム Saccharum officinarumという栽培品種が生まれたのは、太平洋諸島・パプアニューギニア。そこからインド東部、中東、地中海、ヨーロッパ、中国へと広
[2020.10]タンゴの父 ビジョルドに捧げる新作 Sciammarella Tango 『A Villoldo』(無料記事)
文●宇戸裕紀 Text by Hironori Uto タンゴ界では異質な存在かもしれない。メンバーの国籍は5つ。日本からはピアノの大長志野を始め、バンドネオンのハネル・イェオン(韓国)、バイオリンのマリアナ・アタマス(ウクライナ)、バンドネオン&指揮シンディ・アルチャ(チリ)、歌手デニス・シアマレーラ、バイオリンのセシリア・フロレンシア・ガルシア、ベースのジェラルデーナ・カルニシーナ(アルゼンチン)。しかもメンバー全員が女性。 ファーストアルバム『シアマレーラ・タ
[2020.10]映画評|『おもかげ』『82年生まれ、キム・ジヨン』『ウルフウォーカー』|女性の秘めた想いに寄り添いエールを贈る、 3つの国の3つのストーリーと、その社会的な視点。
文●圷 滋夫(あくつしげお/映画・音楽ライター) スペイン映画『おもかげ』は、まず冒頭で描かれる1シーン1カットの約15分に圧倒され、いきなり半ば強引に物語の中へと引きずり込まれてしまう。 主人公エレナに電話が掛かる。離婚した元夫ラモンと旅行中の6歳の息子イバンからだ。最初はなごやかに話しているが、すぐにイバンを置いてその場を離れたラモンが戻らず、一人浜辺に取り残されていることを知る。エレナは場所も状況も分からないイバンをなだめながら問いかけ、ラモンの友人や警察に連絡